犯人は「その一言」!子どもが図形嫌いになった原因とは #ママが知りたい子どもの教育
「うちの子、図形の問題に弱くて」と悩んでいるママ、いませんか? 実は子どもが算数の図形に対して苦手意識を持っているのはママの一言が原因かもしれません。「花まる学習会」の代表、高濱正伸先生にお話を伺いました。
「図形苦手よね」の一言が子どもを図形嫌いにさせる
私は、これまで何万人もの子どもたちを見てきました。その中で「勉強ができない失敗組」の圧倒的多数にはある共通点があります。なにかというと「図形が苦手」など、勉強に対して何らかの苦手意識を持っているということです。子どもを図形嫌いにした原因は……何気ない「一言」かもしれません。
中学受験に受かりました。計算も早いし割と国語もできる。でも図形の問題は解くのに時間がかかるし、時々間違える。そんな子どもの姿を見て、ママは一言「あんた、図形苦手よね」と言ってしまいます。このママの一言で、「図形=苦手」という洗脳に入ってしまう子がいるのです。とくに女子のなかには「私、図形は苦手だから(やらない)」といって、図形の問題を避けようとする子がいます。「苦手、嫌い」と言っていれば楽ですよ。「図形をやらない理由」ができますからね。高学年になると、言い訳をする子どもがさらに増えてきます。
「勉強をやらされた」子は苦手意識を持ちやすい
長男長女で「勉強が苦手になった」子どもたちを見てきて思うのは、「勉強=嫌い」という気持ちになってしまっている子が多いということです。なぜかというと「勉強をやらされた」経験があるからです。
長男長女のときは、ママも必死ですからね。初めての子どもだと「間違ったところは何度でもやり直させて完璧にできるようにしよう」と気合が入り過ぎてしまうのです。これが次男や次女になると、ちょっと文字が書けただけで「あら~、よく書けたわね」となります(笑)。
「勉強をやらされた」子は、勉強に対して苦手意識を持つことが多いですが、逆に、主体的に生きている子はメンタルが強いです。
自分の頭で考える子は強くなる
僕は大学に入るのに3浪して、しかも入ってから4年留年してます。大学に入っても、麻雀、競馬、絵、写真、落語など「とにかく人生の楽しいことを全部やってしまおう」みたいな感じでした。そういう時を経て、今、学習塾の代表をやっています。
なにが言いたいかというと、自分の頭で考えて哲学を持ってしまえば、だれになんと言われようともまったく気にならない。要するに、みんなまわりを気にしすぎるんです。自分が「これだ」と決めた愛する仕事を満喫してやり切って、家族を幸せにして社会に貢献して、生きていけたら1番いいのです。
「苦手な問題が解けたとき」がほめて伸ばすチャンス
話を図形に戻しますが、図形は思考力、論理力を養う非常にいい問題です。図形の問題を解くときに、目に見えない補助線が引けるかどうか、行き詰ったときに別の角度から図形を見ることができるか。図形に取り組むことで、試行錯誤したり、発見したりとさまざまな力が養われます。そのため、中学、高校、大学、場合によっては就職試験にまで図形が登場することがあります。それくらい図形というのは大切です。
ママは「うちの子は図形が苦手みたい」と思ったら、なにもいわなくていいです。逆に、苦手だった図形の問題が解けたときは「すごい! 難しい問題が解けたね」と伝えてあげましょう。苦手だと思っていたことでほめられたら、子どもは自信をつけます。それが積み重なることによって、図形嫌いが克服され、場合によっては得意にもなるのです。
取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶