どれだけ怒らせたかで「ヒーロー」が決まる!成長にかかせない「男子ワールド」とは
子どものイタズラに日々、頭を悩ませているママ、いませんか? 5歳くらいまでのイタズラはまだかわいいものですが、小学生ともなると、やることが大胆! でも、実は子どもがイタズラをしているときは「自分で考えて行動する力」を伸ばすチャンスでもあるのです。「花まる学習会」代表の高濱正伸先生にお話をお伺いしました。
僕も子どものころ、よくイタズラをしていました。大人からすると「なんでそんなことをするんだ!」と思うのですが、子どもからするとこれは楽しいですよね! とくに、ママが見ていないところでやる遊び、これがめちゃくちゃ楽しい。ママのいるところでやると「危ない」「やめなさい」で、全部止められちゃいますからね。大人がそばにいなかったら、だれかの「おい、やってみようぜ」といった一言で、イタズラがはじまるのです。
プールの更衣室は「男子ワールド全開」
よくあるのがスイミングスクールの更衣室です。ここは、普段は一緒にいて「それは危ないからやっちゃだめ」「そんな高いところから飛び降りたらケガするでしょ」というママがいない場所です。ここに男の子たちが集まったら、男子ワールド全開ですよ。「あそこに入ってみようぜ」「ここにあがれるぞ」と言い出し、「やらないとヒーローじゃない」という雰囲気になるのです。そういう子どもだけの時間というのがすごく重要です。だれも止めないところで思いっきりやりたいことをやる。この「男ワールド」の経験が将来に繋がっていくのです。
先生が怒ると分かってもやり続けることで「ヒーロー」が決まる
以前、サマースクール(野外体験)に行ったときのことです。子どもが2人いないから「あれ? どこにいったんだ?」と思って探していたのです。あちこち探していたら、トイレの床が水浸しになっているわけですよ。「なんでこんなところが……」と思ったら、探していた男の子2人が水道の蛇口を開けたままジャンジャン水を流していたのです。僕は「なにをやってるんだ! すぐに水を止めなさい」と怒りました。立場上、「ここだけは言わないといけない」というところはビシッと言います。でも、内心は「楽しいんだろうな」って笑っていましたよ。もちろん「よく水をためたね!」とは、言いませんでしたよ(笑)。
他の子どもたちからしたら、この2人はヒーローです! 私に怒られたところまで含めて、子どもたちの中での英雄ですよ。「高濱先生にめっちゃ怒られた!」といっていましたが、先生をどれだけ怒らせたかということも、子どもたちの中での「英雄バロメーター」なんですよね。
「男子ワールド」は成長に欠かせない体験
この「男子ワールド」を体験することは、成長には欠かせないことです。イタズラをやりながら、どこまでやったら先生に怒られるのか、という加減を知っていきます。
学生時代「おい、授業さぼって屋上に行こうぜ」的な不良が好きだったママも、我が子のことになるとキチン、キチンと育てようとしますからね。子どもがちょっとイタズラしたら、「やめなさい! 危ないでしょ」と怒りますが、多少のことは目をつむってあげましょう。
男の子にとってはイタズラしているときは、「自分で考えて行動する力」をつけているときなのです。そのかわり、イタズラの後始末は子どもたち自身にやらせる。その経験を通して、子どもたちは大きく成長していくのです。
取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶