「悩んでいるのはあなただけじゃない」セックスレスの実体験を赤裸々に描いた漫画『今日も拒まれてます 〜セックスレス・ハラスメント 嫁日記〜』
昨今、夫婦間における「セックスレス」問題を多くのメディアが取り上げ、特集しています。セックスレスに関する書物も数多く発売されていて、悩みを抱える人たちが少なくないということがわかりますね。
そんな中、読む人の心に衝撃を与える作品が登場しました。その漫画の代表シーンはこちら。
このシーンが描かれている漫画は、『今日も拒まれてます 〜セックスレス・ハラスメント 嫁日記〜』。著者・ポレポレ美さんが自身の体験を描いた作品です。
編集者の彼氏と同棲9年目にして「セックスレス」に悩んでいたポレ美さん。一度のセックスをきっかけに勢いで結婚をしますが、結婚生活の中でもポレ美さんは「セックスレス」の悩みを抱え続けます。マカ入り味噌汁を作ったり、セクシーな下着にキャンドルで灯した部屋で誘惑したりしますがどれも失敗。
家族からの「子どもはどうするの?」というプレッシャーを受けながら、セックスレスに苦しみ「それでも子どもがほしい」一心にやっとの思いで旦那さんに土下座をしてお願いしたそうです。
さまざまな試練が降り注ぐ中、果たして無事にセックスレス解消することはできるのか……!? パートナーのいる女性の多くが悩んでいる「レス問題」をリアルに描いた物語です。
今回、ママスタセレクトでは著者・ポレポレ美さんへのインタビューが実現。この作品へ込めた思い、セックスレスで悩む方たちへ伝えたいメッセージなど、お話を伺ってきました。
好きで結婚した人に拒まれると、私という人間全てを否定されている気持ちに
──ご自身が悩んでいた「セックスレス」を漫画化しようと思ったきっかけを教えてください。
好きで結婚した人から、求めれば求めるほど拒まれると、女性としての価値はもちろんですけど、人間性も否定されているような気持ちになってノイローゼのようになるんです。さらに、セックスがないということでさらに、「こんなことで悩んでいるのは私だけなのかな?」という悩みも抱えていたので、連載のお話をいただいて、「どうしてこういうことになったのか」ということを自分の中で整理するために、漫画に描くことを決めました。
──お友だちや近しい人に相談はしなかったのですか?
漫画の冒頭で、友だちに「レスじゃない?」と言われるシーンがあるんですけど、それ以降は悩み自体がディープなものになってしまい、気軽に話したり笑いにできるものではなかったので相談はできなかったんです。
──漫画化した後は、どのような反響がありましたか?
驚いたのは、「私だけかもしれない」という気持ちを抱えて「レス」に悩んでいる人がとても多かったということですね。「私だけだと思っていました」という声が本当に多かったです。
友人からも、「実はうちもなんだ……。子どもができないのはレスが原因なの」という連絡が来て、悩みを語ってくれたりしました。
──同じ悩みを抱える方たちからはどのような共感の声が届きますか?
漫画の中のセリフに共感してくれる方がとても多いです。たとえばこちらです。
「忙しい、眠い、疲れた、もう私、いやになるほど聞いたよ……」というセリフは反響がありましたね。世の中のレスの人は同じようなことを言われているのかな?と感じることがあるくらい、「私もです」という感想をたくさんいただきます。
──その他の反響の大きかったシーンはありますか?
妊活をすることになってもレスは解消されず、そのときに私が言ったセリフです。
「私に精子だけください……」というシーンは、言う側としても屈辱的な言葉だったんですけど、それよりも、その時の彼の表情が今でも忘れられないですね。子どもを持たずに、夫婦2人で仲良く暮らすという生活も素敵だと思うんですけど、セックスレスではどんどん心が離れて行くような気がしていたんです。求めれば求めるほど「イヤイヤ」とされるのは、本当に辛いものなんですよ。心がどんどん枯れていきます。
「悩んでいるのはあなただけではない」作品を通して伝えたいこと
──この漫画の読者の方々に、作品から感じてもらいたいことはなんですか?
まだまだ世の中は、女性が「レスです」ということを大きな声で言える環境ではないと思うんです。もし、それを言ったら「えっ? パートナーに避けられてるの?」と変な目で見られてしまうのではないかという不安があったり、なかなか人に言えないということで悩んでいるという方は多いと思います。
漫画を描くにあたって、「悩んでいるのはあなただけじゃないよ」ということを伝えたいですし、作品を通して、何かひとつでも心が晴れるきっかけになったり、解決のヒント、糸口になるものが見つかるといいなと思っています。
真面目な方ほどこの悩みを相談できないと思うので、この作品を見て「私だけじゃない」と知ってもらえたらと思います。
──どんな方に読んでもらいたいですか?
私たちの母親世代の方にも読んでもらえるといいのかなと思います。
うちの母親はそんな理由だと知らずに「なんで子どもができないの?」ということを言い続けていて、私も言いたかったんですけど言えなくて……。私のように親や兄弟に言えない人もいると思うので、本人がすごく悩んでいることだからこそ、簡単に口出しをしてはいけないということを知ってもらえたらと思います。
できれば、男性にも読んでいただきたいです。「拒まれるって、こんなに苦しんだよ」ということをわかってもらいたいという気持ちがあります。
──ポレポレ美さんのご家族もお読みになっているのですね。
うちの母と妹は読んでいます。母は、子どもができないことを何度も聞いたことを「申し訳ないことをしたな」と言ってくれています。
それだけでも書いた意味はあったなと思ったんですけど、うちの父は一切見ていないです。
──この作品を書いてよかったなと思ったことを教えてください。
読者の方からたくさんの相談メールをいただくんですが「結婚を迷ってる彼とレスなんです」という相談も多いです。「好きだから結婚したいけど、この漫画を見て参考にします」と言っていただけたりしたこともあります。今までで一番嬉しかったのは、「レスだったけど、この漫画を彼に読ませたことでレスが解消できました」というメールをいただいたことですね。彼女に薦められて、この漫画を読んで、変わってくれるなんて素敵な彼氏さんですよね。
この作品に出会った事で悩みを解決できたというメールをいただくと、この作品を描いた意味があると感じます。
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「『私だけ』と悩む方が一人でも減るように。パートナーである人たちにも、この作品が届き、何かが変わるきっかけになれば」という言葉がとても力強く響きました。『今日も拒まれてます 〜セックスレス・ハラスメント 嫁日記〜』はVコミにて毎週土曜日、好評連載中。みなさんもぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
取材、文・鈴木じゅん子 編集・しらたまよ
※漫画は許可を頂いて掲載しています