本物の育児のプロは、今と昔で育児の仕方が変わることを知っている
今と昔で育児の考え方も大きく違うと思いませんか。実母や義母と赤ちゃんの世話の仕方でケンカになりそうになった、という経験をしたことがあるママもいるのではないでしょうか?
筆者も経験したことがあります。
たとえば初めて子育て、母乳育児がうまくいかなかったとき。
実母・義母「昔はミルクをよく飲む子がいい子って言われていたんだけれどねぇ。母乳にいつまでもこだわる必要ないんじゃないかしら?」
私(でもやっぱり私は母乳をあげたい)
1ヶ月健診が終わってしばらく経ち、赤ちゃんのおっぱいやミルクがようやく軌道に乗ってきたとき。
実母・義母「離乳食を始める前に果汁はあげないの? みかんの果汁とか喜ぶと思うわよ」
私(果汁なんてあげたら母乳やミルクの量が減っちゃうかもしれないのに。今は果汁なんてあげないのに)
1歳の誕生日が過ぎてから。
実母・義母「私がやった時は1歳半くらいでオムツが取れたものよ。3歳でオムツが取れていないのは、のんびりね」
私(トイレトレーニングはその子のペースに合わせてするもの。3歳でオムツでも焦る必要ないって)
ばあばたちは、すでに子どもを育て上げた経験のある大先輩。新米ママだった筆者に親切のつもりでそんな言葉をかけてくれたのだろう、と今だったらそうやって前向きに思えるのですが、当時はいちいち心の中で反論していました。
(もう、放っておいてほしい!)
しまいにはちょっと怒りたくなったり。でも、筆者は「大先輩」たちに反論する勇気もなく、なんとなくその場をやり過ごしてしまったことも多かったのです。
そんな大先輩たちの中で、さすがだな、と思った話があります。それは、ばあばたちと同世代でずっと第一線で活躍してきたベテラン助産師さんの言葉でした。
昔の育児を一刀両断!本物のプロは育児の仕方が変わることを知っていた
『昔は、抱き癖がつくから、泣いたらすぐに抱いてはダメ、なんて言っていたの。あなたも知っている? 夜泣きしても、親がすぐに赤ちゃんを抱き上げるよりも、放っておいた方がいい、なんて私自身も親に指導していたのよ。今はそれが間違いだってわかっているし、私も昔に戻れたら、「間違っていました」って謝りたいくらい、はずかしい。けれど、一番はずかしいことは、考え方を変えられないこと』
『今と昔では考え方は違うもの。昔は良かったことが今も良いとは限らない。若い人たちの価値観も違うし、昔は科学的にわかっていなかったことも今はちゃんとわかっているということもあるし』
プロとして第一線でやってきたのですから、助産師としての自負はきっとあるでしょう。にもかかわらずそれまで成功してきた方法に固執せずに、「間違っていました」と言えてしまう、この潔さ、柔軟性。
筆者は今と昔の違いに苦労気味だったこともあり、さすがプロは違うなあ、とちょっと感動してしまいました。昔は昔、今は今で割り切ってやっていけばいいんだ、と自分のやり方を信じることにして、今に至ります。
今は昔と違うもの。この助産師さんのように今の育児の仕方を理解してもらいながら、みんなで子育てできるといいですね。
文・野口由美子 編集・しらたまよ イラスト・ももいろななえ