国内の食品ロスは1年間で632万トン。まだ食べられるのに捨てるのはなぜ?
子どもの安心・安全について気を付けたほうが良いことを「朝5分」で家族で話し合う「朝ごふん」プロジェクト。今回話し合ってほしいテーマは、売れ残りや食べ残しなどで食品が廃棄されている問題「食品ロス」。日本の食料自給率は現在39%(平成27年度)で大半の食料を輸入しているにも関わらず、まだ食べられる食品を捨てているのです。
食品ロスを減らすためにママたちができることは? 消費生活アドバイザーの古谷由紀子先生に伺いました。
――以前から食品ロスが問題とは聞きますが、いまいちピンときません。そもそも食品ロスとはなんですか?
古谷:まだ食べられるものを廃棄してしまうことを食品ロスといって、社会的にも大きな問題になっているの。日本国内だけで出る食品ロスは年間約632万トンにもなっているの。これは世界中で食糧援助を行っている量(約320万トン)の約2倍にもなるのよ。日本人一人あたりに換算すると、毎日茶碗一杯分(136g)のご飯の量を捨てているのと一緒だそうです。
――赤ちゃんから高齢者の方までですか?
古谷:そうなの。もったいないでしょ。食品ロスが発生するのは、食品メーカーや卸売り、スーパーなどの小売店、レストラン、そして家庭など。
とくに食品流通業界には「3分の1ルール」という独自ルールがあり、それが廃棄を増やすといわれているの。
賞味期限前なのに捨ててしまう「3分の1ルール」とは?
――3分の1ルールとはなんですか?
古谷:加工食品の製造日から賞味期限までの期間を3分割し、「メーカーからお店への商品の納入期限は製造日から3分の1の時点まで」「お店での販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」とするルールです。つまり賞味期限の3分の2を過ぎた時点でお客さんには売れないから廃棄処分となることが多いの。
――賞味期限が3分の1残っている場合でも、廃棄してしまうわけですか!?
古谷:なかには賞味期限が短くなったものを安く売るなどの工夫するころもあるけれど廃棄されるものが多いといわれているの。そもそも賞味期限は「表示した期間内だったらおいしく食べられますよ」という意味であって、期限を過ぎても問題なく食べられるわけです。まだ十分食べられるものを捨ててしまう。これこそが食品ロスの問題なのです。
食べ放題、飲み放題、ついつい過剰に取りすぎていない?
――レストランでの食べ残しなども問題ですよね。
古谷:そうね。家族でレストランに行ってそれぞれがちょっとずつ残したら、それだけでけっこうな量になるわよね。とくに気をつけてほしいのが食べ放題のお店。ついみんな「元を取らなきゃ」といってお皿にたくさん盛ってしまうでしょ。それで食べられなくて残してたら食品ロスになるの。さらにその分コストもかかるわけだから、料金が値上がりすることも考えられるわよ。
――ファミレスのドリンク飲み放題も、あれこれジュースを入れて残す子どもたちは多いですよね。
古谷:お子さんにきちんと教えたいですね。必要以上に持ってこない、一度お皿に載せたものは最後まで食べることを。食べ放題でない場合でも、食べられる量だけ注文する。あれもこれもと過剰に頼まないなど、一人ひとりが意識するだけで、全体としては大きく変わってきて、それが食品ロス問題解決への近道となるのよ。
「毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとってほしい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムでは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。ほかにも「エシカル」などの生活に役立つ記事は『朝ごふん』ページで読むことができます。ぜひご覧くださいね。