「これってうちの話?」ダメパパ目線の“育児あるある川柳”に頷きが止まらない!
筆者は日々の息抜きに、育児系コミックエッセイを読むのが好きです。気負わずに読めて、なおかつ自分の育児に役立つヒントがたくさん詰まっているからです。
産後すぐに、子育てへの不安から育児書を読みふけった筆者でしたが、上から目線の講釈に「育児とはこういうものだ。本に書かれている通りでなくてはいけないんだ」と、知らず知らずのうちに自分を追いつめてしまった経験があり……そのことに気がついてからは、育児書を一切開かなくなりました。
しかし、「育児中に経験した○○」というスタンスで描かれているコミックエッセイは、読者と同じ目線で子育てについて描かれていて、まさにそのとき必要な情報をみつけられたり、思いがけず気持ちを救われたりすることがあるので、私の育児の教科書的役割を果たしてくれています。
そして、最近発売された本の中から今回ご紹介したいのが、『ひとのパパ見てわがパパ直せ』という一冊。
著者の山田周平さんは、パパになって3年目。「ダメパパ」を自称しており、パパになってからやってしまった失敗や、育児を通して得た「自分、パパとしてダメじゃん」といった気づきを「ダメパパ川柳」として一冊の本にまとめています。
『ママ出かけ 30分で 家ぐちゃぐちゃ』
『ドヤ顔で やったアピール ウザすぎる』
『子が泣くと すぐにおっぱい 頼りすぎ』(いずれも、山田周平『ひとのパパ見てわがパパ直せ』より)
このように、たくさんの「ダメパパ川柳」が詠まれているのですが、その中で、筆者が思わず手を止めてしまった川柳をご紹介します。
『聞く気ゼロ ママの悩みに 興味なし』
幼稚園に通い出した娘の成長や、日々の出来事について話しても、パパはテレビに集中していて返ってくるのは適当な相槌ばかり……。何回同じことを話しても、毎回「それ誰?」「それはクラスの子?」と聞き返されるので、「ちゃんと聞いてよ。いい加減覚えてよ」とイライラ。心当たりのあるご家庭も多いのではないでしょうか(笑)。
著者の山田さんはこの川柳について、「育児は夫婦ふたりで行うものなので、悩みや不安も一緒に解決していくべきですよね」と記しています。ご自身の経験から学んだことを川柳にし、同じ立場のパパたちへのメッセージとして伝えているのです。
そしてもう一句!
『おむつ替え うんちだったら ママを呼ぶ』
この川柳は「あー、そうだったな」という懐かしい気持ち(当時はこれもイライラしていました)と、最近ママになったばかりの友人が、先日ランチをしたときに同じことを話していたので、「これは完全にパパあるあるなんだなぁ」と思いながら読みました。
同じ“育児あるある”でも、ママ目線で描かれているものは、読んでいると「わかるわ〜」という”共感“の気持ちが強くなるのですが、それがパパ目線になると、「うちだけじゃないんだ」と安心できたり、「どこも同じか……」と諦めの気持ちになったり、「もっとしっかりしろ!」とイライラしたり、「それでも、失敗からここまで学ぶことができるのね」という希望が持てたり……。
読んでいる間は、クスクス、ゲラゲラ、イライラ、ホッ。感情がジェットコースターのように忙しいです(笑)。
失敗してしまったことだけではなく、その失敗や経験から、著者である山田さんが学んだこと、感じたことも「ダメパパメモ」として一緒に書いてあるので、ママだけではなく、パパたちにもぜひ読んでもらいたい本だなと思います。
パパもパパなりに努力しているんだな。伝え方や表現の仕方が下手なだけで、一生懸命なんだなということも伝わってきます。
「パパVSママ」ではなく「パパ+ママ」の育児を
「もっとこうしてほしい」「なんでわからないの?」
育児に追われる毎日、相手に期待する気持ちとそれが満たされない不満が積もり積もって、夫婦の関係がぎくしゃくしてしまう……なんて話をよく聞きます。
「話し合おうよ」と向き合っても、仲直りするはずがまたケンカに……。なんていうのはよくあることで、夫婦2人の気持ちが少しすれ違ったときのコミュニケーションの取り方に、人知れず悩んでいるというパパやママは、筆者のまわりにもたくさんいます。
でも、パパも、ママも、お互いに仲良くしたいという気持ちは同じはず。
育児にまつわる部分ですれ違いを感じたら、まずは相手が何を期待して、何を求めているのかを感じてみる。これってすごく大事なんですよね。
この本の中には、きっと日々奥さんに怒られまくってきたのであろう山田さんが学んだ「ママの怒り攻略法」がたくさん載っています。
「そうなのよ。それをわかってほしいのよ」と思わず頷いてしまう「ダメパパメモ」は、世のパパたちにきっと役立つはず。
ちなみに筆者には、もうすぐパパになる友人がいるのですが、彼にもぜひこの本をプレゼントしてみようと思っています。
「この本がキッカケで、少しでもパパとママの意識の差が埋まり、『パパVSママ』ではなく『パパ+ママ』で力を合わせて育児に取り組めるようになってくれたりしたら、それほどうれしいことはありません」
山田さんが著書の最後にこう書かれているように、「パパ+ママ」で力を合わせて仲良く育児をしていきたいですね。
『ひとのパパ見てわがパパ直せ』
作:山田周平
出版社:三交社
文・鈴木じゅん子 編集・伊東杏奈