元サッカー日本代表の前園真聖さんが語る「親に感謝できる子ほど伸びる」のワケは?
「今、サッカーの練習ができることは当たり前のことじゃないんだよ」。たくさんの子どもたちを前にこの言葉を伝えたのは、元サッカー日本代表・前園真聖さん。
先日、国際フォーラムで開催された首都圏最大級ファミリーイベント『かぞくみらいフェス』で開催されたトークショーは、ママたちに刺さるお話がたくさん聞けました。子どもをサッカー選手にしたいというママや、夢をサポートしてあげたいと思うママへのヒントがギュッと詰まっていましたよ。
どこにでもいるサッカー少年、だけど練習は毎日欠かさず続ける
前園さんは、小学校の頃からサッカーが大好きで、毎日欠かさず練習をしてきたといいます。
「今みたいにテレビでサッカーの試合をやるなんてことはなかった時代でした。大好きなサッカーが少しでも上達するようにと、ビデオを借りてきて、プレーを見て、実践してみて……と練習していました。練習が終わった後はファミコンゲームに夢中という、どこにでもいる少年でした(笑)」。
そんなサッカー少年だった前園さんが、いつも心がけていたことがあるそう。
「挨拶をしっかりすること。人の話を聞く時は目を見て話すこと。この2点はとくに気をつけました。挨拶はどこでも基本中の基本ですね。話す人の目を見て聞くことについては、学びたい、上達したいという意識が目に出ると思います。それが相手にやる気として伝わります。これが大事です!」。
よく「話す人の目をみなさい」といいますが、しっかり相手の目を見て話を聞くことで、熱意が伝わります。子どもたちにも伝わったようで、会場の子どもたちは前園さんの目を見て、熱心に話を聞いていました。
ついあれこれ言ってしまうママに、前園さんから納得のアドバイス!
トークショーの後半では、サッカー少年とそのママ3組がステージに登場。それぞれサッカーの練習や、親としてのサポートの在り方について前園さんに質問をしました。
「サッカーを続けるにあたり、小学生のうちにやっておいたほうがいいことベスト3」を聞かれた前園さん。「そんなに引き出しないな~」と笑いながらも「1つは基礎をしっかり練習すること。2つ目は仲間を大切にすること。3つ目はサポートしてくれる家族に感謝すること」と答えてくれました。
また、「子どもの応援に行くとついつい口を出したくなってしまう」というママからの相談については「まずは子どもがその試合をしてどう感じたかを聞いてあげてください。あれこれいうよりも、ここというときだけビシッといったほうが伝わると思います」と語りました。
ママとしては反省すべきところがありそうですね(笑)。
母に怒られたのは2回だけ。すごく反省しました
お母さんとの思い出を聞かれると「スパイクが欲しいといったらわりとすぐに買ってくれていたし、仕事で大変なのに、いつもサッカーの試合の送り迎えをしてくれていました。働いている親の背中しか見ていないので、そのころから親孝行してあげたいなと思っていました」とのこと。
ママとしては、将来、子どもにこんなふうに言ってもらえたら、とっても嬉しいですね!
あまり怒らなかったという前園さんのお母さん。しかし毎日サッカーの練習をがんばる前園さんも、お母さんから厳しく叱られたことが2回だけあるそうです。
「勉強のこととかでいわれることもありましたが、基本的にはそんなにあれこれ言われていません。ただサッカーの練習をサボった2回だけ、親には厳しく怒られました。『自分で決めたことは最後までやりなさい』と。それは母親からだけじゃなく、先生からも怒られました」。
自分の行動が中途半端だったと反省し、それ以降は休むことなく毎日練習を続けたそうです。
さきほどの話にあった「あれこれいわず、必要な時にビシッと言う」というのは、このときのお母さんの姿から学んだことなのかもしれません。
親やまわりに感謝する気持ちを持っている子のほうが伸びる
最後に、子どもたちに向かって大切な話をしてくれました。
「僕は今、子どもたちにサッカーを教えるうえでみんなに伝えていることがあります。それは、サッカーができることは当たり前じゃないんだよ。スパイクやユニフォームがあることは当たり前じゃないんだよ。お父さんお母さんが買ってくれたんだよ。感謝の気持ちを持とうねということです。
そういうふうに親やまわりの人に感謝する気持ちを持っている子のほうが練習もがんばるし、伸びていきます。
サッカーでも、ほかの何かでもいいけど、自分が夢中になれることを見つけてがんばってください。途中、うまくいかなくていやになったり、怒られて辞めたくなることもあるかもしれないけど、投げ出さずやり続けること。それがプロへの道を切り開いていくことになります」。
子どもの夢をサポートする親としては、参考にしたい内容が盛りだくさんだった前園さんトーク。今度は親子そろって参加したいですね。
取材、文・長瀬由利子