使ってみたい?乳児用液体ミルク。一番気になる値段について考えてみた
海外では普及しているのに、日本ではなぜか販売されていない乳児用液体ミルク。日本での製造販売について、政府もようやく本格的に検討し始めています。将来的には日本でも液体ミルクが販売されるのではないでしょうか。
でもやっぱり、一番気になるのは液体ミルクの値段。粉ミルクよりもすごく高くなってしまったら、結局買えないかもしれませんよね。 液体ミルクがすでに販売されている国ではどれくらいなのか、イギリスの価格を見てみました。
イギリスの液体ミルクと粉ミルクの価格を比べてみると……
イギリスで安さがウリのスーパーマーケットチェーンで、大手メーカーの液体ミルクと粉ミルクの値段はこんな感じでした(注)。
- 新生児用液体ミルク1lボトル 548円(3.65ポンド) 100mlあたり54.8円
- 新生児用粉ミルク900gパック 1628円(10.85ポンド) (お湯に溶いた完成量)100mlあたり27.1円
液体ボトルと粉の入った箱では、値段の違いがわかりにくいのですが、完成量100ml単位で比較してみると、液体ミルクは粉ミルクの2倍高いことになります。ちなみに外出など持ち歩きに便利な200mlボトル入りの液体ミルクは、100mlあたり59.8円。さらに割高になります。
ちなみに、日本の大手メーカーの粉ミルク1缶800gの価格が2,100円(定価ではありませんが、安売りだとこれくらいでしょうか)で計算すると、完成量100mlあたり35.5円ほどになります。
割高でも液体ミルクは使われている!?
イギリスでは、液体ミルクは粉ミルクの代わりというより、むしろ両方同じくらい使われているようです。外出先で赤ちゃんにミルクをあげている人を見ると、ほとんど液体ミルクを使っていると思います。レストランなどで粉ミルクからミルクを作っている人をあまり見ることがありません。 値段が高いといっても、一回分200ml入りボトルの液体ミルクは120円ほど。わざわざ粉ミルクとお湯を持参して、哺乳瓶に入れて溶かして、温度を確かめて、なんてやらないようです。
また、液体ミルクは無菌充填されているので、粉ミルクより安全性が高いと広く認識されています。簡単であるという理由だけでなく、衛生面からも積極的に使われているそうです。
ただ、液体は重くかさばるので買い物が大変。粉ミルクの場合、大きいサイズ1箱900gは約6リットル分になります。買い物の重い荷物を考えたら、粉ミルクの方が軽いし割安。そんなふうにメリットとデメリットを考えながら使い分けているようです。
私自身、母乳育児がうまくいかなかったので、完全粉ミルクで子どもを育てましたが、夜中の調乳、外出時の荷物の多さなどから、粉ミルクは決して楽ではありませんでした。確かに値段は高いですが、液体ミルクが手軽に手に入るイギリスのママがうらやましく思えました。
日本での価格はどうなるの?
日本で液体ミルクを生産すると、200mlボトルで300円くらい、という試算もあるようですが、実際に液体ミルクの価格がどれくらいになるかはまだわかりません。300円だとちょっと高いなぁ、と思います。
イギリスなど、ヨーロッパの赤ちゃん用品を見て思うのですが、加工済み離乳食や紙オムツなど、日本の物の方が品質が良い上に、値段も安いことがたくさんあります。日本の液体ミルクも高品質で手ごろな価格になるのでは、と期待したいです。
災害に備えて備蓄するのにも便利。育児に慣れていない男性が使うのにも便利。何よりも、毎日毎日ミルクを作るママとミルクを飲む赤ちゃんのために。日本でも早く液体ミルクが手軽に買えるようになってほしいですね。
文・野口由美子