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宇多田ヒカルさんが語った「東京は、なんて子育てしにくい街なんだろう」について思う事

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「CDを買ったのは、何年ぶりだろう?」と思うくらい、久しぶりにCDを買いました。

6年ぶりに活動を再開した宇多田ヒカルさんの『Fantôme』です。

「新曲が出る度に、必ず彼女のCDを買っていた!」というファンではなかったのですが、何度かテレビで聞いていたコマーシャルソングや、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」の主題歌がとても好きだったので購入しました。そして、このアルバムを聞いて「宇多田ヒカル」という人の凄さを改めて感じました。

今は2歳の娘と一緒に、毎日このアルバムを聞いています。ちなみに娘は『花束を君に』が大好きです。

6年の活動休止中に、結婚・出産をした宇多田さん

同じ“母親”という立場になった宇多田さんに、親しみを感じながらこのアルバムを聞くと、滲みる歌詞がたくさんありました。

そんな宇多田さんが、20日のテレビ番組で東京の子育てに関して言及していました。

「日本で子育てをしたことがないので、私の認識が間違っている可能性もあるんですけど、実際に東京で子育てをしている友だちの話なんかを聞いていると、東京はなんて子育てしにくい街なんだろうってびっくりしてます。
外で赤ちゃんが泣いていたら、すごく嫌な顔されるとか、ベビーカー持って外に行って乗り物とかに乗ると、周りが全く協力してくれないうえに、「なんだよ、こんな時間に」みたいな視線を投げかけられたり、嫌なことをいわれたりという体験談を聞くんですよね。

赤ちゃんが生まれて国が成り立って行くのに、将来自分の年金を払う人になってくるのに、なんでちょっと泣いてるくらいで嫌な気持ちになるんだろうとか、すごく不思議です。
ロンドンで一番いいなと思ったのが、お母さんと赤ちゃんがそこら中にいるんですよ

公園だろうが、レストランだろうが、お店だろうが。

授乳するにしても、レストランでも全然するんですよ。

ちゃんとしたレストランでも嫌な顔なにもされないですし、(授乳)するんですよね(日本テレビ系『NEWS ZERO』より)」

現在、実際に東京で子育てをしている筆者。他の街で子育てをしたことがないので、東京での子育ての日々が他と比べて良いのか悪いのかは、実際のところわかりません。

 

例えば筆者は子連れの時、電車に乗る時間は、10時から16時の間。それ以外は電車が混み合うので乗るのを避けるようにしたり、外食時も「子どもOK」なお店を事前に調べたりします。

これは、子どもを連れて出かける上で私が最低限、他人に迷惑をかけないようにと心がけているからです。

車社会の田舎に行けば、子連れで交通機関を使う事のストレスは減るのかなぁと感じることもありますが、今は電車やバスを使わざるをえない生活をしているので、その範囲でできる行動を意識しています。

そういう行動の制約の面で、「大変だ」と感じることはよくあります。

 

でも、赤ちゃんを抱いて街に出かけると、驚くほどいろいろな人から声をかけてもらえることに感動したのも、東京での子育ての日々で発見したことのひとつです。

「外で赤ちゃんが泣いていたら、すごく嫌な顔されるとか、ベビーカー持って外に行って乗り物とかに乗ると、周りが全く協力してくれないうえに、『なんだよ、こんな時間に』みたいな視線を投げかけられたり、嫌なことをいわれたりという体験談を聞くんですよね」

確かに、こういう経験もあります。

赤ちゃんが電車の中でギャーギャー泣けば、嫌な顔をする人の一人や二人いるのは、仕方のないことだと思います。

ネガティブな情報は発信、拡散されやすい時代ですが、実はまわりのママ友との会話では、「こんな素敵な人に出会った」「こんな風に言ってくれた人がいた」というポジティブな話が飛び交います。そういう情報は、ネットではあまり広がらない。

そして、「東京は子育てしにくい街」というイメージが広がってしまうのは、東京で子育てをしている立場として、少し残念に思い、この記事を書こうと思いました。

娘がまだ赤ちゃんだった頃は、抱っこ紐をして交通機関に乗る機会が多かったのですが、本当にたくさんの方から「かわいい赤ちゃんね」「良い笑顔ね」と声をかけてもらいました。
「赤ちゃんを見ると元気を貰える」と言ってくださった人は、1人や2人ではありません。

ベビーカーを押していたら、扉を抑えてくれる人に出会います。階段をベビーカーを持って降りてくれたサラリーマンもいました。

宇多田さんのテレビでのインタビューを見ていて、心の中で「東京での子育て、そんなに悪くないよ」と思っていました。

良いことばかりではもちろんないけど、それは東京じゃなくてもそうだろうし、逆に東京だから良いこともあるんじゃないかなと思うこともあります。

先日、スーパーに買い物に行ったとき、娘がとてもご機嫌で、カゴに入れてある野菜や果物の名前を言いながらケラケラ笑っていました。
レジに並んでからも、ケラケラ笑う娘にまわりの人もつられて笑うほど。レジの順番が来て支払いをしていたら、レジ係の方が、こんな言葉をかけてくださいました。

「かわいい笑い声ですね。とっても幸せな気持ちになれて、今日と言う日がとても幸せな日になりました。ありがとうございます」

「こちらこそ、そんなに素敵なことを言っていただいてありがとうございます」

涙が溢れそうになりました。

ベビーカーで電車やバスに乗ったときに、嫌な顔をする人に出会うこともあります。
出かける時間はできるだけ昼間と思っても、どうしても通勤ラッシュの時間に子どもを連れて電車に乗らなくてはいけないこともあります。
イヤイヤ期真っ只中の娘が、スーパーや道端で大の字になってギャン泣きすることもあります。
そのとき、周りの目が気にならないと言ったらウソです。
むしろ「きゃーーーー!逃げたい!」と思いながら、心を無にして、暴れる2歳児を抱きかかえてその場から離れます。
そのときに、「うるさいなぁ」という顔をしている人だっています。
それでも、そのときに「大変ねぇ、そういう時期があったわ」と笑って声をかけてくれる方いたり、一緒にあやしてくれる人がいたりもします。

東京での子育てしか知らないので、東京が子育てをしにくい場所なのか、正直よくわかりません。
でも、東京で子育てしていても素敵なことって実はたくさんあるんです。
私はこの2年ちょっとの間に、子どもを連れていなかったら言葉を交わすことのなかっただろう方とたくさんの挨拶や会話をしました。
その一つ一つの出会いは、日常の中で記憶の中から消えてしまうようなことの方が多いけれど、それでも子育てをしているからこそ経験できたことばかりです。

宇多田さんの「東京は、なんて子育てしにくい街なんだろう」という意見は、一理あるけど、そうじゃないこともたくさんありますよ。

「子育てをしているからこそ経験できた素敵な経験」を、多くの人が発信して、そういう世の中ってステキだよね! という空気を作っていく方が、みんな気持ち良くて良いなぁというのは理想論すぎるのでしょうか。

文・鈴木じゅん子

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