「イモトアヤコが理想の女性だ」と言う夫。その魅力について妻は考えた
私の夫はイモトアヤコさんが大好きです。
「イモトにベッキーの顔くっつけたら完璧や!」と常々語る夫。(現在は微妙な感じになってしまいましたが、夫曰はく「ベッキーの顔が世界一美しい」とのことです。)
お付き合いの期間も含め15年も一緒にいるのに、残念ながらイモトアヤコさんのような面白さも、ベッキーさんのような美しさも持ち合わせえていない妻の私は、以前に放送された『世界の果てまでイッテQ! ~登山部アイガー登頂プロジェクト2時間スペシャル~』を食い入るように見て、イモトアヤコさんの魅力を研究することにしました。
アルプスの名峰『アイガー』に挑戦!
珍獣ハンターとして世界中の国々を巡るイモトさんは、イッテQ登山部として過去にもさまざまな難易度の高い山を制覇していらっしゃいます。
『アイガー』は上級クライマーのみが立ち入ることができる特別な山で、標高3,970 m、北壁は1,800mの切り立った崖、真下には牧草地帯が見下ろせ、米粒より小さな牛が放牧されているのが見えます。
イモトさんが登るのは、過去に何十人もの命を飲み込んでいる最難関ルートの北方ルートではなく、登頂率が最も高いとされている東山稜ルートではあるものの、足元のナイフリッジ(切り立った尾根のこと)の幅は30センチ、最も狭いところでは足の幅ギリギリ。早い話、足場の悪い平均台を登っていくようなものです。
イチ女子、イチ芸人
過去に何度もさまざまな山の登頂に成功しているとはいえども、彼女が超越した強靭な精神力の持ち主かといえばそうでもなく、アイガーに登れるかどうかをテストするために登頂した『メンヒ』では、
「やだー、もう帰りたいよー」
何度も弱音を吐きます。ごくごく普通の感覚です。
そして、山登りに消極的な番組ディレクター(恐らく目上の方)には、
「殺すぞ!(笑)」
正直母としては子どもには聞かせたくないような暴言を吐いたりします。
世の中の多くの方が想像する「理想の女性」とは、少々毛色が違うようです。
いや、やはり彼女はスゴイ!
本番の『アイガー』登頂を始めてしばらくすると、彼女は
「なんか、おなか痛くなってきたかも……」
トイレへ行きたいと主張します。
目線をずらしただけで滑り落ちそうな切り立った崖で、どうやって用を足すのか。ひと岩超えた崖の片隅で用を足した後、さっぱりした顔で彼女は帰ってきます。
踏み外せば一瞬の隙で命を失う場所で用を足すくらいなら、私ならパンツの中で垂れてしまいたい。
昨年には有名な女性クライマーが、山で用を足すためにその場を離れ、足を滑らせ命を失うという事故(参考リンク)があったというのに、それを知ってか知らずか何と肝の座った方なのでしょうか。その後も
「もうイヤだ!」
「何でこんなところ登んなきゃいけないの!」
喚き、泣き、心が折れそうになりながらも、彼女は無事登頂を成功させました。
気づいてしまった、イモトアヤコさんの魅力
彼女の魅力とは、弱音を吐きまくっても最終的には必ず目標を達成すること。ただし、怖い・イヤだ・そう思ったら迷わず口に出して吐き出してしまうこと。
過酷な状況下において、たとえ逃げ出したとしてもバラエティーなのだから、それはそれでネタになるかも知れないのに、
「(アイガーに登れる女優)その枠は私が頂きましたー!」
貪欲ともいえるお笑いへの執着。
かっこ良すぎです。イモトさんは、私の夫の好みにどんぴしゃりでした。
「べっぴんやのに全力で笑いを取りに行ける女性が好み」だと言った夫の言葉を反芻しながら、
「そんな女性がいたら、競争率どんだけ高い思てんねやな」
需要と供給のバランスということで、私で我慢してもらいましょうか。
これからも、イモトアヤコさんの活躍から、目が離せません。
文・桃山順子 イラスト・193