<お母さんの娘、やめます!>母が欲しい言葉は?ジブンを押し殺す生活【第5話まんが:アヤの気持ち】
前回からの続き。私は就職してひとり暮らしをしているアヤ(21歳)です。母は感情の起伏が激しく、怒ると手がつけられなくなるところがありました。だから私はいつも母の望む言葉を探し、母の機嫌を損なわないようにふるまってきたのです。参観日も、入学式も、卒業式も、母に「来てほしい」とは言えませんでした。受験のときも母は姉の出産だけを気にかけ、私のことはすべてスルー。それでも私は女手ひとつで育ててくれる母に感謝し、母が欲しがる言葉をひたすらに言い続けてきたのです。
7歳年上の姉のときは、成人式に着物を買ってあげたという父方の祖父母。私の「20歳のつどい」式典のときも同じように「晴れ着を買ってあげるからそれで出なさい」と言ってくれたのです。しかしそのことを家に帰って話すと、母はとたんに不機嫌に……。
こんなときの母は、望むとおりの言葉を私が言うのを待っているのです。私の答えはひとつしかありませんでした。「私……着物はいらない……。大丈夫。私、スーツで行くから」
常に母の顔色をうかがい、機嫌を損ねないように自分の気持ちを押し殺す生活。こんな暮らしをいつまで続けないといけないんだろう……。そう思うようになった私は、短大を卒業すると遠く離れた場所で就職をして家を出ました。はじめてのひとり暮らしは想像以上に快適でした。
仕事は忙しかったけれど、新しい人間関係もたくさんできて毎日が本当に充実していました。そして友人のメグと食事に行ったとき、こう指摘されてあらためて母の影響に気づくのです。「またそれだ。アヤっていっつも人に合わせてばっかり。私はアヤの意見を聞きたいの!」
母はきっと、私のことを何でも受け入れてくれる娘だと思っているでしょう。いつも私が「大丈夫」と言い出すのを待っているようでした。だから遠くで就職して、生まれて初めて経験する「母のいない生活」は本当に楽しいものでした。ただずっと母の顔色を気にして生きてきた私は、いつもつい遠慮してしまうようです。温かい友達に囲まれ少しずつ「自分」というものを出せるようになってきた私は、今まで誰にも言えなかったことを口にしてみました。「私はお寿司が嫌い、生魚が苦手」母には伝えられなかったこの言葉、いつか本人を前にして言える日がくるのでしょうか……。今はまだ分かりません。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子