<お母さんの娘、やめます!>母のキゲンが最優先!顔色を伺ってきた私【第3話まんが:アヤの気持ち】
前回からの続き。私は就職してひとり暮らしをしているアヤ(21歳)です。10年前に父を病気で亡くし、それからはしばらく母と7歳年上の姉ミユキと3人で暮らしていました。しかし母は感情の起伏が激しく、怒ると手がつけられなくなります。そんな母の姿を見て、私のすべての判断基準は「お母さんが笑顔でいてくれるかどうか」になりました。母さえ笑っていてくれれば家庭は平和だし自分にも害は及びません。母の顔色をうかがって生きてきたと言っても過言ではない、そんな人生でした。
あれは私が小学生で、まだ父が生きていた頃……。父方の祖母が「食べきれないほどの魚をもらったから」と、母にたくさんの生魚を持ってきたそうです。晩ご飯の食卓を囲みながら不平不満をつぶやき、どんどん機嫌が悪くなる母。「そこまで怒るなよ」という父の言葉に「あなたはいつもそうやって他人事で……!」とイラ立ちをあらわにします。
「私、後片付けやっておくから、早めに休んだら?」「お魚さばくの疲れたでしょ?」「とっても美味しいよ。ありがとう」私は母の求める言葉を必死で探しあて、母の機嫌がよくなってくれるとようやく安堵していたのです。
学校行事も母はほとんど来てくれませんでした。「お母さん大変だと思うし、私、別に誰にも来てもらわなくても大丈夫!」母の機嫌を損ねると、話がどんどん大きくなって面倒くさい時間が増えてしまうので、私は極力そうならないように気を張っていました。「あ! ウチのママ来た!」参観の日、教室で友達は嬉しそうに私に言います。隣の家の友達のママは来てくれるのに……。「良かったね」気丈にふるまいながら、下を向いて寂しさを我慢するのが精一杯でした。
それでも私は母のことが大好きでした。毎日食事を作ってくれるし、習い事も行かせてくれます。ただときどき機嫌が悪くなると手が付けられないくらい怒り出すだけ。それさえ回避すれば平和な生活を送ることができるのです。母の怒りを買わないように、母の喜ぶ言葉を探しながら、私はいつも「大丈夫」と言って母を安心させていました。「寂しい」「行事に来てほしい」なんて言ったら母は機嫌が悪くなるでしょう。それを考えると、母の意向に反するようなことは口が裂けても言えませんでした。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子