「産んだのはあなた。育児は親の責任。」山田宏・元次世代の党幹事長が発言。子育ては全部自己責任ですか?
またもやオジサン議員の不用意な発言で、ネットが大騒ぎになりそうです。
山田宏・元次世代の党幹事長が31日の自民党東京都連の会合で、以下のように発言しました。
現在、保育園の問題が大きな問題になっている。私も杉並区長時代、相当苦労した。(中略) 「保育園落ちた日本死ね」というような、まぁ、落書きですね。こういうものを不振りかざして国会で質問しているようでは、私は野党はだめだと思う。この言葉自体も、私にしてみれば「産んだのはあなたでしょう」と、「親の責任でしょう、まずは」と言いたいところだ。
その上で、きちっと保育園の整備していくことが私は大事ではないかと思う。そういったことなども含めて、やはり相当費用がかかってまいるけど、これはまさに東京都の問題だと思っている。(引用:産経ニュース)
これを読んで頭から湯気が沸いてしまったママ(私もですが)、その後山田氏はホームページで釈明しているので、冷静になるためにも一度、その全文を読んでみましょう。
本日(3/31)のある部分だけを切り取られ、流されているニュースについて
私は杉並区長時代に、待機児童をゼロにし、また保育サービスの充実も図るなどして子育て支援に力を入れてきた経験があり、それらの必要性は十分に理解している。
国、東京都において、女性が働ける環境をつくるためにも保育サービスの充実を図ることが喫緊の課題であることは大前提として発言をした。
「日本死ね」という匿名でだれが書いたかわからないブログに関して、子どもを育てるのは、第一義的には親の責任であり、子育ては国次第、自分の子どもを育てることに対して社会が責任をとれ、というのは考え方が間違っているのではないか、ということを申し上げた。
そのうえで、また朝昼晩の3食を保育園でとる子も増加しており、保育サービスが「子どものために」どうあったら良いかを国や企業もしっかり考える時期に来ていると思う。(引用:山田宏公式ホームページ)
で、山田氏の釈明を読んで、冷静になれましたか?
すみません、冷静になるどころか、私は読んでいるうちに逆にヒートアップしてしまいました。
山田氏は東京都議会議員や衆議院議員を経て、1999年4月から2010年5月まで杉並区長を務めた人物です。
区長として3選もされてるんですね。
区長時代は待機児童ゼロを達成したほか(潜在待機児童については触れられていないのでわかりません)、「杉並区減税基金条例」を成立させるなどして、2020年から住民税を10%減税するという計画を立てました(後任の田中良区長によって廃案)。
そして今年の夏の参院議員選挙で、全国比例区で自民党公認で出馬する予定だとのことです。
杉並区民ではない私は、山田氏によって良くなった杉並区を(杉並区民の皆さま、実際どうでしたか?)存じ上げないので少々乱暴な言い方になってしまうのですが…、間違っているのは野党やニュースを流した産経新聞ではなく、あなたなのでは…?
「保育園落ちた日本死ね」のブログはご本人もおっしゃっているように、ただの個人の日記です。
でも小さなお子さんを連れて国会まで足を運んだママさん達は実在しましたよね。
ここまで待機児童問題が大きく取り上げられたのも、その「保育園落ちた日本死ね」に共感した方々がいたからだと、ご自身が杉並区長として子育て支援について苦労なさって来られたのなら想像は働かなかったのでしょうか?
「こんなところまで小さな子供を連れて…」と批判も受けた国会に集結したママ達の心情をおもんばかることはできないのでしょうか?
都会では邪魔だ邪魔だと冷たい目で見られがちなベビーカー。地下鉄の乗り降りでもエレベーターを探して彷徨うのなら、抱っこひもで。足腰ガタガタ言わせながら日々抱っこひもで移動するのがどんなに体に負担がかかるか。それでも一番負担が少ないと言われるエルゴの抱っこひもを使っていて何が悪い。そうしてでも訴えに行かなければならないほど切羽詰まっているから集結したのではないですか?
親の責任?実家からも義実家からも世間様からも、何かと言えば「親の責任」と言われないように、自分のあらゆる欲に蓋をして神経すり減らしながら子育てしている親に、更に追い打ち駆けるようなセリフよく言えますね。
山田氏が子どもの頃なら親が見ずとも、周りの大人がたくさん世話を焼いてくれたでしょうが、現代の子どもは小学校中学年頃までは独りで外出させれば「放置子」扱い。責任はほぼ親(現状母親)だけの肩にのしかかっています。
山田氏がこの発言をした会合で、「山田さん、その発言まずいですよ。」と思った自民党都連のメンバーはいなかったのでしょうか?
3食保育園で食事している子どもがいるとすれば、長時間労働こそが労働の誇りだとする日本の悪しき習慣とそれを常態化させてている企業のトップではないでしょうか。完全に国の責任。親の責任ではありません。
誰が好き好んで可愛い我が子の寝顔しか見られない生活を送るもんか。
3食家で食べられる子どもがいるのは、労働をあきらめて自宅で子どもを見ることを決めざるを得なかったママ(パパ)の犠牲のもとに成り立っているのです。
解消しても解消しても保育園入所希望者が増えるのは、決して働きたいとワガママをいう親が多いからではなく、「働かないと子どもに生活させてあげられない」という切実な要求から。所得税を納めるだけが活躍だなんて思って家で子育てをしている親をないがしろにしているから、予算が、土地が、などと待機児童問題を悪化させていることを、考えたことはありませんか?
「計画なんてしなくていい。いつでもいいからバンバン子ども産んで、子どもがちょっと大きくなったら、また働きに帰っておいで。」
そんな社会にならなければ、少子化打破・一億総活躍プランなんて絵に描いた餅にしかなり得ないのではないでしょうか?
最後に、山田氏がたまたま発言したことで炎上必至な情勢ですが、まともな子育て経験が少ない多くの政治家の先生方の考えなど、しょせんこの程度なのが現実でしょう。
彼らの日々の激務を考えれば子育て世帯の思いなど思いやる時間も少ないでしょうから、この発言も多少致し方なしかと思いますが、わからないならわからないで、もっと高いところから降りてき組織票を狙える団体とばかり話し合うのではなく、一般の市民の声にもお耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
文・桃山順子