豊田エリー:第7回 一緒に人生をやり直せているような、不思議な感覚がありますね
前回はご夫婦のお話をあれこれうかがってきましたが、今回は最愛の娘さんについて。この春小学校に入学し、エリーさんも大きな成長を感じているようですよ。
娘さんは、この春小学校に入学したばかりだそうですね。入学式には参加されましたか?
行きましたよ。感動しました。ハッピーな行事だから、感動はしないと思っていたんですよ。でも在校生たちがみんなで歌を歌ってくれて、それが合唱コンクールで聞くようなものじゃなくて地声が大半の素朴な歌声で。「世界中のこどもたちが」という歌だったんですけど、曲自体もよいし子どもたちの歌声がすごく素敵だなと思いました。うちの子も幼稚園か保育園かで教えてもらっていたみたいで一緒に口を動かしていたので、それを見てまた「うわ~、歌ってる!」って感動して。すごくいいなと思って、今後の学校行事がまた楽しみになりましたね。
上の学年の子が下級生たちの面倒をみてくれているみたいで、そこも安心です。ひとりっ子だから家の中に子どもの上下関係がないので、学校でそういうふれあいがあるものありがたいなと思っています。
娘さんが小学生になって、何か気持ちに変化はありますか?
もう一歩自立したな、というのはありますね。やっぱり家から歩いてひとりで通うので。
あれはドキドキですよね。それまではひとりで外を歩かせたこともなかった子が……
そうそう。思わずGPSで探しちゃったりしました(笑)。今はもう大丈夫です。小学生になって、本人も誇らしげですし。幼稚園のときは考えられなかったようなことを、どんどんひとりでやっていくので……。心配な事件も多いですけど、でもそうやって大人になっていくんだなって思うから。
やっぱり寂しい気持ちもありますか?
あ、私はけっこう早く大人になってほしいと思っているんですよ。早く一緒にお酒が飲みたい(笑)。一緒に旅行に行ったり仲よくやりたいので、成長するのが楽しみで楽しみで。
ひとりでできることも増えましたし。夜暗いのも平気みたいで寝るときもひとりだし、お風呂もひとりで入れるし、着替えもできるし。数年前を考えるとできないことばかりだったのに、もう私が知らない社会に関わっているんですよね。学校での話を聞いていると、「家ではない世界があるんだな」って思います。
すごく感じるのが、自分も一緒に人生をやり直せている感覚。子どもが幸せな小学校生活を送れていたら、自分の思い出もよいものになっていくような気がします。ちょっとリンクしているのが、おもしろい感覚だなって。私は小学校はあんまり好きじゃなかったんですよ。学校の集団行動が苦手だったんですけど、子どもはちゃんとうまくやれているみたいなので。「あ、小学校もそんなに悪いものじゃないな」って思えるようになりそうです。
わりに要領のよいタイプなのかもしれないですね
たしかに。ちっちゃいときから保育園に行くこともあったので、集団の中にポンと入れても、自分の居場所を見つけるのが上手いかもしれないです。
そんな娘さんとのつきあい方にも、変化はありますか?
急には変わらないですけど、「どうだった?」ってあんまり聞いていると「しつこいなぁ」みたいな雰囲気は出てきたかも。まぁ、それも”成長”ということで(笑)。おもしろいですよ。「ママ、ママ」ばかり言っていたのが、ちょっと離れてきたので。
ケンカはしますか?
不機嫌になったりして、たまにケンカっぽくなりますけど。でも”握手で仲直り”っていう決まりを作っているんですよ。娘から手を差し出すパターンもあるし、私からもあるし。握手したらもうニコニコじゃないとダメ、っていう決まりです。
それが続くといいですね! さっき娘さんとは「タイプが違うかも」と言っていましたが、逆に似ていると感じるところはありますか?
自分ひとりの世界に没頭できることかな。あと、遊び方とかは似ていますね。体を動かすこともそうだし、歌ったり踊ったりするのも好きみたいで。自分が小さいときの遊び方によく似ているなと思います。
テレビで好きなアニメも似ていますね。試しに『(美少女戦士)セーラームーン』を観せたら、すごくハマっちゃって。
好きなセーラー戦士も同じだったりして(笑)?
それがね、うまく分かれているんですよ。私が小さいときはジュピターだったかな? 大人になってからは、ウラヌスのよさに気づいたんですけど。娘は、最初はど真ん中にセーラームーンが大好きで、今は亜美ちゃん(マーキュリー)。
お友達には「何、それ?」って言われちゃうみたいですけど、「最近のアニメよりおもしろいんだよ~」って言っています(笑)。やっぱり同じ趣味を共有できるのは女同士ならではですね。”仲間”という感じがします。
女同士だと、「パパがまたこんなことをやったよ! 困っちゃうよね」みたいなのも、ありますよね(笑)
たしかに(笑)! そういう結束力はあるかな。ママの味方になってくれたり、というのもありますね。
ママと一心同体だったような幼児期から、自分の世界が少しずつ広がっていくのが小学生ですよね。「一緒にお酒を飲みたい」なんてずいぶん気が早いようですが(笑)、子どもの成長を手放しで喜べるのは素敵なことです。
さて、次回はついに最終回。エリーさんの将来の野望(?)がわかるかもしれませんよ。
取材、文・鈴木麻子 撮影・泉三郎