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大流行中のインフルエンザと胃腸炎、予防と対処法は?

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インフルエンザや胃腸炎が猛威を振るっていますが、お子さんをはじめご家族の方は大丈夫でしょうか。いざというときあわてないため、予防とかかってしまったときの対処法について学んでおきたいもの。

先日、都内の小学校で保護者向けに「子どもの感染症対策」についての講演会が実施されました。

講師としてお話してくれたのは、「小児科オンライン」橋本直也先生。講演の内容を橋本先生の言葉でお伝えいたします。

予防法は家族全員手洗いをすること!

胃腸炎といえば、年中はやっている印象がありますが冬の時期はとくに多くなります。胃腸炎にかからないためには、一にも二にも手洗いをすることが大切です。胃腸炎のウイルスはあらゆるところに付着しています。それを無意識のうちに触り、手を口に入れたりすることで感染してしまうのです。
万が一、家族の中で一人でも発症すると蔓延する可能性があるので、感染したお子さんはもちろんのこと、それ以外の家族もよく手を洗ってください。これが一番有効な予防法です。

胃腸炎にかかったらおなかを休めて

胃腸炎にかかると下痢や嘔吐、腹痛、発熱の症状などが出ます。下痢と嘔吐が一緒に出てしまい、つらい思いをされたお子さんもいるかもしれませんね。
胃腸炎の場合、ウイルス自体をやっつける薬はないので、それぞれの症状を緩和していくことが対策となります。なかでも一番大事なことは、おなかをやすめることです。おなかの調子が整うことで下痢や軟便の期間も短くなるし、腹痛も起こしにくくなります。

脱水に要注意! 吐き気が強い時はムリに飲ませない

胃腸炎で気をつけたいのが、吐きすぎて脱水になってしまうこと。だからといって、吐き気があるときにムリに水分を取らせるとよけいに吐いてしまうことがあります。
こんな時は、心を鬼にしてあえて吐いた直後は水分を与えないでください。のどが渇いたと思っているのは実は脳の中だけで、お腹は準備が整っていません。ここで飲ませてしまうと、飲んだ以上に吐いてしまい、結果的にそれが脱水症状を引き起こすことにつながってしまうのです。

水分を取らせる時の注意点

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水分を取らせる時は、最後に吐いてから1時間半から2時間ほどたってから、ティースプーンに1杯ずつ、5分おきにあげてください。この場合、OS1などのイオン飲料を与えるのが効果的です。よく「うちの子はイオン水が苦手だからお水かお茶にするわ」というママもいますが、そんなときはオレンジやアップルジュースを与えるようにしてください。
というのも、ただの水やお茶には、糖分と塩分が含まれていません。これらが足りなくなると余計にぐったり感が強くなってしまうのです。足りない分を補うためにもイオン飲料、またはジュースをおすすめします。

こんなときは要注意! 見逃してはいけない重症化のサイン

以下のような症状が出たときは、すぐに病院を受診しましょう。
・血便が出る
・2時間あけて少量ずつ水分を取らせても吐いてしまう場合
・嘔吐物が濃い抹茶色だった場合
・呼びかけても反応が乏しい場合(低血糖、脱水の可能性)

みんながワクチンを打つことで子どもたちを守ることにつながる

続いては今大流行のインフルエンザについてお話します。インフルエンザはのど風邪の一種です。ただの風邪と比べて、熱が高かったりぐったり感が強かったりします。症状としては、咳、鼻、くしゃみ、時には腹痛や下痢をすることもあります。
よく患者さんから「インフルエンザワクチンは打つべきですか」と聞かれますが、医療者の立場からいえば打った方がいいです。予防接種をすることでかかる確率は60%程度減らすことができます。また、ワクチンを打つことで、重症化することを70%程度減らすことができます。この観点からも、ワクチンを打つことは大切です。
できるだけ多くの人がインフルエンザワクチンを打つことで、ワクチンが打てない生まれたばかりの赤ちゃんや、重症化しやすい2歳以下の子どもたち、妊婦さん、お年寄りを守ることにもつながるのです。
私たちが今健康でいられるのも、これまで多くの人たちがワクチンを打つことで病気の感染、拡大を増やさないようにしてきたからのです。

インフルエンザの検査はどこまで正確?

よくインフルエンザの検査はどこまで正確ですかと聞かれますが、陽性であれば95%以上正しいです。陰性の場合は10%~40%の割合でインフルエンザにかかっているにも関わらず、陰性の反応がでることがあります。
たまに夜中に高熱が出て心配ですぐに夜間救急に連れてくる親御さんもいますが、熱さましなどの薬を飲んで眠れるようであれば、病院に行くのは朝になってからで大丈夫です。

インフルエンザにかかったら薬を飲まないと治らない?

日本は海外に比べてインフルエンザにかかって薬を飲むことが非常に多いです。飲まないと治らないというわけではないです。ただし、重症化するリスクのある2歳以下のお子さん、喘息のお子さん、水も食事もとれないお子さんなどには処方します。それ以外は、基本的には自分の免疫で治せる病気だということをお伝えしておきます。実際の処方の有無に関しては、総合的な判断になりますので、診察を受けた先生のご判断になります。

保護者からの質問タイム

橋本先生のお話のあとは、質疑応答の時間がありました。子どもを持つママやパパたちから以下のような質問がありました。橋本先生の回答とともにご紹介いたします。

インフルエンザ薬の作用は?

一般的な風邪には特効薬はありませんが、インフルエンザはまれなウイルスで特効薬があります。それがタミフル、リレンザ、イナビルという薬です。この3つはインフルエンザウイルスの増殖を抑えてくれる特効薬です。飲むことで熱の期間などを短くすることができます。

処方された薬は最後まで飲み切ったほうがいい?

処方された分はすべて飲み切ってください。現在、インフルエンザウイルスに対してタミフルが有効だとされていますが、途中でやめてしまうとタミフルに対して耐性を持ったウイルスができてしまう可能性があります。――――――――――――――――――――――――――――――――――
胃腸炎やインフルエンザなどの感染症は、子どもがかかることも大変ですが、看病している親自身も感染する可能性は非常に高いです。インフルエンザワクチンの接種をはじめ、感染予防にも力をいれ、なんとかこの時期を乗り越えましょう。

 

橋本直也 先生
都内小児科クリニック勤務。小児科専門医。日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修、国立成育医療研究センターにて小児科医研修。東京大学大学院にて公衆衛生修士号取得。
小児科医にLINE、電話、テレビ電話から相談できる「小児科オンライン」を運営。「救急外来に行くべき?」「子どもの発達が気になる」そんな時気軽に利用できるサービスを目指す。

取材・文、間野 由利子