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「ごめん、遅くなる」メッセージを送るパパの罪は意外と深い

先日、子どもを怒鳴りつけました。完全に私の都合で、です。

その日、私は朝から体調がすぐれませんでした。それでも仕事は忙しく休むことはできず、仕事から帰宅→お迎え→ご飯→下の子のお風呂を旦那に任せて上の子と整体へ、という予定にしていました。

まず予定が狂ったのが、仕事の終わる時間。体調不良もあり、仕事が思うように片付かなかったのでいつもより退社が遅くなりました。とにかく、お迎えに走りに走ってどうにか間に合い、帰宅後からの夕飯の準備。そこで1歳の下の子がぐずり、抱っこでないと何も手につかない状態に。「仕方がない」とばかりに放っておこうにも、4歳の上の子が下の子を気にして、手洗いもせずに寄ってくる。お迎えがいつもより遅かったからか、お腹が空いている下の子はますます泣き出し、上の子は「ねぇ、折り紙したい!」と勝手におもちゃを引っ張り出し始める。私はそれを「ご飯が先!」とけん制しつつ、片手で下の子を抱っこしながら自分の風邪気味で垂れてくる鼻水を拭く……一言でいえば育児のキャパシティが小さい私にとってはけっこう大変だったのです。

一通のメールが引き金に

そんな怒涛の時間をやり過ごしながら、どうにか二人の子どもの夕飯を作り終えたころ。私の気持ちは「あと少し…あと30分頑張れば、旦那が帰ってくる。そしたら、子どもを見てもらって、あそこに山盛りの洗濯物をたたもう」とカウントダウンしてどうにかやり過ごしていたのです。この体調不良も整体に行けば、少しは改善するかもしれない…1歳児の抱っこで悲鳴を上げている腰もよくなるはず。あと20分、あと15分……。

そんなときに届いた旦那からのメッセージ、

「ごめん、今日やっぱり遅くなる」

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この瞬間に何かが私の中で崩れました。それまで、どうにか気を張っていた何か。「いいお母さん」であろうとする気持ちなのか、「いつもがんばっている自分」なのか、わかりません。タイミング悪く、話しかけてきた上の子に思わず「うっるさいなぁ!! 本当に! もう、ママは忙しいの! 見てわからない? た・い・へ・んなのっ!」と力の限り、感情をぶつけてしまったのです。驚いた子どもは恐怖でそのあと、とても「いい子」になりました……。

育児のキャパシティは人それぞれ

「ひどい母親だ」「子どもがかわいそう」「私はいつも一人ですべてやっている」という人もいるでしょう。……はい、私もそう思って自分を責めましたし、正直子どもたちが寝付いたあとにこんな母親の元に生まれた子どもに申し訳ないとさえ思いました。子どもたちは日中、保育園に行っているので、家で過ごす短い時間でさえ私は大事にできないのかと自分に失望したりもしました。

「そんな一人育児なんて私は毎日ちゃんとやっているわ」とか「シングルマザーはもっと大変」という人もいるでしょう。その通りだと思います。でも、その日の私には限界だったのです。「母親なんだから、女性なんだから、そのぐらいうまくやりなさい」と言われても、その日の私にはできませんでした。
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虐待のきっかけは育児のイライラ+α

自分に失望しながらも、こんな日々が続いたら私は、子どもたちに手を上げてしまうこともあるかもしれない、と怖くなりました。幸いにも旦那はそんな私のおちょこ並みの器の小ささを知っているので、早く帰ってきてくれることも多いですが、そんな家庭だけではないはず。いまだ絶えない子どもの虐待や親子心中のニュース。先日、虐待件数が10万件を超えたことも話題になりました。

私はそれまで「育児へのイライラ」や「親としての資質」にばかりに気をとらわれていました。しかし虐待を引き起こすきっかけは、親子関係だけでなく、誰かの心無い一言だったり、パートナーの「子育てのことは勝手にやってくれ」とか「遅くなる」メールのような孤独な育児に追い込む行動だったりが重なるということも大きな要因になるのではないか、と思ったのです。毎日のように「ごめん、遅くなる」メールを送るパパも多いでしょう。もちろん虐待につながる理由がそれだけとは私も思いません。でも、一通のメールが引き起こすかもしれないリスクを果たして、どれだけのパパが、社会が、わかっているのだろうか……とふと思ったある日のできごとでした。

文・犬山柴子 イラスト・ゆずぽん

参考

児童虐待の対応、10万件超える 「心理的虐待」が増加、なぜ?

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