大人用ベッドからの転落事故は6年半で564件。有効な対策方法とは?【朝ごふんコラム】
寒い冬の季節。体温の高い子どもと一緒に寝ると、夜中の授乳も楽だし布団も温かくなっていいですよね。ただ、気をつけたいのが、大人用ベッドから子どもが転落する事故が多発しているという点。約6年半の間に564件もの事故が起きています。実際の事例をもとに、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の大野美喜子さんに、ベッドからの転落事故などの子どもの睡眠環境についてお話を伺いました。
6年半の間に564件もの事故が発生
0~1歳の子どもが就寝時などに大人用ベッドから転落する事故報告が、平成22年12月から平成29年6月末までの間に医療機関から消費者庁に564件も寄せられています。そのうち0歳児が457件、1歳児が107件と、圧倒的に0歳児が多いことがわかりました。さらに、残念なことにベッドからの転落によって亡くなったと思われる事故が9件起きています(※消費者庁が分析した厚生労働省「人口動態調査」。平成22年から平成26年までの5年間分。0~1歳児)
いったいどのようにして事故は起きているのでしょうか。
ベッドからの転落で頭蓋骨骨折などの大ケガ
『普段はベビーベッドで寝かせているが、大人用ベッド(高さ約 60cm)で寝かしつけをして、目を離した間に転落。頭蓋骨骨折、6日間入院』
『大人用ベッド(高さ約 55cm)で親と一緒に寝ていた。転落防止のため、枕で壁を作っていたが、子どもが寝返りをして枕を乗り越え、フローリングの床に転落。頭蓋骨骨折、急性硬膜外血腫で4日間入院』
『親が大人用ベッドに寝かしつけて寝室を離れ、しばらくして再び寝室に入ったところ、壁とベッドの隙間に挟まるように転落し、呼吸が止まっていた』
大人が壁になって寝れば転落の危険性はないと思われるかもしれませんが、子どもは寝相が悪くあちこちに転がっていってしまいます。数十センチ以上の高さがあるベッドから転落すると、頭蓋骨骨折や頭蓋内損傷を受けかねません。木製のフローリングやカーペットの上に落ちるのは、コンクリートの上に落ちるのとあまり差はないのです。
ベッドの下にクッションを敷き詰めることはキケン
「ベッドから転落しても大丈夫なように、床にクッションを敷き詰めている」というママもいるかと思います。ただ、これも実は大変危険なこと。なぜかといえば、転落したときに頭は守られたとしても、クッションに挟まり窒息してしまう可能性があるからです。
また、下にクッションマットを敷いていても、ある程度の高さから落ちると、頭蓋骨骨折や意識喪失を伴う骨折など中等度の頭部損傷になる可能性があります。
子どもの安全な睡眠環境について、もう1つ気をつけることは……。
1歳までは大人と一緒の布団で寝ないこと
1歳まではSIDS(乳幼児突然死症候群)の可能性があるため、予防のために固いマットレスに寝かせましょう。やわらかいベッドだと、うつぶせになった時にマットレスに顔がうもれて気道をふさいでしまうことがあるからです。また、大人の布団が顔にかかったり、ベッドと壁の間に挟まれて息ができなくなる事故も実際におきています。
大人と同じベッドや布団では寝かせず、特に小さな赤ちゃんはベビーベッドで寝かせましょう。また、赤ちゃんを寝かせる時は仰向けで寝かせるようにしましょう。
冬でもかけ布団はしない!スリーパーとレッグウォーマーで大丈夫
冬の時期は、寒いだろうからといって子どもに厚めのかけ布団をかけたくなると思います。ところが何かの拍子に、かけ布団や毛布が顔にかかり息ができなくなる、ということがあります。
窒息の危険性を考えて、厚めの布団や重い布団は避けることをおすすめします。最近では布団のかわりにスリーパーやレッグウォーマーなど、布団をかけなくても良い寝具もあるので、それを利用すると良いでしょう。寒さが気になるようだったら、たまに足や手が冷たくないか確かめてあげるといいですよ。部屋が寒くなりすぎないように、適度なあたたかさでエアコンを入れておくといいかもしれませんね。また、乳児の場合には、ぬいぐるみなども含め、赤ちゃんの周りに何も置かないことがとても大切です。
今回のポイント
①赤ちゃんを寝かせるとき(お昼寝や就寝時だけでなく、ちょっと物を取りにいくような短い間でも)、大人のベッドに寝かせるのはやめましょう
②窒息を予防するため、マットレスは固めのものを選びましょう。また赤ちゃんを寝せるときは仰向けで寝かせ、頭周りにはなにも置かないようにしましょう
「毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとってほしい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
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