アニサキスが気になる! 魚は食べても大丈夫?【朝ごふんコラム】
今回のテーマは「寄生虫 アニサキス」や「ペットボトルの雑菌」など「身の回りの食と安全」についてです。ママの気になる疑問を消費生活アドバイザーの古谷由紀子先生に伺いました。
寄生虫「アニサキス」はどう対策したらいいの?
――最近、魚などに寄生するアニサキスが問題になっていましたよね。日々の中でも「魚に寄生虫が入っていたら大変!」と不安になってしまいます。
古谷:ママたちは1つ、「危ない!」という情報が出ると、あれこれ心配になるわよね。もう魚はたべないほうがいいかもとかね。アニサキスは鮮度が落ちると内蔵から筋肉に移動するとのことなので、まずは買い物の際に新鮮な魚を選ぶこと、そして内臓は食べないことなどを心掛けるといいわね。それに60℃で1分、あるいは70℃以上で加熱すれば、瞬時に死滅するとのこと(※1)。
また、アニサキスによる食中毒が起きても、その種類の魚自体が危険だというわけではないのでその魚を食べないというのもおかしな話。もしその種類の魚が危ないなら、国から「その魚はやめましょう」というメッセージが出ると思うの。今のところそういうメッセージは出ていないでしょ。だから大丈夫よ。
魚を避けることよりも食べないことのほうが心配!?
――妊娠中にマグロを食べると水銀が入っているから、摂取量を気をつけてという話もありますよね。妊婦はマグロを食べても大丈夫なんですか?
古谷:大丈夫よ。魚を食べてはいけないということではなく、量を考えることが大切ということ。厚生労働省で「妊娠中は、マグロの刺身は一週間に80gまでにしましょう」(※2)と呼びかけているけど、それはマグロに含まれている水銀が一定量に達すると、おなかの赤ちゃんに影響が出る可能性があるといわれているからなの。
これは妊婦さんに呼びかけていることなんだけど、この話だけを聞くと「マグロは危ない」、もっといえば「魚は危ない」となって「食べないほうがいいんじゃないか」となるでしょ。
でも、魚は良質なたんぱく質や健康ににいいといわれているドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)も他の食品に比べ一般に多く入っているなど健康的な食生活には不可欠で優れた食材でしょ。
「魚は危ないから食べないでおこう」じゃなくて、いろんな種類の魚を食べること、そして他のたんぱく質を多く含む食材(肉、卵、大豆、牛乳など)なども併せてバランスよく食べることが大事ね。
(※2)参考:これからママになるあなたへ お魚について知ってほしいこと(厚生労働省)
しらすの中にえびが入っていたら「異物混入」!?
古谷:そういえば先日、しらすの中にエビが混ざってたことが問題になってたわね。だからか、最近はパッケージに「雑魚が混じる場合があります」なんて注意書きを見かけることも増えたわ。
――どうして混ざってしまうのですか?
古谷:しらす漁の際にエビ、イワシ、プランクトンが一緒に網にかけられることがあるそうよ。ただこれは異物じゃなくて普通にあることなの。もちろんできるだけ除去しているけど見落とされてしまうこともあるのね。でもほとんどの人がシラス漁の実態を知らないから、違うものが入っていると「異物混入」になってしまうのね。食べてももちろん害にはならないので安心してね。
――たしかにそうですね。シラスの中に入っているエビは異物ではないということですね。消費者のなかには、しらすにエビが入っていると「ラッキー!」といって喜ぶ人もいるらしいわ。
古谷:私たちは、どのようにして漁が行われているのか、どのような畑で野菜がつくられているのか、ほとんど知る機会がないから、ときどき誤解が生じることになるのね。ママたちも魚や野菜がどうやって私たちの食卓まで届いてるのか、知るようにするといいかもしれないわ。自治体や企業では「食育」として力を入れているところもあるので調べたり、講座に参加したりもいいとおもうわ。
口をつけて飲むペットボトルは雑菌だらけ
――ところで先生、話は変わるのですが、最近ペットボトルに口をつけて飲むと雑菌が繁殖するという話を聞いたんですが、それって本当ですか?
古谷:繁殖するわよ。よく500mlのペットボトルを2、3日かけて飲む人がいるけど、あれはやめたほうがいいわね。口の中には雑菌がいるから、口をつけて飲むとそこから雑菌が繁殖するの。人によっては病気になることもあるのよ。開封したら早めに飲んだほうがいいわよ。
――2Lのペットボトルだとすぐに飲み終わらないこともありますよね。その場合はどうなのでしょうか?
古谷:口をつけないことが大事なの。コップにわけて飲んだ場合はだいぶ違うのよ。もちろん、空気中にも雑菌はいるから、開封後しっかり栓をして冷蔵庫に入れ、早めに飲んだほうがいいわね。
アニサキスにしても、マグロの話にしても、お母さんたちは「より安全」を求めて、ついつい過剰に自主規制してしまうところがあるわよね。子どもを守るために頑張っているのはわかるけど、子どもを安全に育てるには食べないことのリスク、量、バランスもよく考えて行動してね。
「毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとって欲しい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムでは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
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