「新設保育園」園長に聞いてみた!住民に受け入れられる保育園づくりとは
「保育園落ちたの私だ!」と声を上げるママが大勢いるなか、保育園を新設しようにも各地で反対運動が起きるなど、解決策を見出すのが難しい保育園問題。保育園を新設するにあたり、地域住民の方に受け入れてもらうためにはどうしたらいいのか――。
2016年4月に保育園民営化に伴い、別の場所に園舎を新設・開園した私立保育園園長 上原隆寛先生にお話をお聞きしました。
町内会などの集会には足を運んであいさつ回り
保育園を新設することが決まったのが3年前。区の担当者の方からご連絡をいただき、近隣の3つの地域の町内会の会長さんをはじめ、住民の方々にご挨拶、説明会をさせていただきました。住民の方の反応としては、反対という感じはまったくなく、むしろ温かく歓迎していただきました。
騒音対策、駐輪スペースなど保育園側も配慮が必要
この地域は、付近に学校や幼稚園、公園、老人ホームも多く、居心地の良さから親子三世代で住んでいる方もたくさんいるそうです。地域のパトロールや公園内での子どもの見守り、清掃活動、お祭りなど町内会の活動が活発で、子どもと大人が関わる機会を積極的に作っているとてもいい町です。
そんな普段から子どもの声がする町であっても、地域の方への配慮は必要です。たとえば騒音問題。室内の防音対策はもちろんのこと、園舎の外に植木をして音が外に漏れにくいようにしています。園庭で遊ぶ時間もクラスごとにわけたり、ホールなどを利用して室内遊びを充実させることで、声が外に漏れるのを最小限にするよう気を配っています。
また、車や自転車の駐車スペースなどの問題に対しては、車での登園は原則禁止。駅から遠く多くの保護者の方が自転車登園になるため、駐輪スペースは園の中に作りました。ほかにもいろいろありますが、保育園としてできるだけ地域の方に迷惑がかからないよう配慮をしています。
地域のために保育園としてできることは何か
私自身は、別の区でも保育園運営に携わっていますが、この地域とのつながりは保育園を通して始まったばかりです。保育園は、開園時間内だけ子どもを預かっていればいい施設ではなく、その地域に根ざしたコミュニティの一部になるべきだと考えています。
そのため保育園として地域のお祭りに参加したり、神輿が出る時は給水所として園庭を開放したり、園児と一緒に保育園のまわりの清掃活動をすることができればと考えております。
そうした活動を通して、子どもたちともども保育園が地域に溶け込んで、受け入れていってもらえたらと思います。また、地域活動に参加することで子どもたちが大きくなった時、この地域を支えるようになってくれるのではないかと期待します。保育園という場を通して交流が広がっていくと、地域の方も保育園を受け入れやすくなるのかもしれません。
取材、文・長瀬由利子