ハッピーなだけじゃない!妊娠・出産に関するリアルが描かれた一冊です
「お産は人それぞれ。教科書通りのお産なんてないんですよ。」
破水後もなかなか陣痛が来なくて、3日目に緊急帝王切開になった著者が、出産時に助産師さんから言われた言葉です。
妊娠・出産は、経験しないとわからないことがたくさんあります。
ママになった友人達を見て「幸せそうだなぁ。いつか私もママになりたいな」と憧れていた著者ですが、人より重めのつわりや、切迫早産、子宮筋腫ありのハイリスク妊婦…と、妊娠生活だけでも、「なんじゃこれ~!」のオンパレード。
けど、聞けば、ママになった友人達も「つわりが辛かった」「切迫で入院しかけた」「逆子でずっと体操をしてた」など、楽な妊娠期間を過ごしていた子のほうが少なかったのです。
産後も、「赤ちゃんは、3時間毎におっぱい飲むんだ」「続けて寝るのは難しそうだな」「完母推進の病院だからおっぱい出るといいなぁ」という考えで臨んだら、まずは「乳首が死にそうに痛い!」「帝王切開の傷が死ぬほど痛い」「それでも赤ちゃんはおっぱいが欲しくて泣く」「ようやく寝れた…と思ったら、起こされる」
「何これ!?想像してたのと全然違う!!!!」
赤ちゃんはかわいいし、愛おしいし、ママになれた喜びでいっぱいだったけど、本当に本当に辛かった妊娠・出産・産後の日々。
つわりがスタートしてから、産後まで、著者は事あるごとに「こんなに辛いなんて聞いてない。誰も言ってなかった。教えてくれなかった―!」が口癖だったように思います。
「産んだら忘れると聞くけど、私は絶対忘れない!」
これも、何度も何度も言葉にしていた気がします。
産後2年経った今、確かにあの辛さを思い出すことは減りましたが、それでも忘れることはありません。
私の後に、妊娠をした友人たちには、「私の時はこういうことが起こったよ」と、恐怖を与えないように注意しながらも話すようにしています。
つい先日、妹のようにかわいがっている後輩から、妊娠の報告がありました。
へっぽこ妊婦時代の私を知る後輩が、「この本、先輩のことかと思いながら読んじゃいましたよ」と教えてくれた本があります。
それが、はるな檸檬さんの『れもん、うむもん!-そして、ママになる-』
1ページ目に「出産は、しんどかったです。」と始まる「まえがき」があります。
私はこの一文を読んでから、いっきにこの本を読みました。
決して、ネガティブな内容ではありません。
むしろ、妊娠・出産を経験したママ達は「そうだった!こうだった!」と、懐かしく感じる人の方が多いかもしれません。
不思議なことに、檸檬さんが綴ったマタニティライフは著者のものと似ていて、共感できる部分が多かったのも、この本に惹かれた理由だと思います。
帯に書かれた『育児漫画業界初のマタニティブルー漫画!』『この本のおかげで救われる人が必ずいます』の言葉に深く頷けます。
これから、初めての出産を控えた人には、ぜひ読んでもらいたいです。
産後、誰にも言えずにもやっとした気持ちを抱えてしまったママにも、ぜひ読んでもらいたいです。
こんなにも、妊娠・出産時のママの気持ちをリアルに描いてくれている本は、どんな育児書よりママ達の日々に寄り添ってくれるような気がします。