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【お金のギモン解決!第7回】奨学金の返還が難しいときの救済手段は?

中野晴啓さま7

前回からの続き。大学や専門学校で学びたくても経済的な理由で叶わないとき、奨学金制度を利用するケースは少なくないでしょう。ママたちのなかにも奨学金で大学を卒業した人がいるかもしれませんね。大いに助かった奨学金も、現在は毎月の返還金が家計を圧迫して大変だという声も聞かれます。もし奨学金を返還できなかったとしたら、どうなるのでしょうか。「なかのアセットマネジメント」の代表を務める中野晴啓さんにお聞きしました。
中野様.prof

奨学金の返還が難しくなったら相談が一番!

(※編集部注)
奨学金には大きくわけて「給付型」と「貸与型」の2種類があります。給付型奨学金は返還の必要はなく、大学や専門学校の授業料や入学金が免除または減額されます。一方で貸与型奨学金は無利子で借りる第一種奨学金と、有利子で借りる第二種奨学金、第一種・第二種併用貸与の奨学金があります。貸与型は卒業と同時に奨学金の返還が始まります。

――奨学金は学びたい人にとっては大きな助け舟になる制度ですよね。しかし借りた金額によっては返還が厳しくなることもあると聞きます。その場合はどうすればいいのでしょうか。

中野晴啓さん(以下、中野さん):まずは奨学金を貸してくれた団体に相談しましょう。一人で悩んでいても解決になりません。奨学金を借りた団体で、正規の手続きを踏むことが大切です。
返還が困難な場合には、毎月の返還額を減らす「減額返還制度」 と、返還を待ってもらう「返還期限猶予」という方法があります。
「減額返還制度」で毎月の返還額を減らす場合は、1回あたりの金額を2分の1、あるいは3分の1にできます。とはいっても返還するトータルの金額が減るわけではないので、返還をする期間が延長されることになります。適用期間は最長で15年。その期間で返せるように金額を調整します。
もう一つの方法「返還期限猶予」は、文字通り返還を先送りすることです。たとえば子育てのために仕事ができず返還できないなどの場合に使えます。返還の期限を先送りするだけですから、こちらもトータルの返還金額が減るわけではありません。
基本的には上記2つのどちらかの方法で、奨学金を返還することになります。

奨学金の返還は未来の子どもたちのためでもある

――もし奨学金を返還できないとどうなるのでしょうか。

中野さん:奨学金を期限までに返還できないと、延滞金が課されてしまいます。また本人や連帯保証人、保証人に対して文書と電話で督促が行われます 。

奨学金を貸してくれる代表的な機関、「日本学生支援機構」は、国が管理をしている団体ですがその資金の多くは税金でまかなっています。さらに返還される奨学金も次に借りる人の奨学金の資金となっています。
つまり、奨学金を返還しない人が増えてしまうと、貸せるお金が減ってしまい、借りたい人に貸せなくなってしまうのです。言い換えれば、自分が奨学金を返還すれば、将来の若者、もしかしたらわが子のために必要な資金になるかもしれない、ということです。

――奨学金を返還しないと未来の子どもたちにも迷惑がかかるのですね。

中野さん:そういうことです。経済的に苦しいと、どうしても奨学金返還が重くのしかかってしまうでしょう。しかし「自分一人くらいなら返さなくてもいいのでは?」などと考えないようにしたいですね。本来、奨学金は高校生や大学生を信じて貸してくれたお金です。きちんと返してくれるだろうという性善説で成り立っているんですよね。返還が苦しいと感じる人は救済制度を利用しながらでも、確実に返還してほしいと思います。

(編集後記)
奨学金を返還しないことは、未来の子どもたちにも迷惑がかかる、という中野さんのお話にハッとさせられました。奨学金は返還されることが大前提にあるお金です。返還が苦しい人には救済制度もあるようです。学びたいと思う子どもたち誰もが、平等に学べる社会を目指していきたいものですね。

※本記事は2023年10月に取材を行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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文・川崎さちえ 編集・すずらん イラスト・加藤みちか

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