<義母の命令、2回やれ!>目立つのはイヤなのに……結婚式ナシは「許さない!」義母【第1話まんが】
数年前のお話です。私はサトミ。人前に出るのが昔からすごーく苦手です。目立つようなことはしたくないし面倒くさがりだから、自分の家こそがオアシスなのです。たまに旅行へ行くとしても、人の多い観光地よりものんびりできる温泉なんかがいいなと思って生きてきました。ただ私は気弱なところがあって、誰かにお願いされたり提案されたりしたら断れないタイプなのです。先日結婚したマサシは私のこんな性格をわかってくれていると思っていたのですが……。
注目されることが苦手なので、たとえば自己紹介する場面などではいたたまれない気持ちになります。仕事上どうしても避けられず、みんなの前で何かを発表しなければならない日はとてもユウウツです。心ひそかに「なにかしらのトラブルが起こって今日の会議がなくならないかな」と願ってしまうほどです。
だから結婚式も「挙げたくない」派でした。そんなお金があるのなら、のんびり温泉地にでも新婚旅行に行ったほうがいいです。しかし結婚の挨拶時、義母は「お式はどこで挙げるの?」と当然のように聞いてきました。私が「まだ考えていません。最近は挙げない人も増えているみたいなので」と答えると……。
「それは許しませんよ。わが家はお付き合いしている方も多いのだし、結婚は2人だけのものではないのだから」ピシャリと言われてしまいました。「え……」私は困惑しますが、義母は強い口調で次々と命令してきて……。「結婚式場の格などもちゃんと調べておくのよ? うちの格が下がらないように、そこらへんはしっかりね」マサシによると、やはり結婚式を挙げない選択はないそうです。
「そんな大げさなものじゃなくていいから、挙げたいんだ」「えー……私、人前に出るのがイヤだな。いくら自分の結婚式でも」「うん知ってる。でも母さんも昔から『結婚式は挙げろ』ってうるさくて」
「一生に一度だし、結婚式を見せてあげたいんだ」マサシにそう言われ、押しに弱い私は少し譲ってあげてもいいかなという気になります。「うーん、その気持ちは理解できなくもないけど……。でも、どこで挙げるの?」私の地元は今住んでいるA県で、マサシの地元は飛行機で行く距離のB県です。
私たちは職場結婚です。仕事関係の人を呼ぶなら近くの式場がいいだろうと思うのですが、義母の「わが家はお付き合いしている方も多いのだし」という言葉が引っかかります。あの言い方だとB県で挙げろといってきそうです。わざわざB県の式場に行くくらいなら、絶対に結婚式などしたくはありません。するとマサシが……。
「サトミちゃんはA県の方がいいでしょう? 俺は地元が遠いけれど、職場はここだし、結婚式を挙げるのはここでいいよ」「え、いいの? B県で挙げなきゃいけないのかと勝手に思ってユウウツになってた。でもこっちで挙げていいなら、私もなんとか頑張れる気がする!」
「場所も招待客の人数も、サトミちゃんに合わせるよ? 結婚式を挙げることに意味があると思うから」「いいの……?」「いいよ、全然! ありがとう、本当は結婚式挙げたくないのに、こっちこそ無理させてごめんね。でも絶対サトミちゃんのウェディングドレス姿綺麗だよ!! 俺、すごく楽しみだな」
こうして私たちは、私の地元であり今住んでいるA県で結婚式を挙げることを決めたのです。たくさんの人は呼ばなくていい、心許せる親しい人だけが集まるこぢんまりした式。マサシから義両親に「A県で挙げる」と報告してもらったので、これから結婚式の準備をすすめていきたいと思います。
脚本・物江窓香 作画・なかやまねこ 編集・井伊テレ子