ママの再就職は「ブラックパート」にご用心!
子どもの入学や卒園を機会に「生活が落ち着いたら、少しずつ働きたいな」というママも多いでしょう。
でもママになると、独身時代のように「自分がやりたいことは何か」という動機は二の次で、「家事や育児とどうやってバランスをとって働くか」つまりワークライフバランスが最優先になりますよね。しかし、ワークライフバランスが取れる仕事なのかどうかは、社風によるところも大きく、なかなか入社前には知ることができません。サービス残業が常態化しているようなブラック企業や、学業よりもバイトを優先させる学生の「ブラックバイト」が話題になるように、求人に「残業なし」なんてうたいながらも、実際はサービス残業だらけ、なんていう「ブラックパート」に苦しむママも多いようです。こんな「ブラックパート」に入社して大事な職歴を傷つける前に、簡単にできる「ホワイトパート」の見つけ方をお伝えします。
まずは働きにくい企業を避ける
実は一億層活躍なんて言っている政府や行政もブラック企業問題に黙っているわけではありません。2015年4月には国が「過重労働撲滅特別対策班(通称・かとく)」を設置し、長時間労働を中心とした違法労働を厳しく取り締まっています。特に悪質な違法行為の場合には、企業名公表も行っており、実際に靴小売大手の専門チェーン店が書類送検されています。
ワークライフバランスはそもそも長時間労働が改善されなければ実現できないので、まずは自分の中の企業イメージだけにとらわれずに、こうした処分を受けた会社でないかどうか調べることがとても大切。それから、企業名をインターネットで検索したときに予測ワードとして「ブラック」などと出てくる企業も要注意かもしれません。これは、そういった記事や情報がどこかに出ており、それを検索する人が多い証拠だからです。
ホワイトパートを知りたい!
悪質なブラック企業は避けられる一方で、実際の「ホワイト企業」はどこなのかも知りたいですよね。実は厚労省では「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」という制度を2015年より導入しています。これはパートの活躍に取り組んでいる企業を広く知ってもらい、他の企業にお手本にしてもらうために作られた制度です。
詳細はこちらでご確認ください⇒ http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/
ほかにもこういった「ホワイト企業」の取り組みを表彰したり、認定する公的機関はたくさんあります。例えば、東京都ではワークライフバランスの推進に取り組んでいる中小企業を「東京都ワークライフバランス認定企業」として公表しています。平成27年度はいくつかの部門ごとの表彰になっており、「仕事と育児の両立推進部門」なんていうママにぴったりの部門もあります。平成20年度から実施しているので、300人以下の中小企業、約90社が認定されています。ママの再就職では現実的に中小企業に入社することも多いですから、こういった認定をもつ会社から選んでいくのも一つの安心材料になりそうです。同様の取り組みは東京以外の自治体でも行っているところもあるので、お住いの自治体をチェックしてみてもいいでしょう。
面接で聞けるようにしよう
とはいっても、自宅の近くで探すようなパートの場合、国や自治体の「お墨付き」企業が必ずしも近所にあるとは限りませんよね。でも、こういう企業の取り組み事例を知っておくことはとても大切です。
なぜなら、面接で「他社の○○のような取り組みはしていますか?」とホワイト企業の取り組みを例に挙げて質問することができるからです。こういった質問に眉をひそめたり、「そういうの、うちではやらないから」と面接官が一刀両断するような企業は「ママが働きやすい」とは言いがたいですよね。それに「御社はママが働きやすいですか?」という質問よりも、「○○という会社では在宅勤務を取り入れていますが、御社ではそのような予定がありますか?」と聞いてみる方がより具体的な話が聞けます。
パート先で大事な人間関係も、ブラックパート先だと気持に余裕がなくてギスギスしがちです。ママの再就職はたくさんの条件や制限があって、苦戦しがち。でも、せっかくの職歴だからこそ、あせって決めずに情報をたくさん仕入れて、長く働けるホワイトパート先を探してみてくださいね。
文・犬山柴子 イラスト・森乃クコ