布おむつ育児のメリット・デメリット。布オムツユーザーママの実体験
初めての子ども、布おむつで育てる? それとも紙おむつにする? 布オムツでの育児を検討する際に知っておきたい、布おむつ育児のメリット・デメリット。利点だけではない「良し悪し」を知るためには体験者の声を聞いてみるのがいちばんですよね! それでは実際に布オムツで育児をしてきたママに体験談を紹介してもらうことにしましょう。
昭和を生きた母たちが感じた、布おむつのメリット・デメリット
私は現在布おむつで子育て真っ最中です。上の子(3歳)の昼間のオムツが外れているので、今は下の子(6か月)のみですが。布おむつで育児しているというと妙に育児熱心なお母さんに感じてしまいがちですが、私の場合上の子が布おむつでオムツ外れまでしてしまったので、止め時がわからずズルズルと続けているというのが正直なところです。
昭和50年代の実母が感じていた布おむつのメリット
そもそも私が第一子を布おむつにすることにしたのは、「私は3人の子どもを育てた」が口癖の実母に対抗したことがきっかけでした。母の時代(昭和50年代前後)、紙おむつはまだまだ値段が高く質も悪かったこともあり、私と同じくケチな母は当然の如く布おむつで私たち兄弟を育てたそうです。実母が布おむつを使うメリットのひとつは「コストが安い」ことだったのでしょう。
同じ時代、布おむつにデメリットを感じていた義母
一方、同世代の義母は「便利なもんは使っておこうかな」という考えの持ち主で、”お出かけと寝る前だけ紙おむつ派”だったそうです。そのため私が布おむつでやると宣言したとき、義母からは「何でわざわざそんな面倒くさいことするの?」と眉をひそめられてしまいました。どちらかというと義母は布オムツに対してデメリットの方が大きいと感じていたようです。
でもね、妊娠に浮かれて買い漁った育児書やネットでの情報によると布おむつのメリットはたくさんあるのです。
私が思う、布おむつの主なメリットはこちら!
- コストが安い
- オムツ外れが早い
- 親子のコミュニケーションが図れる
- 何より赤ちゃんが気持ちいい
他にも買い物の手間が省ける、紙オムツの場所を取らない、風にたなびく洗濯したオムツを見て充実感を得られる等などメリットの方が圧倒的に多く、「面倒くさい」以外のデメリットは無いように思ったのです。
ところが、実際に子どもが生まれて布おむつ育児を始めてみると……メリットだと思っていたことが、ことごとくデメリットだったことを知ることとなりました。義母よ……あなたのアドバイスを聞いておけばよかったです……。
「面倒くさい」以外に布オムツのデメリットはないと思っていたけれど……
「面倒くさい」どころではなかった。布おむつ育児のデメリット
唯一のデメリットと思われた”面倒くさい”は、蓋を開けてみると”激・面倒くさい”であることがわかりました。
産後の白昼夢に襲われるほどの睡眠不足のなか、生まれた我が子に授乳中の夏。ほぼ100%の確率でエアコンの運転音に混じり、その音は聞こえました。
「ぷり……ぷりぷりぷり……」
おっぱいを飲みながらのうんちです。まどろみの中おっぱいから引きはがされた我が子が泣く中オムツ替え。おっぱい終了、うんちの続き再開。またオムツ替え。汚れたオムツとの予洗いの為洗面所に向かって帰ってきてまたうんち。洗面所へ逆戻り。
1日、一体何回おむつを替えればいいのか……。
赤ちゃんの布おむつと格闘する日々の始まり
洗面所で延々黄色いうんちのシミと格闘・鬼気迫る妻の姿(主人談)。この当時の育児日記には寝不足でミミズがのたうち回ったような字の「うんち」という文字が10数回(1日)記載されています。
しかもおむつの当て方が悪いのかおむつカバーの種類が合わないのかうんちの量が多いのか、これもやはり100%の確率でおむつカバーも着ていた服にもうんちアウトです。そして、慣れない&寝れない状況でのオムツ替えゆえに場合によっては布団のシーツにまでうんちアウト。
布おむつのメリットその1「コストが安い」がデメリットに変わった
6セットずつ用意したベビー服もおむつカバーも、まとめて洗濯、しかも毎度手洗いという洗礼でした。よって、新生児期のおむつカバーとベビー服や下着を買い足す羽目に。その後も我が子に合う布おむつカバーを探していろいろなオムツカバーを試したり動き回るようになると履かせるタイプのおむつカバーにする為成型オムツ(乾きにくい)にしたり、もはや布おむつ難民です。
そうなると、【メリットその1】
コストが安い……。
↓
疑問です。
もちろん赤ちゃんとママによりけりですが。
オムツ外れの時期がやってきた!布おむつのメリット発動?
布おむつのメリットその2「おむつ外れが早い」を検証!
私の中での「幼児期・気合い入れすぎると途中で心が折れるイベント」のナンバー1・2を争うと考えるのがオムツ外れです。
上の子のオムツ外れは気合いを入れまくりでした。「この子(夫兄弟)らは1歳半でおむつはずれたのよ」との義母の言葉に勝手にプレッシャーを感じて、上の子1歳半の時かかりつけの小児科の先生に相談。
そうよね、そうよね、まだ体の機能も整ってないし、私布おむつで頑張っているからオムツ外れも早いはず。
はい、その甘えが良くなかったのでしょうか? それとも布おむつそのものがいけなかったのでしょうか? 娘はその後1年たっても(おしっこの間隔は30分から45分に変わったものの)相変わらずオムツは外れず、むしろイヤイヤ期突入のせいもあってか、オムツを外せば下半身フルオープンで家中を走り回り、オムツをつけたらうんちやおしっこがたわわに実っていてもむしろ気持ちよさそうに床に座って遊んでいます。
そうこうしているうちに下の子出産の為に上の子は保育園へ通うようになりました。赤ちゃん返りも予想され、しばらくトイレトレーニングはお休みしよかなと考えていたところ、「夏だし、オムツやめてお姉さんパンツにしてみたら?」保育園の先生にすすめられました。
えー、そんな無茶な。パンツ何枚用意しなあかんねん。ところが、お姉さんパンツにして数日、あっさり外れました。おしっこの間隔も、あっという間に2~3時間空くようになりました。
布おむつは濡れた感覚がわかりやすいけれど、オムツ外れとは関係性なし!?
オムツ替えの合間に家事をするような間隔でオムツを交換する私を見て「あの人~、すぐオムツ替えてくれるから~、いつでもおしっこできる~」2歳半の子どもがそれくらい思っていたとしか思えない程のあっさりオムツ外れでした。
今まで何千回、何万回と替えてきた布おむつの努力は果たして意味はあったのか?
【メリットその2】布おむつは濡れた感覚がわかりやすいからオムツ外れが早い
↓
濡れた感覚はわかりやすいだろうが、オムツ外れが早いかどうかは検証不可能。結局は親と子のオムツ外れに対する意識の問題。
布おむつのメリット「親子のコミュニケーション」は本当なのか?
メリットその3「布おむつでコミュニケーション」を立証したい!
最近の紙オムツは優秀です。蒸れないモレない。昔に比べて値段が安い。絵柄が可愛くてテンション上がる。それなのに私が上の子を妊娠中、布おむつで育てると宣言したとき周りからは不評でした。そんな余計な手間を増やさんでも……。最近の紙オムツなら……。「私は布おむつで3人育てた」と豪語する実母でさえ難色を示しました。一度決めたら自分の考えを曲げるのが苦手な私。どうしたものかと下を向く私に、母が言いました。
私のすることに逐一反対しては衝突していた母からの意外なアドバイスに、布おむつ育児を始める勇気をもらいました。……と言ってもそんな大袈裟なことでもなく、布おむつ育児とは言っても長時間の外出や夜間は紙おむつを使っていたので、正確には紙おむつ布おむつ兼用育児です。
布おむつ育児を決めた最大の理由は「親子のコミュニケーションが図れる」ということでした。妊娠が判明して赤ちゃんと何をするのかといざ想像したら、授乳とオムツ替え以外何も想像できず、どうやって遊んであげたらいいのか全くわからなかったのです。
布おむつよりも抱っこ!赤ちゃんの本音はいかに?
紙おむつと違い、布おむつはおしっこやうんちのたびに交換する必要があります。もちろん紙おむつでもその都度替えることが理想ではありますが、多少のおしっこなら蒸れないモレない。最近では”最長10時間吸収”なるものまであります。(10時間つけっぱなしでもよいというわけではありません。)それに対して布おむつはつけっぱなしにしておけばオムツの中で雑菌が繁殖してしまい、赤ちゃんのお尻はかぶれ、匂いも悲惨なことになります。
オムツ替えをするたびに布おむつにうんちをしているような状態の我が家の上の子の場合、そのたびに汚れた布おむつ、おむつカバー、場合によっては下着やベビー服シーツまで洗いに洗面所に立つ必要がありました。首も座らないのに縦抱っこをしていないと泣き止まなかった上の子は、オムツ替えの為に床に降ろすとそれまでのまどろみから目覚め、世にいう背中スイッチ発動です。あかちゃんの泣き声に慣れていない新米母にはかなりのストレスです。絶叫のような鳴き声が、オムツについたうんちと格闘する私が立つ洗面所にも響いていました。慣れない新生児のお世話でフラフラする頭で考えました。オムツ洗う暇があったら抱っこしてあげたほうがいいのじゃないか。
オムツ替え以外の時間の9割は私の抱っこで過ごしたといっても過言ではない最初の3か月を過ぎ、首が座ったかと思われた矢先の突然の寝返り。「わたし、動けちゃいますけど」宣言。あっという間に6畳一間の畳の上を制覇するようになりました。
布おむつ育児のメリットとデメリットは紙一重
あれあれ? 床にゴロンした赤ちゃんとのオムツ替えコミュニケーションは? 「はーい、オムツ替えましょうね~」きゃっきゃと笑う赤ちゃん。「あら、いっぱいおしっこでましたね~、気持ちよかったですね~」ほっぺスリスリ。
そんな状況は現場ではまずないことを知った新米母。縦横無尽に動き回る赤子を追いかけまわし、「わたしの動きをとめるな~!」と泣く赤子を押さえつけてのオムツ替えが現実。このころの私はいかにご機嫌に我が子のオムツ替えをさせえるかだけが日々のテーマ。ある意味コミュニケーションは図れているのか。でも、想像してたのとはなんか違う。
立って歩き始め、イヤイヤを言うようになり、お出かけするにもオムツ替えの替えバトルの頻度が多すぎてなかなか出かけられない。2歳を過ぎてもおしっこの間隔が短かった上の子は、朝起きてから午前のお散歩までの間に4・5回はオムツ替えをしていました。(そのうちうんちも1回。大人と同じようなものを食べるようになった幼児のうんちはそれはそれはもう……印象的な匂いです)
出かけても時間が短い。ふと思う。「もう、いっそ紙おむつにしてこのバトルの時間を減らしたら、もっと長い時間公園へ行ったり散歩したりできるのじゃないか」気づくのが遅すぎです。
もう少しの我慢。そうこうしているうちに昼間のオムツが外れるようになるのですが。
【メリットその3】親子のコミュニケーションが図れる
↓
× コミュニケーションが図れる…
〇 コミュニケーションを図らざるを得ない…
布おむつでなくてもコミュニケーションは図れます。
赤ちゃんにとって布オムツのメリットを改めて考えてみた
メリットその4「赤ちゃんが気持ちがいい」には、こまめなオムツ替えが必須
大人でも、おまたに濡れたものをぶら下げているのは不快です。汚れた生理用ナプキンがなかなか替えられない不快さは、女性なら誰しもわかるでしょう。それがお尻全体となれば推し量るべし、です。
ある日布おむつ育児に疲れ切った私が公園で顔見知りのママに愚痴をこぼしていたところ、とても優しく慰めてくれました。子どものオムツは紙だけど、子どもを産むまでは自分の生理用ナプキンは布を使ってたというそのママは、
私ははっと気づくのです。産後悪露がなかなか治まらず1ケ月以上生理用ナプキンをつけ続けたとき。日が経つにつれおまた がなんともしんどくなってくるのです。最近の生理用ナプキンが優秀とはいえ、1ケ月もつけることが前提ではないこともあるのでしょうが、もうどうにも不快でたまらなかったことを思い出したのです。そんなこともあり下の子は6ケ月になる今現在までは布おむつ続行中です。
とはいえ濡れた布おむつの方が研究しつくされた紙おむつよりも不快度数が高いのは間違いありません。
【メリットその4】何より赤ちゃんが気持ちいい。
↓
頻繁に替えられた場合のみ。濡れた布おむつは不快度数マックスです。
布オムツの何をメリット・デメリットとするかはママ次第
新生児の頻回オムツ替え、動きはじめ、歩き始め、イヤイヤ期、いくらでも止め時があったのにも関わらず(実際それらの機会に布おむつを止めるママが多いのも事実)私が布おむつ育児を続行したのには、私が頑固だというのもありますが、デメリットも踏まえつつ私にとってはメリットも大きかったからだと思っています。
月に何度もかさばる紙おむつを買いに出かけることやネット宅配の紙おむつの受け取りの為に宅配業者さんを待つ時間を拘束されるより、自分の好きな時間に洗濯して干せばいい布おむつ。晴れた日に風にたなびく布おむつは何とも言えず爽快なのも事実です。(雨の日の部屋干しの布おむつはどうしようもなく不快ですが。)
布オムツ育児の実践から見えてきた、私にとってのメリット
子どもに何とかして気持ち良くオムツ替えをしてもらうために、児童館や子育てイベントに出かけ倒して手遊びや歌を覚えたこと。そこで色んなママ友や地域の方に、育児で行き詰った気持ちをほぐしてもらったこと。子どもができる前は人見知りの超インドア派で、仕事がなくて食料も家にあるならば永遠に家にこもっていたかった妊娠前の私とは大違いです。
少しづつ面倒な布おむつにも慣れてきて、幸い(?)下の子は便秘がちで1週間に2回ほどしかうんちをしないので(それはそれで問題。でも本人の機嫌が良いので特に気にしてはいないけれど)うんちまみれのベビー服やシーツに悩まされることも少ないこともあり、上の子の赤ちゃん返りの相手をしつつも気楽に布おむつで育児しています。
下の子誕生と上の子のオムツ外れの時期がすこしかぶってしまったので、我が家には100枚以上もの布おむつがストックされていてかさばるのが問題といえば問題なのですが、どれだけ替えても残り枚数を気にすることもなく、下の子の大量のうんちも布おむつでガンガン拭くので、ウエットティッシュでちまちま拭いているうちに「わー!うんち手についたー!」などと叫ぶ心配も無く。
育児をするうえで何かを迷ったらいつでも私は冒頭の母の言葉を思い出します。
文・桃山順子 イラスト・ゆずぽん