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小児科医としての自分の関わりが子どもの未来を作っていく

LINEやテレビ電話などを使って小児科医に相談できる「小児科オンライン」。「今すぐ救急外来に行くべきかを知りたい」「自宅での看病の方法について知りたい」「日頃子どものことで気になっていることがある」など、子育て中のママには頼もしいサービスです。「お母さんのサポートをすることが子どもの健康につながる」と語る小児専門医 橋本直也先生が「小児科オンライン」を立ち上げた思いとは――。

父が開業医だったから。最初はただそれだけだった

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僕が医者になったのは、父が開業医だったからです。産婦人科をメインに内科や小児科医としても働く父を間近で見ていたから、自分も将来医者になるんだろうなと思っていました。父は僕が小学6年生の時に病気で他界しましたが、元気な時は団地のおじいちゃん、おばあちゃんのところに往診に行く時、一緒に連れていってくれました。白衣を着て働く姿を見て、憧れはあったと思います。

そういうわけで、漠然と「医者になろうかな」と思って入った医学部でしたが、自分の意志で「医者になる!」と決めたのは大学5年生での病院実習で現場に出た時です。その時の患者さんとの出会いや関わりで「医者というのはすごくやりがいがあって、いい仕事だな」だと感じました。研修医をやっていた時もさらにその思いは強くなりました。小児科医として専門施設で働いてもやっぱりその思いは変わりませんでした。

子どもが泣くのは当たり前

小児科医を目指したのは、子どもが好きだからです。小児科医だと子どもを見る時に絶対に泣く子もいるから、自分がそれに耐えられるかなと思ったんです。でも、考えてみたら病院で子どもが泣くのは当たり前。注射されたら痛いし、喉の奥を見る時だって子どもからしたら「おえっ」となるから嫌ですよね。だからその時泣かれても別に気にならない。子どもは診療が終わったらまた笑顔を見せてくれる。大学5年生の病院実習でそのことを実感し、やっぱり小児科医になろうと思いました。

僕は大人の医療もすごく意義があることだと思いますが、小児科医は子どもを通してその子の未来を作る仕事だと思うのです。その子に小児科医がどのようにかかわったかで、その先の80年の人生が決まるというくらいプライドを持ってやっていて、その未来に関われるのは小児科医しかないなと思ったのです。

その思いは働いていくうちにどんどん強く感じるようになりました。たぶん小児科医の先生方は、みなさんそう思っていると思いますよ。「今の自分の関わりが子どもの未来を作っているんだ」って。

「小児科オンライン」を窓口に、専門医につなげていきたい

実は僕、小学生の時、手汗をかくことでコンプレックスを感じていたんです。それをたまたま皮膚科の先生にちらっと相談したら「大丈夫。そんなのは二十歳になったら治るから!」といわれて、すごくホッとしたんですよ。結局、治らなかったんですけど(笑)。でも、その先生の一言ですごく気持ちが楽になりました。それも1つの医学かなと思います。

子どもの心は、大人が思うよりも繊細です。時には、大人からしたら「ほんのちょっとしたこと」がきっかけで不登校になってしまうこともあります。僕は小児科医として、不登校などの「子どもの心の問題」に対してもちろん喜んで話を聞きますが、将来的には、「小児科オンライン」を窓口に、専門の先生にもつなげていけるようにしていきたいです。

お母さんのサポートをすることが子どもの健康につながる

僕は、お母さんを安心させられるような小児科医になりたいですね。それが子どもの健康につながっていくと思います。子どもに何かあると、お母さんたちは「もっと早く気づいていれば」「対応の仕方がまずかったんじゃないか」と自分を責めがちです。でも全然そんなことはなくて、心配して連れてきてくださったこと自体すばらしいことだと思います。

お母さんがイキイキとしてたら、子どもも元気になると思います。「それって小児科医のやることなの?」と思ってしまうかもしれませんが、僕ら小児科医が一番大切に考えていることは子どもの健康で、そのためにもやっぱりお母さんも元気でいてほしい。

今日は『ママスタセレクト』でお話させていただいているので、お母さんの話ばかりしていますが、一番身近なヘルパーはやっぱりお父さんなので、お父さんを巻きこんでいくことも大事だと思います。そういう意味でも「小児科オンライン」は、お父さんにも積極的に活用してほしいですね。

健康な子どもを健康なままいさせたい

もう1つ、僕は小児科医として「健康な子どもを健康なままでいさせたい」と常々思っています。子どもは基本的に健康です。しかし思わぬ事故や怪我で健康がそこなわれることがあります。
たとえば家族の誰かがタバコを吸っていると子どもが喘息がなかなか改善しなかったり、小さな子どもが誤ってジェルボールを口に入れてしまったり、育児疲れから子どもに手をあげてしまったり――。その時、親の行動を責めるのではなく、小児科医として親の行動を変えるような働きかけをしていきたいですね。

この「小児科オンライン」が多くのお母さんや子どもたちから信頼されるようなサイトになった時に、医療相談の前に10秒の公共広告を入れて「おたくのお子さんは何歳だからこういうことに気をつけてください」という、直接目にふれるような形で、子どもの健康を守るために重要なメッセージを伝えていきたいです。

医療窓口というのは本当に入口だと思っていて、目標はインターネット上での信頼される小児科医のサイトになること。何か困ったらそこで見る、かつ有用な情報はそこで発信しているという形でやっていきたいと思います。


橋本直也 先生
都内小児科クリニック勤務。小児科専門医。日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修、国立成育医療研究センターにて小児科医研修。東京大学大学院にて公衆衛生修士号取得。
小児科医にLINE、電話、テレビ電話から相談できる「小児科オンライン」を運営。「救急外来に行くべき?」「子どもの発達が気になる」そんな時気軽に利用できるサービスを目指す。

取材、文・長瀬由利子

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