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玉城デニー沖縄県知事 第4回「保育園で伝統のエイサー。沖縄で子育てをする魅力は?」

玉城デニー知事4

前回からの続き。広大な海に囲まれ、沖縄だけに住む動物や植物などが見られるなど、自然豊かな沖縄。日常生活のなかで伝統文化に触れる機会も多く、移住してくる人も少なくないようです。沖縄県の魅力について、玉城デニー(本名:康裕)知事にお話を伺いました。
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沖縄県の魅力はなんといっても豊かな自然

── 海に囲まれた豊かな沖縄県。玉城知事から見た沖縄で子育てする魅力について教えてもらえますか?

玉城デニー知事(以下、玉城知事):沖縄といえば、なんといっても美しい自然や1年を通じて温暖な気候など、沖縄ならではのものに惹かれて多くの方が観光に来られます。沖縄の本島や離島での滞在が忘れられなくて移住する人もたくさんいますし、また離島を訪れた際に島の住民と出会い、結婚に至って島に移住する人の話もよく耳にしますよ。

沖縄では、自然の魅力だけではなく、伝統や文化、年中行事の継承などをとても大切にしており、子どもの知的好奇心を刺激するのに、とてもいい場所だと思います。

── 沖縄では、「芸能の宝庫」と呼ばれるほど、伝統文化も盛んですね。

玉城知事:他の各都道府県でもそれぞれ文化伝統の継承はあると思いますが、沖縄は田舎に行けば行くほど、文化伝統の継承をしっかり意識します。地域はもちろんのこと、保育園などでも取り入れているので、これもまた成長する子どもたちにとって、大きな魅力になるだろうなと思います。

民俗芸能の踊り・エイサーを保育園で練習

── たとえば、保育園ではどんなことをするのでしょうか?

玉城知事:
沖縄の保育園では、エイサー(旧盆の時に先祖の霊をなぐさめるために行う伝統的な踊り)で使う小さな太鼓(パーランクー)を段ボールで作り、ペットボトルや新聞紙を丸めたバチで叩いて、エイサーごっこをすることが多いです。

なかには、本格的なエイサーを教えている保育園もあり、生活のなかで豊かな伝統芸能を自然と身につけることができるのです。子どもたちの情操教育にも大いに影響を与えているのではないかなと思います。

一度会えば皆きょうだい=イチャリバチョウデー

──コロナ禍で自然豊かな地方への移住が注目を集めました。沖縄ではいかがでしたか?

玉城知事:東日本大震災の後、沖縄に避難してこられた方々がそのまま住みたいと言って、移住される子育て家庭の方もたくさんいました。あるいはご主人の転勤で沖縄に引っ越してきて、沖縄の地が気に入ったからと移住される家族もいます。なかには、ご主人がまた転勤で別の地域に行くことになったものの、奥さんと子どもさんたちは沖縄に残り、ご主人は単身赴任になってしまったという話も聞きましたね。

沖縄の言葉で「イチャリバチョウデー」、一度会えばきょうだいみたいなものだという考え方があります。沖縄に移住してきた人たちは、人とのつながりに魅力を感じていることも大きいのではないかと思います。

子育ては地域全体で支え合うもの

── 沖縄に住み子育てをしているママたちや、沖縄に興味があって旅行や移住で行ってみたいと思っているママたちに向けて、メッセージをお願いします。

玉城知事:沖縄で子育てする際には、まずは困っていること、大変なことを、行政の相談窓口などで相談してください。なかには簡単には話せない人もいるかもしれません。しかし、相談をきっかけに各家庭にあった支援方法を一緒に探すなど、できることもあるでしょう。

子どもの成長に伴い、学用品や部活道具などが必要になることもあります。支援に関して行政だけではなく民間の方からも支援などもあります。子どもたちに「できないことが当たり前」と思わせないように、できることを探していきましょう。

一人で抱え込まないで、地域のお父さん、お母さんたちと協力していただければ、子ども同士はもちろんのこと、親同士の絆も深まってきます。それが地域全体へつながり、地域ぐるみの子育てへとつながっていきます。ぜひ豊かな地域をつくるためにみなさんと手を繋いで一緒に頑張っていけたらいいなと思います。

(編集後記)
特別な体験ではなく、日常の中で触れ合える自然。そして地域全体が家族のようにつながる温かさ。それらは、子育て中のママたちにとって魅力となっていることでしょう。
第5回では、パパ・おじいちゃんとしての玉城知事の姿をご紹介。自身の子育ての経験から思う「沖縄県の子育て支援」について伺っていきます。

第5回へ続く。

※本記事は2023年8月に取材を行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

取材・編集部 文・間野由利子 編集・荻野実紀子 イラスト・ゆずぽん