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【前編】<ワーママに聞いてみた>もしもお金が十分あったら、仕事を辞めて専業主婦に戻りたいですか?

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いまや専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが多い時代。皆さんのなかにもワーキングマザー(以下、ワーママ)が多くいらっしゃることでしょう。結婚・出産をしても仕事を続けている人、いったん仕事は辞めて専業主婦をしたけれど再就職した人……。事情はさまざまですが、皆さん「お金以外」で働く理由はあるのでしょうか? もしお金が十分にあったら専業主婦になりたいのでしょうか?

今回はワーママ4人に本音を語ってもらいました。

【今回のメンバーはこちら】
大野さん……結婚当初は専業主婦だったが、出産後すぐに離婚。パート勤務の時期を経て、いまは正社員で働くシングルマザー。小学校高学年の娘がいる。

加藤さん……専業主婦だったが3年前からパート勤務。幼稚園年中&小学校低学年の姉妹と夫の4人暮らし。

内田さん……地方への移住を機に、専業主婦からフリーランスへ。すでに独立した息子2人、高校生の娘1人のママ。

山城さん……専業主婦生活から一念発起してフリーのイラストレーターへ。中学生&小学校高学年のきょうだいの子育てに奮闘中。

専業主婦から再び働きはじめた理由は?

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加藤さん:私も含め、皆さん一度専業主婦を経験しているんですよね。再び働き始めた理由って何ですか?

大野さん:私は出産してすぐ離婚したんですよ。だから本当に「明日食べるもの」のために働きはじめましたね。8年くらいパートで働いて、今は正社員です。

内田さん:私も単純にお金がなかったから(笑)。夫が転職&移住したいと言い出して田舎に移住したので、世帯年収がびっくりするほど減ったんです。でも私は外で働くつもりはなかったし、近所に親や親戚もいなかったので、在宅フリーランスという働き方をおのずと選んだ感じ。働き始めたら楽しくて、今に至ります。

専業主婦時代に抱いたモヤモヤの正体は……

加藤さん:私は下の娘が2歳になった頃にパートを始めたんです。家事育児って、どれだけ頑張っても正当に評価されない。今の仕事は、目に見えてわかる評価として「お金」をいただけるのが嬉しくて。

山城さん:私も下の子を出産後1年くらいは専業主婦でした。夫に養われている感が消えず、すごくモヤモヤしていたことを覚えています。立場が平等じゃなかったのが嫌でした。

大野さん:旦那さんや周りから何か言われたとか?

山城さん:実母からは「旦那さんに養ってもらえるなんてありがたいんだよ」って言われたし、義母からは「息子はそれだけ稼ぎがあるのね。ちゃんと大切にされているのね」と言われ続けていたから、「ああ、この環境ってありがたいんだ……」と思うこともありましたけど……。

加藤さん:「旦那さんに甲斐性があるって幸せよね」みたいな。

山城さん:そうそう。ちなみに義母は定年までバリバリ仕事してた人なんですよ。でも「子どものかわいい時期をしっかり見られなかった」っていう心残りがあるみたいで。それで余計に私には「子どもはかわいいから、専業主婦でしっかり見てあげなさい」って。

内田さん:でもモヤモヤしてた。

山城さん:専業主婦って思ってたのと違うみたいな。服を買うとか、友達とどこかにご飯食べに行くとか、最初は自分の貯金を使ってたけれどザーッて無くなってしまって。それからは全て旦那に「お願いします」とお伺いをたてて、お金を受け取る。自然と旦那の機嫌を取るようになってしまって……。

内田さん:旦那さんの機嫌を取るのも主婦の仕事のうちとは割り切れなかった?

山城さん:それが無理だったんですよね。ふと「私ってこの子たちの存在を抜きにしたとき、生きている意味ってなんだろう」って考えてしまうことが増えたんです。それで諦めていた幼い頃からの夢「漫画に携わる仕事」がしたいと思って、実現化するために自分のイラストをインスタで投稿しはじめて、今に至ります。

内田さん:私は専業主婦をつまらないと思ったこともなかったですし、めっちゃ大変と思った記憶もなく。子どものリズムに合わせて生活するのは個人的には楽しかったです。

加藤さん:私の妹も「相手から求められているかどうかが重要」って言ってましたね。「子どもが赤ちゃんのときは、赤ちゃんからお世話を求められるからそれが私の仕事」みたいな。結局、今はフリーランスで働いていますけど、「相手から求められるから仕事してる」って。そういう考え方もあるんだな~って新鮮でした。

お金のためだけじゃない、ママたちが働く理由

「お金を得るために働く」と言っても、その背景は人それぞれ。「とりあえず目の前の経済状況をなんとかするため」の人もいれば、「自分が生きている実感を得るため」の人も。働く理由が生活費を稼ぐためではないなんて、それを贅沢と思う人もいるかもしれません。でも働くことが自己実現のためというママや、旦那さんと平等でいるために働きたいというママの気持ち、いろいろ理由や考え方があってもいいですよね。

もしお金が十分にあったら、専業主婦に戻りますか?

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加藤さん:一般的には働く理由と「お金」は切っても切り離せないものだと思うんですけど。もし今、生活していくのに十分なお金が手に入ったら、専業主婦に戻りたいですか? 私は私自身の頑張りを誰かに評価してもらえる環境なら、もしかしたら専業主婦になるかもです。 ただ評価されるほどの家事スキルも育児スキルもないのでかなり怖いですが(笑)。

内田さん:お金を積まれたら、いったん世界旅行に出ますが(笑)、それでも仕事は辞めないと思います。夫が働いている限りは、私も働きます。理由は働くことが自己実現に繋がっているのと、社会との繋がりを感じられるから。もし専業主婦に戻るとしたら、自分の体調が思わしくなくなったときか、家族の介護などが必要になったときだろうな。んー、でもたとえば親の介護が必要になったと仮定して、私”だけ”が専業主婦に戻る選択はやっぱりないかも。夫と半々でやりたいです。

大野さん: シングルマザーになったとき、当時子どもはまだ0歳で、本当は一緒にいたいのにお金のために働いてる感がすごかったんですよね。保育園へ預けて泣かれたりしたら悪いことをしているような気持ちになるし。そんな状況でお金がいっぱいあったら、仕事を辞めたかもしれない。でも今、子どもが5年生になっても同じように思うかっていうと違うんです。

加藤さん:どんな風に?

大野さん:子どもにすごく手がかかる時期が終わったし、私自身も仕事と子育てを両立できるスキルを身につけてきたし。時間と気持ちの余裕が出てきたので、仕事を辞める必要がなくなったと。

加藤さん:すごい。私はまだそんな余裕はないです!

大野さん:それにちゃんと自立できている実感があるんです。堂々とできるようになったっていうか、意見が言えるようになったというか。そもそもお金のために仕事を始めたけれど、仕事に対しての姿勢が変わってきたから、お金があったら辞めるって話にはならないです。

山城さん:私も専業主婦に戻るつもりはないです。おそらくお金を積まれても。今はお仕事が楽しいし、「自分の人生を生きてる!」って気持ちになります。仕事を始めたことで、雇い主とお手伝いさんのようなバランスだった夫との関係が、夫婦というかたちになれた気がしています。まぁ、今でも常に旦那に敬語になっちゃう癖は抜けないんですけど(苦笑)。

大野さん:私のおばあちゃんが定年まで教師として勤め上げた人で、私も尊敬してるんですけど。そのおばあちゃんが言うんですよ。「自分が稼いだ金で食べるもんが一番うまい」って(笑)。私、「かっこいいなぁ」って。

他3人:うん、たしかにかっこいい!

経済事情は仕事を辞める理由にはならない?

「もし十分なお金があったら、仕事なんてすぐ辞める!」という人もいるのではないでしょうか。それも、ごもっともです(笑)。人それぞれ、いろいろな考え方や事情とタイミングがあるのですから。座談会のママたちは「家族の事情によっては仕事をセーブすることは考える」というスタンスですが、無条件で「お金があったらすぐ仕事を辞める」という人はいませんでした。ちょっと意外!?

働くことで得られる、”お金以上のもの”とは

今回の座談会に出席してくれたママたちは、みんな一度、専業主婦を経験しています。専業主婦として楽しく過ごせた人もいれば、自分の存在価値に疑問を感じた人も。再び働きはじめた理由が異なるのも、そういった事情があるからでしょう。

でも不思議なことに、働き始めた今、「お金が十分にあったら、絶対仕事は辞める!」と言い切る人はいませんでした。お金を得ることで生活の安定だけでなく、ひとりの女性としての自立や自己実現が実感できたことが大きいようです。また“社会からの評価”としてお金が得られることもモチベーションのアップにつながっているようですね。

後編へ続く。

インタビュー、文・千永美 編集・ここのえ イラスト・マメ美

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