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声優・能登麻美子さん【第3回】出産後に母親役やナレーションを担当。役をより深く理解できました

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前回からの続き。声優として多くの人気アニメ作品を始め、ナレーターとしても活躍する能登 麻美子さん。お名前だけではすぐにピンとこないかもしれないママも、きっとEテレのアニメやヒーロー番組でそのやさしい声を聞いたことがあるはず!

今回は自身がママになったことで起きた、声優としての変化について伺います。
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自分に子どもができたことで、母親役がより深く理解できるように

──ご自身がママになったことで、作品で母親役を演じるときに気持ちの変化はありましたか?

能登麻美子さん(以下:能登さん):それはすごくあります。まず母親役以前に人として、子どもが生まれてからとても涙もろくなりました。よそのお子さんでも入学式や卒園式、街で元気に駆け回っているような姿を見かけるだけで、目頭が熱くなる時があります。

そんな人生のタイミングで、ありがたいことに作品でも母親役をいただく機会が増えまして。最近も(※インタビューは2023年8月に実施)、アニメで母親役をやらせていただきました。わが子を失うようなシーンでは、本当に肌感覚で演じることができるというか。セリフにより思いを乗せることができるのは、大きいかなと思います。

出産前も何度か母親役をやらせていただく機会はあったのですが、子どもが生まれたことで役がより近いものになりました。わが子を思う気持ち、あえて突き放す気持ち、思うがゆえのすれ違いも、以前よりは少しだけ深く理解できるようになったかなと思います。

 ──逆に母になったことで、難しくなった役柄はありますか?

 能登さん:声優のやりがいのひとつであり素晴らしいところだと思うのですが、自分という生身の人間が10歳になったり70歳になったりもするんですよ。最近は以前から5年10年経った作品の続編やリメイクも増えていて、それはすごくうれしいことでもあるのですが……。

自分は10年間年齢を重ねていても、演じる役は前回から1ヶ月しか経っていなかったりする。たとえばすごくピュアな気持ちを持っているキャラクターであっても、自分の今は落ち着いて見守るようなモードだったり・・・・・(笑)。特に年齢が若い役の場合、多感な心を表現するのは、今は大きな挑戦になっています。ただ、それこそが声優の醍醐味でもあるので、臆することなく臨んでいきたいと思っています。

子ども向けコンテンツは、育児の救いの神!

──能登さんは子ども向け作品にも多く携わっています。そうした作品に向かう気持ちにも、変化はありましたか?

能登さん:それは大変大きいです。長く携わらせていただいている作品のひとつがEテレのアニメで、ナレーターを担当しています。出産前はすごく癒やされるし、大人が観ても心が和むよい作品だなというとらえ方をしていました。産後もそれはもちろんあるのですが、そこにプラスして“育児の必需品”だなと。子どもがこのアニメをちょっと観てくれていることで、親に時間ができるんですよ。

子ども向けコンテンツは、育児の救いの神だと思っています(笑)。アニメのキャラクターのような”神たち”がいなければ、私の生活は回っていかないといいますか。そして、子ども向けコンテンツがこれほど考えて作られているとは、正直子どもが生まれる前はわからなかったです。子どもができて、その偉大さを認識しました。

 ──多くのママたちにとっては、能登さんもその一部です。

能登さん:うれしいです。自分が関わっているものが毎日頑張っているママたちに届いていて、少なからずママたちの力になれていると思うと、より仕事への感謝が増しますね。作品に関わることができていてよかったなと、母親になってつくづく思いました。

読み聞かせはひと通り、いろいろなバージョンを試しました(笑)

──お子さんは、ママがテレビで観るような作品に出ていることを認識していますか?

能登さん:なんとなく認識していますが、具体的に何をやっているかまではわかっていないかもしれません。「ママがやっているんだよ」と伝えた番組については、「あ、ママだ」とわかるようですが。

──声優のお子さんは、どんなふうにそれを認識していくのでしょう? 興味があります。

能登さん:自宅での準備作業を子どもの前ではあまりやらないという方もいれば、そうでない方もいて。認識に少しは関わってくるのかなと思います。うちは子供の前でも準備をする方なのですが、やっているとすぐに見に来ます(笑)。今はまだ半分わかっているけれど、半分わからないかな? 「ママはなんだかいろんな声を出しているみたい」という程度でしょうか。

──絵本の読み聞かせも本格的なのでは、という思い込みもあるのですが。

能登さん:一度全力でやって、子どもに引かれたことがあります(笑)。やっている自分が、だんだん楽しくなってきちゃうんですよ。登場人物の演じ分けも、ひと通りはやりました。それこそナレーションのように読んでみたり、客観的に読んだり、語りかけるように読んだりとか。ひと通りはやってみたのですが、子どもに刺さる日とそうでない日があるので、だんだんこちらも力を抜くようになりました。

あとは読み聞かせで発声練習をしたりもします。子どもが好きなキャラクターの声を真似して発声練習、というのは日々やっていますね。

──それは楽しそうですね。

能登さん:「うるさいよ!」と言われることもあります(笑)。

第4回へ続く。

取材・編集部 文・鈴木麻子 編集・しらたまよ イラスト・金のヒヨコ

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