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声優・能登麻美子さん【第1回】出産を経て好きな現場に復帰。育児と仕事のバランスはいつも悩みます

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「癒やし声」とも称される柔らかい声が特徴的な声優・能登麻美子さん。数々の人気アニメ作品を始め、CMや作品でのナレーションも多数担当されています。ママたちもEテレのアニメのナレーションなど、能登さんの声をどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

2018年に妊娠を発表した能登さんは、現在1児のママでもあります。ママスタセレクトではそんな能登さんにインタビュー、今回は出産・子育ての経験を通した価値観の変化を伺いました。
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育児は“できないこと”だらけ。考え方を転換しました

──出産・育休・子育てなどの経験を経たことで、ご自身のなかで変化はありましたか?

能登麻美子さん(以下:能登さん):変化は多岐に渡ってありましたが、一番大きかった変化は少しペースを落とすようになったことです。それまでは「自分と仕事」「自分と生活」だけでやってきたので、今思えば少しハイペースなときもあったと思います。
私はどちらかといえば「あれができない」と、できないことを数えてしまうタイプで。「できないから、できるように頑張ろう」と考えるほうだったのですが、いざ出産して育児がスタートすると現実は“できないこと”だらけで、今までのやり方が全く通用しませんでした(苦笑)。

──初めての育児はできないことの連続ですよね。それでも、やらなくてはいけないわけで。

能登さん:本当にそうですね。私もこれまでの考え方では行き詰まってしまうなと思い、「今日はあれができた」「これもできた」と“できること”を逆に数えるようにしました。そうすることで心が軽くなり、自分で自分を追い詰めることも減りましたね。それが結果少しペースを落とすことにも、つながったのかなと思います。

不安はありつつも、のんびりする間もなく仕事復帰

──ハイペースでやっていらした当時、その自覚はあったのでしょうか?

能登さん:ペースを落とすことが、どこか怖かったのだと思います。結婚・出産とは関係なしに、年齢と共に自分の肉体も変わってきますよね。30代で「あれ? 20代の頃はもっと元気に動けていたのに」とか、心身のバランスの取り方が難しいなと感じることもあって。そこで不本意ながらペースが少し落ちることはあったのですが、自ら「もっとのんびりしよう」という余裕を持つことには、気持ちが向かなかったです。

──そうした状況のなか、どんなことを考えながら育休を取ったのですか?

能登さん:育休に入る前は出産前後で自分の体調がどう変化するかもわからなかったので、不安は大きかったです。ただ、私の場合は当時レギュラー作品もやっていたので、純粋な育休はかなり短かったんですよ。しっかりお仕事を調整して育休を取られる方もいるので、これは本当に人それぞれだと思うのですが。

ありがたいことに周囲はゆっくり育休を取れるよう調整してくれていたのですが、どうしても現場に入りたい役とのご縁もあって、出産してそれほど経たないうちに現場に戻りました。もう少し育休が長くてもよかった……。あ、でも、そうでもないかな(笑)? これも本当にそれぞれだと思うので、私にとっては結果的に悪くはなかったと思っています。ただ、しっかり身体を整えるためにも、休める方はしっかりお休みされたほうがいいと思います。

常に迷う、育児と仕事のバランス。そのなかで感じた喜び

──育休をご自身のラジオ番組で公表されましたが、どんな思いからでしたか?

能登さん:私が活動している声優の業界も、時代に合わせてどんどん変化をしています。私が仕事を始めた20年ほど前は、声優が表に出ることはあまりなかったんですよ。アニメーション然り、ナレーション然り。ここ最近で声優さんでもご自身の個性で表に立たれる場面が増えてきたので、そういう意味では考え方もそれぞれだと思います。

私は自分が裏方という意識が強かったので、公表の必要はないかなと思っていました。ただ、前後のお仕事の兼ね合いでオープンにしたほうがスムーズかなと思い、公表することになりました。

──育休期間はあまり長くなかったようですが、そのなかでも「もう仕事に戻りたくないな」など、感じることはありましたか?

能登さん:もう日々、いろいろなことを考えていました。育児と仕事のバランスは、常に迷っていたところです。たとえばその日「もう少し子どもと一緒にいる時間を長くしたほうがいいのかな」と考えたとしても、次の日現場に行くとやっぱりそこで自分がやりたいこと、現場に来られる喜びがあって。出産前ももちろん感じてはいたのですが、出産後は仕事ができる喜びを実感することが格段に増えました。

──お子さんはどこかに預けられたのですか?

能登さん:子どもは生後7ヶ月から保育園に預けました。0・1・2歳児までの保育園で、その後は幼稚園です。保育園時代「育休を1年取って復帰します」というようなママたちもいらっしゃって。いろいろな方とお話するなかで、みなさんがどう時間をやりくりしながら働いているのかを知ることもできました。

第2回へ続く。

取材・編集部 文・鈴木麻子 編集・しらたまよ イラスト・金のヒヨコ

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