<最高のママ友は元カノ>【第2話】なじみのない土地で子育てをしているママ同士、絆は深まっていく
前回からの続き。結婚して旦那の地元に新居を構えたマサエ。子どもが産まれてから、知っている人がいない土地での育児に不安と孤独を感じ始めました。それは疎外感へとつながっていきます。そんなマサエを孤独から救ってくれたのが、息子が1歳になった頃から通いはじめた公園で出会ったママ友、メグミでした。
ある夜、夕飯を食べているときに旦那のユウゴが私の顔を見て言いました。
「マサエ、最近楽しそうだね」
「そうかな?」
「そう見えるよ。出産してからずっと辛そうだったけど、なんていうか昔に戻ったみたいに明るい表情になった。何かあった?」
「実はね、ママ友ができたの! メグミさんっていって、息子と同い年の男の子のママで、すごく話が合うのよ」
「メグミという名前なの?」
「どうしたの? 何か心配することなんてある?」
「いや、何でもない。でもよかったな」
「そうね。メグミさんと知り合ってから毎日が楽しいの! やっぱり人と話をするって大切だね」
ユウゴは、うなずきながら息子を膝の上に乗せます。何か考えているように無口になりましたが、そのとき私は何も気になりませんでした。
息子は成長と共にどんどん活発になり、マサエも手を焼くようになりました。毎日大変な思いをしていても、公園に行けばメグミ親子がいました。屈託なく笑う彼女の顔を見るとホッとするようになりました。さっそくマサエは子育ての悩みを彼女に打ち明けます。
「最近、午後もしっかり遊ばせないと、なかなか夜に寝つかなくってさ」
「どんどん体力つくよね。ウチも保育園でお昼寝するから、ますます夜が遅くなっちゃうの。だから夕方、公園でしっかり遊ばせてから帰るんだ」
「保育園のお迎えはいつもメグミさんなの?」
「実は……私、シングルマザーなの」
メグミは静かな声で語ります。
「もともと地元はA県なの。でも地元だとシングルになってからいろいろ言われるから、こっちに引っ越してきたの」
A県。それは旦那が通っていた大学のある場所でした。でもそれには触れずに私は相づちを打ちます。
「誰も知らない場所に行くには、ちょっと勇気がなかった。だから若い頃に少し遊びにきたことがあったこの街が懐かしくなって、息子のタイキと住みついちゃったのよ」
そう言うとメグミさんは笑いました。
「立ち入ったことを聞いてごめんね」
遠くを見つめる彼女にマサエが問いかけます。
「ううん。大丈夫」
「タイキ君のお父さんって、どんな人だったの?」
メグミは静かに話し始めました。
【編集部のコメント】
いつも屈託なく笑っているメグミですが、実は彼女もマサエと同じように地元から離れて知らない土地で子育てをしているママだったのです。そのうえ旦那さんがいないシングルでの子育てでした。メグミはマサエの孤独を十分すぎるほど理解していたのでしょうね。
文・編集部 編集・ここのえ イラスト・んぎまむ
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