忙しい日々に疲れたパパ&ママに週末旅のススメ~千葉県・勝浦市
育児に家事に仕事にと忙しくはりつめた日々が続くとふとどこかに出かけたくなりますよね。
といっても旅行誌の常連である、京都や沖縄などは“思いつきの旅”にしては費用がかかるし、観光客であふれかえっていて休んだ気がしないし、家族で出かけるには思い切りが必要。
「今週は子どもがらみの予定もないし…」と木曜日に思い立ち、なんなら金曜日に慌てて宿をおさえて…。そんなふうに予定を立てる段階からバタバタしていても気兼ねなく出かけられるような場所、できれば住んでいるエリア(私の場合は東京)から1~2時間で到着できるような…と考えあぐねた結果、私が白羽の矢を立てたのは千葉県にある勝浦市でした。
子連れの旅先を決めるのはたいてい悩ましいものですが、素敵な場所でしたので、今回はそんな勝浦市をご紹介したいと思います。
なんでもない場所にしかない特別感が心に染みる…
「千葉、外房、勝浦~? 何があるの? 何が有名? 」と思われる方もいらっしゃるでしょう。でも、ふと思いついて都会の喧騒を離れたくなるとき、まさにその何もなさそうな「さびれ感」が疲れたママたちの心と体に染みるものではないでしょうか。
有名な観光地より勝浦のような場所こそ、実は国内旅行慣れした人たちが次なる旅先として指名してもいる場所のようです。あからさまに観光地化していないのでその土地が普段どおりの空気感で存在していること、混雑していないこと、無駄に近代化していないことなどがその理由。ごくごく普通だから本当の意味でローカルな―ムードにどっぷり浸かることができ、過剰なもてなしを受けないからこそリラックスできる―懐かしいあのころの我が家にいるような気分で過ごせる場所なんですね。なんでもないような場所にしかない特別感というわけです。
子どもたちは、特に小さいうちは、“出かける”というイベント感だけで盛り上がってくれたりするものです。それに、思いつきの旅だけに、一番大切なのは「癒されたい~」という親たちの気持ちを満たすこと! 子が喜びそうなアトラクション的な要素はあまりありませんが、その“特別感”だけで週末の1~2泊を親子揃って堪能できたのです。
土日に漁港で開かれる朝市は日本三大朝市のひとつ。家族でぶらり、散歩がてら出かけて
勝浦で宿泊するなら海岸沿いや漁港が近い宿がおすすめです。波の音で眠り、波の音で目覚めたら、まずは漁港近くで開催されている朝市へ出かけてみてください。昔よりは規模が小さくなったとはいえ、日本三大朝市(ほかは岐阜県高山と石川県輪島)のひとつ、長く細い石畳みに沿って地元のおじいさんやおばあさんたちがしゃがむ小さな店がいくつも連なっています。季節にもよりますが、獲れたてのカツオや魚介類 (勝浦漁港は日本で有数のカツオ一本釣り水揚げ港)、ずっしりと大きくジューシーな梨などがどれも“田舎価格”。その場で剥いてくれた梨を頬張りながら、干物を物色したりしているうちに気付けば両手にいっぱいの土産物を抱えていたなんてことになります。
60段の石段の上から覚翁寺が見下ろす道端でひと休みしたり。国の登録有形文化財である和風旅館「松の家」を眺めながら周辺をぶらりと散歩してみたり。
人情味あふれ、それでいてゆったりと時間の流れる勝浦の風景を見ているだけで肩の力がすーっと抜けていくことでしょう。
冬だって磯遊びや砂遊びを子どもと楽しめば幸せ。海中公園や水族館も
案外知られていませんが、青く美しく澄んでいる勝浦の海。夏、海水浴を楽しめるのはもちろんですが、1年を通してサーフィンのメッカでもあります。とはいえ湘南あたりのカッコよすぎるサーファーたちとは異なり、勝浦あたり、千葉の海を好むのはどこか泥くさくて人間味あふれるサーファーたちばかりです。あからさまじゃないお洒落感が心地よい彼ら。彼らが勝浦を単なる地味な田舎で終わらせないのにひと役買っているとも言えそうです。本音を言えば、ほんのちょっぴりとでもお洒落感があるほうが、やっぱり気持ちは盛り上がるものですから。
そうはいっても子どもたちに何か…と思うときには海中や海底の様子を見ることが出来る「かつうら海中公園海中展望塔」や、車での移動が可能なら「鴨川水族館」などへ出かけてみてはどうでしょう?
冬であろうと、海は眺めているだけで豊かな気持ちにさせてくれます。砂遊びを楽しむ子どもの横に座りこんで過ごす時間の幸福感といったら!! あたたかなコートやブランケットにくるまって、波間のサーファーたちを眺めるのも一興です。
夏ならば館山の花火大会にぜひ出かけてみてください。漁港に座り込んで見上げる花火はなんとも言えない風情に溢れています。
B級グルメグランプリを取ったあの逸品や、ほか海の幸もほんとうに新鮮で美味しい!!
そうそう、2015年秋に青森県十和田で開かれた「B-1グランプリ(ご当地B級グルメが競う大会)」で“勝浦タンタンメン”が見事、グランプリに選ばれたこともお伝えしておきます。ラー油でスープの表面は真っ赤っか、ひき肉と玉ねぎだけで味わう逸品も勝浦を地味に盛り上げる立役者です。見た目の割にそう辛くなく、子どもたちが食べている姿もよく見かけますよ。
うっかりすると帰路に木更津のアウトレットに寄って散財しそうになるので危険もいっぱい! それもまた旅の醍醐味と言えますが(笑)。
関東圏にお住まいでない方は思いつき旅というわけにはいかないかもしれませんが、機会があればぜひ出かけてみてくださいね。“電車好き”のお子さんがいらっしゃるなら外房線の車窓を楽しみながらぜひ!
文・blackcat