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福岡市長、絵本『アヒルちゃんの夢』をきっかけに「親子で発想の転換をして夢を叶えて」

高島市長1
福岡県福岡市の市長を務める高島宗一郎さん。「親子の対話のきっかけになれば」との思いから作られた、絵本『アヒルちゃんの夢』(エッセンシャル出版社)を2022年12月12日に出版しました。空を飛びたくて練習を続けるアヒルちゃんは、ある画期的なアドバイスを得たことで、思いもよらぬ方法で夢にチャレンジすることに! 高島市長自ら作画し、文章も手がけたという『アヒルちゃんの夢』は、いったいどんな絵本なのでしょうか? スタートアップ(起業)の支援に力を入れ、子どもたちへのアントレプレナーシップ(起業家精神、リスクに立ち向かうマインド)教育にも先進的に取り組んでいる高島市長にお話を伺いました。

子どもたちが「本当にやりたい夢」を心から応援できる

――絵本『アヒルちゃんの夢』の出版おめでとうございます。この絵本はどのようなストーリーですか?

高島宗一郎市長(以下、高島市長):飛びたいという夢を持つ主人公のアヒルちゃんが、絵本に登場するいろいろなキャラクターたちからアドバイスを受け、試行錯誤しながら夢に挑戦していくお話です。

――起業が大きなテーマになっているようですが、なぜでしょうか?

高島市長:我々大人が子どもだった頃に比べたら、今は、技術も格段に進歩し、価値観も大きく変化しました。例えば、「従業員として働く」ことが、必ずしも夢を実現するための最適な手段とは言えない場合もあります。「起業」という選択肢も含め、子どもも大人も従来の常識から発想の転換が必要だと感じたからです。

――福岡市では、起業のように、子どもたちがリスクを取ってチャレンジするマインドを身に付けるための教育にも力を入れていると伺いました。

高島市長:
はい。実際に会社を立ち上げた起業家に学校に来てもらって、子どもたちにリスクを取ってチャレンジすることの大切さをお話してもらっています。図書室には、起業家の書いた本を集めたコーナーもあるんですよ。今、新しい仕事がどんどん誕生し、子どもたちの夢も広がっています。繰り返しになりますが、きっとこれからは「従業員」だけでなく、それぞれが起業などをして、自分のやりたい仕事を立ち上げた方が夢の実現へ近道となる場合も多くなってくると思うのです。

高島市長絵本
タイトル:『アヒルちゃんの夢』
作・絵:福岡市長 高島宗一郎
出版社:株式会社エッセンシャル出版社
発売日:2022年12月12日

――つまり、会社員ではなく社長という立場。しかも自分たちで新しい会社、仕事をどんどん創り出していくいう可能性があるということですね。

高島市長:そうです。けれど、自分の子どもが「会社を立ち上げたい」と相談してきたと想像してください。多くの親御さんは、心配のあまり「安定した企業で働いてほしい」という気持ちが働くのではないでしょうか。私はこれを、敢えて「親の壁」という少しきつい言い方で呼んでいます。子どもたちの一番身近にいて、一番応援すべきはずのママやパパの親心が、子どもたちの挑戦を阻害してしまっている状況に、大きな問題意識を感じているからです。

私たち大人の多くは、「仕事とは汗水たらして働くもの」「和を乱さず、みんなと同じようにすることが一番いいこと」という価値観が、ずっとしみこんでいるのです。

絵本『アヒルちゃんの夢』では、空を飛ぼうとするアヒルちゃんに対して、従来のやり方ばかりを教えるうんどうの先生、根性論を唱えるタヌキのおじいさん(タヌキチおじいさん)などのキャラクターが登場します。彼らがアヒルちゃんに伝えているのは、まさに私たち親世代の価値観なんです。

「安全な道」だけを選ばせていることも

――うんどうの先生は「真面目にやることこそ正義!」、タヌキチおじいさんは、気合と根性で「がんばればなんとかなる!」と乗り切るタイプですね。

高島市長:親世代も、子どもの頃はもっと発想が柔軟で自由だったはずです。でも、自分たちでも気づかないうちに、子どもたちに「安全な道」だけを行かせようとしてしまっているのです。

今、時代はどんどん進化しています。新しい技術・サービスがどんどん出てくる世界で、過去の知識・経験だけでは子どもの夢を叶えるアドバイスはできません。

政府も2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけて、起業の支援に本腰を入れ始めました。ちなみに福岡市では、2012年に「スタートアップ都市宣言」をし、10年に渡り、スタートアップ支援に力を入れてきましたが、ようやく国全体も動き出してきたことは素直に喜ばしいことだと感じています。

今、時代はどんどん進化しています。新しい技術・サービスがどんどん出てくる世界で、過去の知識・経験だけでは子どもの夢を叶えるアドバイスはできません。

高島市長3

そして、国の政策も大切ですが、何よりも、子どもたちには、「アントレプレナーシップ」を育んでほしいと思っています。「アントレプレナーシップ」は、何が起こってもおかしくないこれからの時代を生き抜くために、子どもたちが身に付けておくべき資質だと思うのです。

子どもたちのチャレンジ精神を応援してほしい

――絵本『アヒルちゃんの夢』では、飛べない鳥であるアヒルちゃんの「空を飛びたい」という途方もない夢を、アヒルちゃんのパパが一生懸命応援しています。これは、ママやパパたちには、子どもたちのチャレンジ精神を応援してほしいという気持ちが込められているのでしょうか?

高島市長:その通りです。うんどうの先生、タヌキチおじいさんみたいな人がいるなかで、「だからこそ親は、わが子の応援団であり、一番の理解者」であってほしいと願っています。

――最後に読者のみなさんへひとことお願いします。

高島市長:この絵本を通して、子どもたちがアヒルちゃんのように従来の発想にとらわれない方法でチャレンジすることの大切さを学んでくれたらいいなと思います。
また、ママやパパは自分がうんどうの先生やタヌキチおじいさんになっていないか。アヒルちゃんのお父さんのように子どもの夢を応援してあげられているか。そんなことを振り返るきっかけになったら嬉しいです。将来なりたい職業や、世の中にはどんな仕事があるのかなど、この絵本を読みながら、親子でいろんなコミュニケーションを取ってもらえるとうれしいです。

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取材、文・間野由利子 編集・荻野実紀子

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