「明石から5つの子育て支援モデルを全国へ」【明石市 泉房穂市長・第1回】
こども医療費の無料化、第2子以降の保育料の完全無料化に加え、0歳児の見守り訪問「おむつ定期便」、中学校の給食費が無償に、公共施設の入場料も無料化など、兵庫県明石市が実施している「子育て5つの無料化」が全国のママたちから熱く支持されています。
ただ残念なことに、先頭で指揮を取っていた泉房穂(いずみ ふさほ)市長は、市議会議員への暴言で、今期限りでの退任が決まっています。泉房穂市長から直接ママたちへお伝えしたいこと、今後の展開などについてお話を伺いました。
明石市民ならびに全国のみなさんにお詫び申し上げます
――このたび泉房穂市長から、ママたちにお伝えしたいことがあるとのこと。泉市長、よろしくお願いします。
泉房穂市長(以下、泉市長):まずは、このたび私の不徳の致すところにのより、投票してくれた明石市民の信頼を裏切るような行為をしてしまい、大変申し訳ございませんでした。全国からも期待していただいている面があったと思います。明石市民と全国のみなさんにお詫び申し上げます。申し訳ございません。そのうえで3つの責任を取らせていただきます。
1つ目の責任は、当然暴言の責任です。暴言の責任については、3年ほど前、同じように暴言を吐き辞職をしております。今回2回目となりますことから、政治家を引退させていただきます。責任については、自分が最も嫌なことをするのが責任の取り方だと考えております。
2つ目の責任は市民に対してです。現在、明石市長を拝命しており、任期が残り半年間あります。その間しっかりと勤め上げて、今の明石で実施している政策が、次の市長にも引き継がれるようベストをつくします。
3つ目の全国のみなさんの期待に対する責任は、プレイヤーとしての政治家活動は終わりだとしても、全国でアドバイスをしたり、市長選を手伝ったり、国の法律作りのお手伝いをしたいと思っています。これからも日本の政治を良くしていくことに努め、みなさんのご期待に応えていきたいです。
明石市長として、3期12年務め、市長としてできることは、ほぼやり終えたので、次の市長にバトンを渡したいと思います。
政治家引退後は全国の応援団に!
――市長引退後の活動はどのように考えていらっしゃいますか?
泉市長:まずはこれから市長になられる方に、子育て支援の政策立案などでアドバイスを行い、必要なところがあればお力になりたいと考えています。
また、現在「明石モデル」として発信している明石市独自で掲げる子育て5つの無料化、「こども医療費の無料化」「第2子以降の保育料の完全無料化」「0歳児の見守り訪問 おむつ定期便」「中学校の給食費が無償に」「公共施設の入場料無料化」を全国に展開するお手伝いなどができればと考えております。
ただ、実際のところこの「5つの無料化」はたいして難しいことではないんですよ。本気になればもっとできます。学校給食についてですが、現在無料化の対象となっているのは中学校のみです。小学校もできたんです。しかしそれをしてしまうと予算がきつくなるから、次期市長が継続できるかどうか不安が残りました。そのため、まずは無理のない範囲で実施しました。
子育てに優しい社会を明石から全国展開
――明石市では「こどもを核としたまちづくり」を実施した結果、赤字が大きく改善したそうですね。
泉市長:私の市長就任当初は市としての貯金70億からスタートしましたが、今基金は121億円になりました。これだけ子育て支援を無料化にしたにもかかわらず、51億円を貯蓄することができました。強く主張したいのは、「子育て支援に力をいれれば財政はよくなる」ということです。もちろん次の市長にバトンタッチしても「5つの無料化」は安定的に継続できるでしょう。
――泉さんは、「やさしい社会を明石から」ということを考えているそうですが、これはどのようなものですか?
泉市長:「明石から」の「から」には2つの意味があります。1つは、「国や、全国どこの自治体でやらなくても明石から始める」という意味です。具体的には「5つの無料化」などです。そこはほぼやり終えたので、次は2つ目の「明石から全国に広げる」ということに自分のエネルギーを使いたい。全国を飛び回って「子育て支援施策」を広げるお手伝いをしたいと考えています。
明石市にお住いの方はもちろんのこと、全国のママさんたちのご意見、ご支援を承り、「5つの無料化」などを全国に広げ、本来やるべき国の事業にしていけたらと考えております。
【明石市 泉房穂市長・第2回】へ続く。
取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶 イラスト・おんたま