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「現場主義」が問題解決への近道! 葛飾区の子育てにかける思いとは【東京・葛飾区】

葛飾区
「ゆりかご葛飾」をモットーに、妊娠期から、子どもが18歳になるまで一貫してサポートする体制を設けている葛飾区。「延長保育は20時まで」「病児・病後児保育への対応」「幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校までの連携」など、さまざまな施策を実施してきた青木克德区長に、葛飾区の子育てにかける思いについて伺いました。
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妊娠期から子どもが高校生になるまでを一貫してサポート

――葛飾区では、妊娠期から、18歳になるまで区で子育てサポートをしているそうですね。具体的にどのようなことをしているのでしょうか?
青木区長:「ゆりかご葛飾」といって、妊娠期から出産、幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校など18歳まで、一貫して子どもたちをサポートしていく体制を作っています。

妊娠期は、妊娠届を提出していただいた後、保健師などが「ゆりかご面接」をして区の子育てサービスなどを紹介します。平成30年4月1日から、お祝いとして葛飾区から子ども服、ベビーカー、ベビーベッドなどの子育て用品を購入できる「妊娠子育て応援券(1 万円分)」を交付予定です。

――なぜ保健師さんとの面談を実施したのでしょうか?
青木区長:そうですね。初めての妊娠は不安がたくさんあるでしょう。その不安に対し、保健師などが親身になって相談にのってくれたら、それだけで気持ちが和らぐと思います。ママたちが「なにかあったら保健師に相談しよう。葛飾区が力になってくれる」そんな風に思ってもらえたらと嬉しいですね。

2人目の保育料が半額、3人目の保育料が全額免除

――幼稚園や保育園では、どのようなサポートがあるのでしょうか?
青木区長:中学3年生までの兄弟がいる場合は、2人目の保育料を半額、3人目の保育料が全額免除となります。以前は小学校6年生までの兄弟が対象でしたが、実際に子育てをしているママたちから「年齢が離れた兄弟も多いから」という声を聞き、中学3年生までを対象に変更しました。私立幼稚園はそれぞれの保育料が異なるので、この通りではないですが、同じ考え方で助成しています。

「病児・病後児保育施設の設置」ママたちが安心して働ける体制を築く

――子どもが病気のとき、預けられる保育園はありますか?
青木区長:病後児保育は砂原保育園、本田保育園、たつみ保育園、住吉保育園、中青戸保育園、小合保育園、小谷野しょうぶ保育園の7園があります。病児保育は新小岩わんぱくクリニック、堀切二丁目病児保育室、水元保育園の3園です。病児保育はお医者さんが近くにいるほうが安心だと思いますので、4園目も亀有にある東部地域病院を予定しています。場所的にちょうど足立区との区境になるので、一緒にやる予定で調整しているところです。

20時まで延長保育を実施。預けたいときに預けられる状況を作ることが大事

――葛飾区では、20時まで延長保育を実施されているそうですね。
青木区長:そうですね。実施するにあたり、保育士側から「夜の保育は必要なのか」という意見が出て議論を重ねました。その結果、働くママをサポートするうえで必要なことだということになり、「20時まで」になりました。現在、公立、私立の認可保育園103園中、52園が実施しており、一部の園では休日の預かり保育も行っています。子どもを預けたいときに預けられる状況を作っていくことは、ママたちにとって大事なことだと思います。

幼稚園、保育園、小学校、中学校が連携し、子どもの進学移行期をサポート

――「小1プロブレム」「中1ギャップ」という言葉を耳にします
青木区長:現在、小学校では「小1プロブレム(※1)」、中学校では「中1ギャップ(※2)」と呼ばれる問題が全国的に言われています。幼稚園、保育園、小学校、中学校がお互いに連携することで、進学時も問題なく新生活をスタートさせることができます。それによって親御さんたちの不安も軽減されるのではないかと思っています。

(※1)小学校に入学したばかりの1年生が、集団行動がとれない、授業中に座っていられない、先生の話を聞かない、などと学校生活になじめない状態が続くこと。
(※2)小学校から中学校に進学した際、不登校やいじめの増加などの問題が生じる現象のこと。学習内容や人間関係の変化、心身の発達(思春期)など幾多の原因が作用し合って起こると考えられている。

都内で初導入。1人5500円分の「マタニティパス」を交付

青木区長:葛飾区では、平成29年度から都内で初めてマタニティパスを導入し、1人につき5500円分の交通系ICカードを交付しています。
――妊娠中は自転車に乗れないから、バスや電車を利用する機会が増えそうですね。
青木区長:このパスをきっかけに、ママたちが積極的に表に出て、プレママや先輩ママ、地域の人たちと交流してもらえればいいなと考えました。

葛飾区歯科医師会と連携して、「妊婦歯科健診」をスタート

――平成28年度から妊婦歯科健診をはじめたそうですね
青木区長:葛飾区歯科医師会と連携して、健診費用も区が負担しています。妊娠すると身体や生活環境が変わることから、お口の中もむし歯や歯周病に罹りやすくなったり、すでにあるむし歯や歯周炎が悪化したりすることがあります。重度の歯周病は早産や低体重児出産のリスクを高めるとも言われています。そこで妊娠中は口のケアがとても大切になってきます。また、生まれてくるお子さんのお口の環境は、お母さんのお口の環境の影響を大きく受けます(※3)。お母さん自身のお口の健康を守るだけでなく、お子さんの健全な発育のためにも妊婦歯科健診を受診して、お口の環境を整えて出産に備えられるサポートをしています。

(※3)通常母親と一緒にいる時間が長いことから母の口腔内細菌(むし歯菌)が唾液を介して子どもにうつるといわれている(母子伝播)。母寄りの細菌環境になりやすい。おおよそ歯が生え始める生後6か月くらいから伝播し始め、18~31か月(1歳6か月~2歳6か月)くらいで定着するといわれている。このことから、母親の口腔環境を整えることで子どものう蝕を予防することができる。

青木区長:また、母子のお口の健康のため葛飾区独自の歯科健診を行っています。1歳6か月児や3歳児の歯科健診は全国の自治体で実施していますが、葛飾区はそれに加えて、1歳児の「ハッピーバースデイすくすく歯科健診(※4)」や2歳児とお母さんがペアで受診をする、「すくすく歯育て歯科健診(※5)」を実施しています。1歳児では歯科健診の他にお子さんの身体測定と育児相談を一緒に行っています。2歳児では、葛飾区歯科医師会と連携して親子ペアで歯科健診と予防処置(※6)を実施しています。特に2歳児と母をペアにした歯科健診は23区初の取り組みです。
このように、生まれる前(マイナス1歳)から切れ目のない歯科健診でお子さんのお口の健康維持に取り組んでいます。

(※4)1歳児の歯科健診:1歳という節目に子どもの成長、発育を確認することができるように、歯科健診にくわえ身体測定や保健師・栄養士による育児相談を行うことで、子育ての不安を軽減し、安心して育児ができるように支援する。
(※5)2歳児の歯科健診:産後すぐは育児で忙しいため、少し落ち着いた頃(子どもが2歳になる頃)に母子ペアで歯科健診を実施し、子ども本人だけでなく、家族に対してもむし歯予防をはじめとするお口の健康について意識させ、母子ともにかかりつけ歯科医の定着につなげる。
(※6)すくすく歯科健診の予防処置:子どもはフッ化物塗布、母は歯のクリーニングを実施

区内全ての保育園、幼稚園をまわったことで、「早期問題解決」へと近づいた

――青木区長は、区内の保育園や幼稚園を全て見て回っているそうですね。実際に通ってみてどんな印象でしたか?
青木区長:区内の保育園や幼稚園をはじめ、特別養護老人ホームなどにも全て足を運びました。今後も新設される施設があれば、全部回ります。実際に見ると想像とは違うんですよ。
たとえば、ある保育園で保育士さんが子どもをおんぶし、もう1人の子を抱っこしていました。それを見たら、保育士さんがよく腰が痛くなる理由を理解しました。
現場を見ると、物事の必要性や重要度もわかります。事前に現場で問題点を理解してから、会議に参加することで、会議で議論する時間も短くできるそれが大事なことだと思っています。

葛飾区総合アプリやフェイスブック、ツイッターを使って「葛飾区」情報を発信

――葛飾区では、情報発信の手段としてSNSをされているそうですね。
青木区長:葛飾区公式のフェイスブックとツイッターをやっています。また「葛飾区総合アプリ」もやっています。葛飾区総合アプリ内の電子母子手帳に子どもの情報を入力しておくと、予防接種など子どもの年齢に応じて必要な情報が届くようになっています。また葛飾区総合アプリでは、子育てのこと以外にも、高齢者の介護や観光・イベント情報も発信しています。
――なぜSNSをやろうと思われたんですか?
青木区長:区民の方と交流が持てたらと思いはじめました。区の政策に関心をもってもらえれば嬉しいです。

しっかり休むことで子育てを楽しむ余裕が生まれ、仕事も頑張れる

――最後にママたちにむけてメッセージをお願いします。
青木区長:ぜひ子育てを楽しんでもらいたいなと思います。うちも子どもが迷子になって肝を冷やしたり、夜間、病院に連れて行ったり、子育てには色々と思い出がありますね。大変なこともありましたが、やっぱり子どもを育てることは楽しいことです。
子育てをしながら、仕事をしていたら大変なこともあるでしょう。でも大変なときは仕事を休んでいいんですよ。仕事も大事だろうけど、子どもも大事なのだから。

葛飾区職員のワークライフバランスの推進などに関しては「葛飾区職員 仕事・子育て活きいき計画」を立て、子育て中の職員も仕事をしやすくなるような職場づくりを進めています。僕としては、仕事をしているときは一生懸命やってもらって、休むときはしっかり休む。それが結果として区民のためになるのではないかと思います。

これからも積極的に保育園や幼稚園などの現場に足を運び、区民の方の話に耳を傾けていきたいと思っています。

取材、文・間野由利子 編集・北川麻耶

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