子育ての“イラオコ”を減らしてハッピーに!嶋津良智さんインタビュー
国内外で企業の管理職向けのセミナーやコンサルティング活動を行ない、著書『怒らない技術』シリーズが90万部を超えるベストセラーとなっている嶋津良智さん。
今、人を育てる原点として「親子」の関係に深く向き合い、子育ての不要なイライラを減らす「イラオコダイエット」を提唱されています。
ママスタでは嶋津さんにインタビューし、「怒らない子育て」を実践するための秘訣をお聞きしました。
ハピニコマスター★ヨンヨンの7日間イラオコダイエット
―本日はよろしくお願いいたします。嶋津さんは子育ての「イライラ」を減らして、ハッピーな親子関係を築く方法を本の中で紹介されていますが、そもそもなぜ、イライラ怒って子育てをすることはよくないのでしょうか。
嶋津:
私の子育てセミナーでもママ達からそう聞かれることがあります。そうしたときには、「怒ってばかりいる旦那さんと一緒にいるのは嫌ではないですか?」というふうに逆にお聞きしているんです。
怒られたり、言葉や力の暴力で言うことを聞かされるのはみんな嫌なんですよね。
子供がなかなか言うことを聞かないときに、手っ取り早くそうした手段をとりたくなるものですが、それをずっと続けていると必ず親子関係に影響が出てきます。
子供はママやパパ、周りの人達からかけられる言葉を“食べて”心を成長させていきます。体も毎日の食べ物で15年、20年かけてだんだんと大きくなっていきますが、心も同じですよ。毎日ママにどんな言葉をかけられるか、ということが長い時間をかけて子供の心を作りますし、親子関係も作っていきます。
怒ったり叩いたりして言うことを聞かせ続けていると、中学生くらいになって子供が体力も自意識も強くなってきたころに親子関係に問題が起こりやすくなりますよ。そうなるのは皆さん避けたいですよね。だから子育て中の「イラオコ」を減らそうよ、と本の中でもその方法を書いています。
■「Myルール」の押し付けをやめて、子供と一緒に作る「Weルール」に
―ママ達も本当は怒らずに心穏やかに子育てをしたいと思っていますが、ママ達にアンケートを取ったところ、3-6歳の子供がいるママの6割以上が、毎日のように子育てにイライラしていて、子供に手を上げてしまうこともあるという結果になりました。
子育ての「イラオコ」を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。
株式会社エヴォルブド・インフォ自社調査
2015年4月実施 回答数 644名
嶋津:
僕も本来は怒りっぽい人間で、管理職時代に部下を指導していたときはいつもイライラしていたんですよ。でもそういう指導は、はじめはうまくいっていましたが長続きせず、そのうちうまくいかなくて、部下との信頼関係も築けなくてダメだったんです。
それで、どうして自分は部下にイライラしてしまうのだろうと考えたときに、自分の「Myルール」を部下に押しつけていたことに気づいたんです。
「普通はこうだろ」「当然こうやるよな」という自分の中の「こうあるべき」というルールを部下に要求して、それが守られないことにいちいちイライラしていました。
ママ達が子供にイライラするときも「Myルール」が関係しているかもしれません。
「こうあるべき」というルールが多いほど、それに外れたときにイラっとしますよね。
もちろん子供を指導していくことは必要ですが、「こうあるべき」と今思っているものを見直して「Myルール」を少なくしていくことをオススメしています。
私のセミナーに来るママ達の中には、「子供は親の言うことを聞くべき」というルールを持っている方も多くいますが、実際は子供は親の言うことなんてすぐに聞くわけがないので、そのルールを取り去るだけでかなりイライラが減る方もいらっしゃいますね。
―Myルールを減らしてイラオコを減らしていく、ということですね。しかし、それでは子供をどう指導していけばよいのでしょうか。
嶋津:
こうなって欲しい、ということを子供が自発的に行うようになるといいですね。
そうするためにはまず子供の様子をよく観察することです。
私のセミナーに来られたママの話ですが、幼稚園に通っている6歳のお子さんが朝の支度がだんだん遅くなってきて困っているということでした。もうすぐ小学校に上がるのに心配なので、毎日「なにモタモタしてるの!早くしなさい!」と怒っているのに効果がないのだそうです。
そこでまず、その子がなんで支度が遅くなるのかをよく観察してもらいました。すると、その子は最近始まった朝のテレビ番組を楽しみにしていて、テレビに夢中になって支度が遅くなることが見えてきました。
そうして状況がわかったら、今度は「Weルール」を子供と一緒に作るといいです。
「Myルール」ではなく、子供と一緒に作るルールなので「Weルール」です。
その方の場合、テレビを禁止するのではなく、まずこれまでより10分早くその子を起こすことを約束しました。
そして、歯を磨いたり、着替えたり、トイレに行ったりという朝の支度に順番を付けて、次に何をすればよいのか、子供がすぐにわかるようにしました。意外とこうしたひと手間が大事なんですよね。
そうして早く準備を終えてその後にテレビを見よう、という約束をしたところ、子供の支度が早くなって、朝のイライラがだいぶ減ったようです。
もちろん、「Weルール」を決めた翌日からすべてが変わるわけではなく、継続することが大事ですね。
―まず観察してみる、というのが面白いですね。
嶋津:
親は人生経験豊富なので、子供のことを何でも分かっている気になりがちですが、よく観察してみると新しい発見があったり、意外なところに解決のポイントがあったりしますよ。
相手のことをより深く知ることでコミュニケーションも取りやすくなります。
また心理学の有名な言葉に、「他人は変えられない、自分は変えられる」というものがあります。このママも子供の欠点を探すのではなく、自分が何かアクションをして現状を変えるために、その情報収集として観察を行なったんですね。そこがとても大事なことだと思います。
■子育ては我慢の連続、しかしその先に良いことがきっとある!
―怒るのではなく、観察して課題を見つけて、「Weルール」を取り決めて継続していく。お話を聞いているとよい結果が期待できそうな気がしてきました。
ただ子供はひと筋縄ではいかないので、ひとつ問題が解決しても少し時間が経つと今度は別の問題が出てきたり、子育てはママ達にとって我慢の連続でもあります。
そうしたママ達に向けて、嶋津さんからのエールをいただけませんか。
嶋津:
確かに我慢が続くとママ達にはしんどい部分もあるかもしれないですね。でも大変なことがあっても、がんばるとその先にきっといいことがある、それが人生だと思います。
子育ては特にそうで、結果が出るのは15年後、20年後ですよね。今は少し遠く感じるかもしれないけれど、いつかは必ず来る未来です。その時に「あー、子供としっかり向き合ってよかった」と思えることを信じて、是非がんばって欲しいなと思います!
嶋津さん、ありがとうございました!
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嶋津 良智(しまづ よしのり)プロフィール
毎日の育児のイラオコで悩む日本中のママたちのために立ち上がったハピオコマスター。その正体は、国内・海外で、講演・企業研修・コンサルティングをおこない、メディアにも多数出演する怒らない技術の大家、嶋津良智。累計90万部のベストセラー『怒らない技術』『子どもが変わる 怒らない子育て』(ともにフォレスト出版)をはじめ、著書多数。多くの方々に、分かりやすく感情のコントロール方法を教え、不要なイラオコから救っている。一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
リーダーズアカデミー 学長
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 理事
早稲田大学講師
内閣官房「暮らしの質」向上検討会委員 第一分科会座長