子育て中のママたちに聞きたい!ジェンダーをどう考えますか?
最近「ジェンダー」という言葉をよく耳にしませんか? ジェンダーには、このような意味があります。
『ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)に対し、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。男女の社会的・文化的役割の違いや男女間の関係性を示します』
ジェンダーと同じような意味で、ジェンダーフリーという言葉もあります。(参考:広辞苑第七版「ジェンダーフリー」)
ママスタコミュニティには、そんな「ジェンダー」を主張する助言に戸惑ったという経験を語るママからの投稿がありました。
『男の子だからおもちゃは新幹線、女の子だから花柄の服を選ぶ。というのは間違ってるの? 「親が無意識に男女を差別してませんか? ダメですよ」って言われたんだけど……』
投稿者さんは「無意識に男女差別をしてはいけない」と指摘され、困惑しているようです。
そうはいっても……ランドセルや制服の現実は
この投稿を受けて「現実には性差を目の当たりにすることがある」と語るママたちがいます。
『ランドセルの資料請求するとき、ほとんどは性別を選択して、その性別用の資料が届くんだよね。男の子用の資料には明るい色のランドセルはなかったし』
『ジェンダーって言ったって、幼稚園や小学校の制服は問答無用で男子と女子にわけられるよね。高校生の制服で女子のズボンが認められた、みたいなニュースもときどき聞くけど、そんなのまだ少ないよね。矛盾してるわ』
多くのママたちが積極的に「性差別」をするつもりはないでしょう。しかし筆者自身にも経験がありますが、息子の幼稚園から始まった制服生活は、こちらの希望を聞かれることはなく「男児用」が渡され、購入したいサイズを記入して提出しました。「男女平等」を掲げておきながら「問答無用」に用意される制服に「矛盾を感じる」という率直なママの声があるのも分かる気がします。
本人の好みを尊重しているママたち
実際に子育て中のママたちはお子さんたちとどう向き合っているのでしょうか。
『うちの子どもは女の子だけど、戦隊モノが大好きですよ』
『妹の子どもが男の子なんだけど、おままごととか人形で遊ぶのが好き。私の子どもは女の子だけど、プラレールやトミカに夢中です(笑)』
幼児期は子ども自身「性差」を感じることが少ないのかもしれません。テレビの戦隊シリーズやトミカが好きな女の子、おままごとや人形が好きな男の子はたしかに存在します。筆者の周りでも、クマやカメのぬいぐるみを肌身離さず大切にしている男の子がいますが、その姿を「変だよ。おかしいよ」と指摘する友達もいませんし、周りの大人たちも「かわいらしいね」程度にしか捉えていません。ただ本人も周りも、男の子がぬいぐるみを大事に抱えていることに違和感を覚えないのは、その子の年齢によるものかもしれません。
『男らしい服を着せてプラレールで遊ばせてきたけれど、息子はすみっコぐらしが好きだし可愛いランチセットを持っていくわ』
男の子らしい服を着せ、おもちゃで遊ばせていても、かわいらしいキャラクターが好きな男の子がいるように、親の気持ちや育て方とは関係なく、お子さんの好みは確立されていくようです。それを象徴するかのような例も聞かれます。
『うち男の子の双子なんだけど、1人は乗り物系が好きで青色を選ぶ。もう1人はすみっコぐらしとかほんわか系のキャラクターが好きでピンクとか赤を選ぶ』
同じ家庭で同じように育てた双子でも好みが違うのですから、これは「性格」の違いとしか言いようがありませんよね。
『息子はトミカとシルバニアファミリーが好きだよ。シルバニアファミリーの家でうさぎちゃんとパトカーと消防車がお茶会してる』
幼児期のお子さんにとっては、トミカもシルバニアファミリーも大好きなおもちゃに変わりはないのでしょう。「男の子用のおもちゃ」「女の子用のおもちゃ」と考えることなく、組み合わせて遊ぶことがあっても不思議ではありません。
親心としては複雑なことも……
わが子の好みや主張を大切にしたいと思いつつも、これで良いのか? と迷う例もあるようです。
『友人が、息子が戦隊ヒーローのレッドが好きで「ランドセルも赤が良い!」と言ったときに「じゃあ赤にしよう!」と即答できずに保留にしたと言っていた。うちの息子は最初から黒を選んだけど、実際に私がそれを言われたらやっぱり赤は買わないよな~、と思う』
『息子は赤が好きだから、リュックも靴もお弁当関連グッズも全部赤色。この先、ランドセルも赤って言われたら悩ましい。6年使う覚悟があるなら反対しないけど。男の子が赤いランドセルを使うことをイジる周りの方が悪い! っていう風潮になるならいいけど』
「男の子に赤のランドセル」を買うことに悩む正直なママたちの声です。それは「赤=女の子の色」というイメージが強いだけでなく、今は好きな色かもしれないけれど6年間、本当にこれで良いの? と心配する気持ちがあるからかもしれません。
ランドセルの色がどんな色であれ「本人が納得して選んだ色」であれば、周りもそれを認めてくれる世の中になってほしい、と願う気持ちに筆者も賛成です。
親としてできるのは?
『娘は5歳くらいから、ピンクや赤より水色や青が好きだった。レース地のものを嫌がったりプリンセス系の衣装にも興味は示さなくなった。ランドセルは青。本心としてはピンクや赤の「女の子!」って感じの姿も見たいけど、絶対に娘に対して「女の子なんだからー」とは言わないようにしてる』
ママとしての気持ちは封印して、お子さんの好きなものを尊重しているママ。絶対に「女の子なんだから」と言わないようにしている、という強い信念も感じますね。
『親が選ぶことは別にダメじゃないと思う。ただ、子どもが男の子でも新幹線じゃなくてお人形がいい! と言っているのに新幹線を押しつけるのがダメなんだと思う。花柄やレースの嫌いな女の子に無理強いすることも同じ』
『嫌がっている子に押し付けることだけが悪だと思う』
お子さん自身にこだわりがなければ、おとなの好みで洋服もおもちゃも買い与えて良いのでは? という意見もありました。ただし、注意したいのはそれが「押し付け」にならないようにすること。「男の子なのだからこれにしなさい」「女の子にはこの色が似合うよ」などといった先入観を与えないことも大事かもしれませんね。
持って生まれた個性を大切に
ママたちのコメントからは「ジェンダー」と大仰なことではなく、あくまでも子どもの好みを尊重したい、という気持ちが伝わってきました。
今回は、おとなが与えることの多い「おもちゃやランドセル、洋服」についての例が出ましたが、言葉がけについても同様のことが言えるかもしれません。たとえば「女の子らしく、よく気がついて優しいわね」と言ったり「男の子らしくてリーダーにぴったりね」という発言。一見褒めているようですが「女の子はリーダーに向かない」「男の子は優しくある必要はない」という考え方に無意識のうちに繋がっていく心配はないでしょうか……。
おとなの発言や行動が子どもたちの個性を潰すことがないように、子ども自身の持って生まれた個性や資質がのびやかに育っていくように、子どもたちと向き合っていきたいものです。
文・すずらん 編集・しらたまよ イラスト・金のヒヨコ