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子ども同士ほめ合うことで自己肯定感を上げる「今日のスーパーハッピー」

pixta_70158690_M「朝礼で子ども同士、ほめ合うことで子どもの自己肯定感は高まります」。こう話すのは、全国17園ある「天才キッズクラブ」保育園の理事長を務め、『天才キッズクラブ式「最高の教育」』の著者でもある、田中孝太郎先生。いったいどんな朝礼を行っているのでしょうか。詳しくお話を伺いました。

「日本の子どもたちの精神的な幸福度」はワースト2位!

「日本の子どもの精神的幸福度は、38カ国中37位」。先日、こんなショッキングなニュースが報道されました。これはユニセフ(国連児童基金)が経済協力開発機構(OECD)または欧州連合(EU)に加盟する38の国々の子どもの状況をランキング化し、調査報告をまとめて公表したものです。日本は、「身体的健康」は1位で「読解力・数学分野の学力、社会的スキル」では、38位中27位でした。しかし、「精神的幸福度」についていえば、38位中37位と、かなり低いと言わざるをえません。

日本の子どもたちの幸福度を上げるためには、どうしたらいいのでしょうか。私は、1つは徹底的にほめることが大事だと考えています。それも、その子個人をほめるだけではなく、みんなの前でもたくさんほめてあげる。こういうと「ほめてあげようと思っても、ほめられることをする子はいつも決まっているし、なにもしていないのに、ある特定の子どもを大勢の子どもの前でほめるのは難しい」。そんなふうに思う人もいるでしょう。

子どものいいところを積極的にほめてみんなの前で発表

実は、特別なことはなにもなくても、大勢の前であるひとりの子をほめる方法があります。「今日のスーパーハッピー」という方法です。「スーパーハッピー」とは、その日一日、‟最高に幸せな子ども“という意味が込められています。

やり方は簡単。毎朝、保育園にきた先生が、各教室のホワイトボードに「今日のスーパーハッピー」の子の名前を書き出しておきます。たとえばこんな感じです。
「おはようございます。今日はサッカーをやる日ですね。今日のスーパーハッピーは、田中あきと君です。いつもあきと君は大きな声であいさつしています。あきと君はアイ組のスーパーハッピーです。とても素敵ですね」と書いてあげます。

子どもたちは、朝登園してくるとホワイトボートに書かれた「今日のスーパーハッピー」が誰なのか。どんなことが書かれているのかを確認します。「ホワイトボードに書いておいて、子どもたちが読めるの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが大丈夫。「天才キッズクラブ」保育園の子どもたちは、普段からカルタ遊びや絵本などで文字に親しんでいるため、カタカナや漢字も読めます。とくに、毎日ホワイトボードに誰の名前が書き出されるかは、子どもたちの一大関心事。興味、関心があることはすぐに覚えるので、文字を覚えるきっかけにもなります。

「人のいいところに自然と目がいく」習慣づけ

朝の会で、先生が「今日のスーパーハッピー」の言葉を読んであげ、あきと君はみんなの前に出てきて挨拶します。先生から名前を呼ばれ、みんなの前で自分のいいところを発表してもらい、さらにまわりの子どもたちもその子のいいところを口々に伝えてくれる。前に出てほめてもらっているあきと君からしたら、最高な気分でしょう。

人をほめるのに理由はいりません。必要なのは「ほめる機会」です。機会さえ作ってあげれば、あとはそれに合わせて子どもの良さをいくつか紹介してあげる。まわりの子どもたちも、それにあわせて友達の良いところを探そうとします。それを繰り返すことで、普段から自然と友達の良さに目が向くようになります。また、ほかの子が発表した友達の良さというところも、いろんな人の意見を聞くことで見えるようになってくるのです。自然と人の良さに目を向けられる子どもは、大人になってからもまわりにたくさんの人が集まってくるでしょう。

夫婦仲の改善にも◎ 家庭でも取り入れたい「スーパーハッピー」

あるお母さんがこんな話をしてくれました。「保育園から帰ってきた息子が、ホワイトボートを用意して、そこに今日のスーパーハッピーは○○ちゃんですと書くのです。さらに、その子のいいところをたくさん言ってあげていたのです。その姿を見て、息子は保育園でたくさんのお友達のいいところを見つけているんだなと思ったら、とても嬉しくなりました」

その話を聞いて、私自身もとても嬉しく感じました。なぜなら保育園でやったことを子ども自身が楽しいと感じてくれたからこそ、自宅でやってくれたのでしょう。この子たちが保育園を卒園し、小学校になっても、まわりの友達のいいところに目を向けて、言葉に出して直接友達に伝えてあげる。そんな文化が広がっていったら嬉しく思います。

この「今日のスーパーハッピー」は、家庭でもぜひ取り入れてみてください。パパやママが、家族一人ずつをほめてあげる。子どもだけじゃなく、パパ、ママ自身もほめる対象にしてください。普段、子育てに追われてお互いに気づけなかったことに目がいくようになり、感謝の気持ちを持てるようになります。それに、子どもからほめられたら、パパもママも嬉しいですよね。毎日が難しかったら、週末ごとにやるのもいいでしょう。

家庭でも「スーパーハッピー」を取り入れるようになると、自然と子どもの自己肯定感があがり、幸福度もあがってきます。家族みんなでたくさんほめあってください。

取材、文・間野由利子 編集・山内ウェンディ

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