息子の誕生日にパパに起きた悲劇……「ソーダ味のアイス」をめぐる7年前の思い出
息子がまだ3歳だった頃のこと。祖父母宅へ行ったときに、おやつにアイスを食べさせてもらいました。それが家ではふだん絶対に買わないような、とてもお値段の高いアイス! あまりにも美味しすぎて記憶に残ったらしく、息子はそれ以来アイスに目覚めました。
祖父母宅で食べたアイスの味がよほど忘れられなかったのでしょう。それ以来、思い出の高級アイスを「また食べたい」と言うようになった息子。しかし私にとっては、大人がたまの自分へのご褒美に買うようなお高いアイスなのです。正直子どもに食べさせるのはもったいない……。
そのため息子には「特別な日にしか買ってあげられないよ」と言い聞かせていました。
そしてまだ残暑厳しい9月のこと、もうすぐ4歳のお誕生日を迎える息子に私はこう聞きました。
「特別な日だもんね」と高級アイスを許可すると、息子は大喜びでした。
誕生日当日、幼稚園の帰りに最寄りのスーパーへアイスを買いに行きました。息子は迷わず「祖父母宅で頂いたお高いアイス」をセレクト。
息子:「ママは何にするの?」
私:「え〜と、ママはこれでいいかな」
息子:「え~! ママも一緒のにしようよ~」
私:「……わかったよ」
私も息子にすすめられ、同じアイスを選びました。ちょっと高いけどたまにはいいよね! 普段頑張ってるし……。
息子は「パパのために」と、ソーダ味のアイスを選んでカゴに入れました。
しかし私と息子はめったに食べないような高級アイス、パパだけお安い普通のアイス……。さすがにちょっと気がとがめます。ただ「パパはこのアイスが一番好き」と言っていたのを息子が聞いていたようです。2人の間でそんな会話が交わされていたのかもしれないな……そう思いながら息子の言うとおりにアイスを買って帰宅しました。
そして家族で息子の誕生日を祝いながらアイスを食べようとしたときのこと……。
パパ:「え!? なんで! なんで俺だけ違うアイスなの?」
私:「え! だって……」
息子:「パパが好きなアイスを、僕がパパのために選んだんだよ! どうぞ召し上がれ!」
パパ:「あ……? ありが……(泣)」
息子にお礼を言いながらも、自分だけ高級アイスが食べられずガックリと落胆している様子のパパ。
あれ? ……やっぱり違った? 苦笑いをして誤魔化すしかできない状況でした……。
そして7年後……。
あれから7年が経ち、息子の小学校の給食にアイスが出ました。それがなんと、あのとき息子がパパのためにと選んだソーダ味のアイス!
息子は給食に出されたソーダ味のアイスがすっかり大好きになったようです。
しかしあのとき「パパはこれでいい」と選んだアイスだということを、息子は忘れてしまっているようです。給食のアイスが美味しかったと嬉しそうに報告する息子に、私だけが7年前のことを思い出しておかしくなり笑ってしまったのでした。