体重が減るだけじゃない!?「月曜断食」は身体をいたわる方法【鍼灸師・関口賢さん】
忙しい日々を過ごしているとママ自身の身体のケアまで気が回らないもの。体調の変化や体形のゆるみが気になる人もいるのではないでしょうか。ただダイエットや運動をしようとおもっても、お金がかかるものや我慢を強いられるものは、続けにくいですよね。
そんな忙しい人たちのためにピッタリな、「月曜断食」という方法があります。1週間に1日だけは水を飲んで過ごし、4日間は胃腸を休める食事をとり、週末には好きなものを食べられる。それが「月曜断食」の大まかなやり方です。鍼灸師であり「月曜断食」の著書がある、「Harriet Ginza(ハリエットギンザ)」総院長・関口賢さんにお話を伺いました。断食という名ですが、目的はダイエットだけではないようですよ。
疲れた身体をリセットするための「月曜断食」とは
――まず月曜断食とは、なんでしょうか? どういったやり方をするのですか?
関口 賢さん(以下、関口さん):月曜断食とは、1週間を基準とし、1週間のうちの1日だけは水を飲んで過ごす食事のサイクルです。
水を飲んで過ごし、胃腸をからっぽの状態にする1日を「不食日(ふしょくび)」といいます。次の日から4日間は、胃腸に負担をかけない食事を1日に3食とります。この4日間を「良食日(りょうしょくび)」といいます。最後の2日間は好きなものを食べられる日、「美食日(びしょくび)」です。
不食日から始まって良食日、美食日で終わる7日間の食事サイクルを繰り返すのが「月曜断食」の大まかなやり方です。
――”断食”と聞くと、きつくて苦しい食事制限というイメージがありますが……。
関口さん:私が考える”断食”はダイエットではありません。”養生すること”なんです。なので「月曜断食」もダイエットではなく、食事を入れず胃腸を休ませるための方法です。
――断食が養生とは、どういう作用があるのですか?
関口さん:私の針灸の師匠は中国の先生でした。中国では暑い季節でも冷たいものをとらないなど胃腸をいたわる文化があります。食べ物をとらず胃腸を休ませることで、食べすぎをリセットできたり傷ついた臓器の修復機能を高めたりすることが期待できるんですね。針灸ももともと内臓に対するアプローチをするもので、針灸を通じて身体の滞っている気や血液や水の流れをスムーズにします。身体の流れをスムーズにした状態で断食することによって、結果的に体重が落ちやすくなるんです。
――「月曜断食」は身体の流れをスムーズにする方法なのですね。
関口さん:そうです。本来は私のところに来て治療を受けていただくのが一番いい方法ではあります。しかし遠方に住んでいる、忙しくて来られないなどの理由がある人もいますよね。来られない人たちでも安心・安全にできる方法として「月曜断食」を考えました。週の初めからがスタートしやすいだろうと考えて「月曜断食」という名前にしましたが、スタート日は何曜日でもいいですよ。
「月曜断食」それぞれの曜日で食べるもの
1.月曜日(初日)―不食日
――「月曜断食」の初日は、水だけを飲む日ですよね。どのくらいの量の水を飲むのでしょうか?
関口さん:不食日となる「月曜断食」の初日には何も食べません。口にできるのは水のみです。量の目安はだいたい1.5リットルから2リットルくらい。こまめにとることを心がけましょう。
――不食日に飲む水は、どういったものを選べばいいですか?
関口さん:水道水でも大丈夫です。個人的な考えになりますが、日本人の身体には軟水が合っているとおもいます。冷蔵庫に入れた冷やした水よりも常温のほうがいいですね。身体に冷えを感じる人は温めて白湯で飲むといいですよ。
――味のついていない、無糖の炭酸水を飲んでもいいでしょうか?
関口さん:炭酸水は胃を膨張させてしまうので「月曜断食」をやっているときは飲まないようにします。胃がふくらんで大きくなると食べ物を入れる余地ができて、お腹が減ってしまうんです。
2.火曜日から金曜日(2日目~5日目)―良食日
――良食日に食べるメニューを教えてください。
関口さん:火曜日から金曜日までの4日間は「良食日」です。胃腸に良い食事を朝昼晩の3食、食べます。
良食日の朝食は無糖のヨーグルトと果物を食べます。ヨーグルトに含まれる善玉菌で腸を活性化すること、果物に含まれる果糖で身体を動かすエネルギーにすることが目的です。食べる果物の量はりんご半分くらいを目安にしてください。
昼食はおかずのみを食べます。炭水化物を抜いた食事を心がけてください。
夕食は野菜スープやサラダ、蒸し野菜などを食べます。アルコールを飲んでもOKです。
――食べる量に制限はありますか?
関口さん:目安にしていただきたいのは、食べる量を自分の「こぶし2つぶんまで」とすることです。それが自分の胃の大きさに対してじゅうぶんな量の食べ物だと私は考えています。
――乳製品にアレルギーがある場合はヨーグルトを食べることができません。代わりに何を食べればいいでしょうか。
関口さん:ヨーグルトを食べることができない人は代わりに発酵食品を食べるようにします。大切なのは空っぽの腸に善玉菌を入れることだからです。だから納豆やお漬物でもいいですね。味噌も発酵食品ですので、お味噌汁を飲んでもいいですよ。
――夕食は野菜が中心のメニューですが、これはなぜですか?
関口さん:野菜は1~2時間で消化されます。夕食に野菜だけを食べることで、夜寝るときには胃をからっぽの状態にすることができるんですね。寝ている間にエネルギーは、身体の機能を維持したり修復したりするために消費されます。だから寝るときに胃が空っぽの状態であれば体重が落ちやすくなるんです。
3.土曜日と日曜日(6~7日目)―美食日
――美食日は好きなものを食べる日ですが、好きなものを好きなだけ食べていいのでしょうか?
関口さん:どんなものを食べてもいいです、と私はお伝えしています。ただし”食べる量はこぶし2つ分”を守ってください。胃を大きくしない食べ方を心がけると、程よい量で満足することができます。量より質を求め、美食日を暴食日にしないようにしてください。
「月曜断食」を続けていくと次第に胃の大きさが変わってきて、量を食べられなくなる人が出てきます。量が食べられなくなると「よりおいしいものを食べよう」と考えるようになるんですね。
――美食日のポイントは「心が満たされる食事をする」ということなのですね。
関口さん:そうです。美食日を迎えたときには、不食日と良食日を経ていることで、「このリズムを崩したくない」と考える人がほとんどです。自分の食事を5日間コントロールできたことを自信にして、次の1週間も続けてください。
「月曜断食」を行うと身体はどう変化する?
――「月曜断食」の目標を達成したとき身体はどのように変化しているのでしょうか?
関口さん:「月曜断食」を終えたあとは、身体の代謝がよくなっているなど体質は変化しています。「月曜断食」を経て変わった体質を受け入れて、自分に適切な食べものがなにか、考えるようにしていってほしいですね。
――美食日があるとはいえ、不食日も含めると週に5日間かなり食事の量を制限することになります。栄養バランスが崩れてしまいませんか?
関口さん:「月曜断食」をしている間だけをみたら一時的に栄養素が不足しているように感じるかもしれません。しかしもともとの食生活が”食べすぎ”の場合は、長期的な視点にたてば問題ないと考えています。
目標体重になったら、「月曜断食」から元の食生活に戻していいの?
――「月曜断食」を続けて、目標体重になったら元の食生活に戻していいのでしょうか?
関口さん:「月曜断食」を実践した皆さんは、これまで自分がどんなに食べすぎであったか驚いた、という話をされることがあります。食べすぎだったから「月曜断食」をすることになったわけですよね。元の食生活に戻すと体重も戻ってしまうでしょう。これはいつも、はっきりお伝えしています。
しかし「月曜断食」に満足してやめるにしても、「月曜断食」の経験を踏まえ、何を食べ、何を食べないのか、判断をしてほしいです。
――不食日に何も食べられないのが我慢できない人もいると思います。食べてしまったときに挽回できる方法はありますか?
関口さん:「月曜断食」を完璧に実行できる人を、私自身も見たことがありません(笑)。時にはお付き合いなどで「月曜断食」で決まっているもの以外のものを食べる日もあるでしょう。食べてしまった自分を否定することはありません。大切なのは、「月曜断食」を1週間実行したときに自分の身体がどうだったか? を考えることです。食べすぎたな、と感じた日の翌日は少しお昼ごはんを減らすなど量をコントロールしてみましょう。
――いつもダイエットが続かないのですが、「月曜断食」を続けるコツはありますか?
関口さん:ダイエットそのものを目的にすると、「月曜断食」は続かないとおもいます。大切なのは、ダイエットしたその先を具体的にイメージすることです。かっこよくなりたい、きれいな服が着たい、女性としての輝きを取り戻したい、旦那さんを見返したい、など何でもいいですよ。
続けたいならSNSを通じて仲間を見つける方法もあります。「#月曜断食」などとハッシュタグをつけてメッセージを送れば同じ状況の仲間が見つかるでしょう。お互いに励ましあえば続けられるのではないでしょうか。
「月曜断食」をやり続けるためにもっとも大切なことは「トライアルアンドエラー」です。決められたやり方どおりにできなかったとしても、自分を「ダメだ」と決めつけないでください。できなかったときは「できなかった。では次はどうすればいいのか」を考えて前を向いてほしいですね。
「月曜断食」をやってみようとおもえたら、そのときが自分の身体を変えるチャンスかもしれませんね。関口さん、ありがとうございました!
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作:関口賢
発行所:文藝春秋
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取材、文・しのむ