体操着はイマドキ中高生にとって”自分の一部”?ママ世代にはブルマの思い出が
中学校・高校に入学すると、学生服を着用する学校は少なくないでしょう。それに次いで……いや、それと同じくらい……いやいや、ともすると学生服以上に着用する子もいそうなのが”体操着”ではないでしょうか。ママたちの時代では、どことなく”カッコ悪いもの”というイメージもあった気がする体操着。ただイマドキの中高生の体操着を見ていると、ずいぶん印象が変わった気がしませんか?
学校の制服や体操着を中心とする衣料品の製造販売を行っている「株式会社トンボ」が先日発表した「体操着に関する意識」調査によって、体操着に関するママ世代、子ども世代の意識の違いが浮き彫りになりました。
体操着を愛する中高生v.s.イヤな思い出を持つママ世代
現役中高生と、その母親1,000名ずつに尋ねたアンケートです。
まず聞いたのが現在着用している(当時着用していた)体操着についての、満足度(単一回答)。
一目瞭然、子ども世代は「満足している(21.5%)」「どちらかといえば満足している(52.0%)」の合計が7割超の一方、ママ世代は「満足していなかった(37.4%)」「どちらかといえば満足していなかった(30.1%)」の合計が7割近くと真逆の結果になっています。
その理由が、こちらです(複数回答)。
子ども世代で7割以上となった”満足”の理由、第2位以下に圧倒的な差をつけてトップとなったのが「速乾性(271票)」でした。次いで「デザインがよい(172票)」、「肌触りがよい(149票)」と続きます。
「速乾性」については、体操着の乾きのはやさに驚いているママもいるのではないでしょうか? 夕方遅くに帰宅した子どもから「これ、明日も着るから洗濯して」と渡された体操着を、「今日は雨降りだし、絶対に乾くわけがない」と思いながらも洗濯すると……。翌朝には、見事に乾いている! という経験をしたママは少なくないでしょう。体操着の進化を実感する瞬間ですね。
一方ママ世代で7割近い”不満だった”理由、こちらはさらに次点に圧倒的な差をつけ「デザインがよくなかった(624票)」となりました。具体的な理由として「色がイヤだった」「ダサかった」などの声があった他、とくに目立ったのが「ブルマがイヤだった」という声。「ブルマが恥ずかしかった」「ブルマで下着がはみ出しやすかった」などのコメントがあったそうです。
自宅でも登校時も学校でも、24時間ずーっと体操着!?
さて体操着といえば、体育の授業で着用するのが本来の役割ではあるのでしょうが、体育の授業以外でも着ることがあるようです。次に尋ねたのが「体育の授業以外で着るシチュエーションは?」という質問(複数回答)。
体操着で行くシチュエーションの件数、子ども世代はママ世代の倍以上となりました。その内訳は「習いごとに行く(52件)」、「コンビニやスーパーに行く(49件)」、「飲食店に行く(13件)」がトップ3。「その他」のなかには「部屋着・ルームウエアで着ている(12件)」、「制服の下に着る(5件)」などがあり、「夜寝るときに着て、そのまま学校に行く」というツワモノもいました。
さらに体操着に関する思い出や、エピソードも聞いています。
【子ども世代】
「運動会で転んでヒザの部分が破れているが、そのままに思い出として残している。リレーで転んだおかげで逆にクラスの一体感や協力体制が強くなり、仲よしになるきっかけになった」
「後輩に譲ったらとても喜んでくれて、後輩が自分の友達に「今日は○○先輩の体操着」と自慢していると聞いた」
「卒業するまでずーっと部屋着にもしていたので、とても愛着がある。授業も部活も家でもフル活用していた」
「体操着を自分の一部のように感じている」というコメントもありました。最近の中高生がいかに体操着に愛着を持っているかがよくわかりますね。
【ママ世代】
「中学生のときの体操服には大きく名前が貼ってあったので、体操服のおかげで気になる先輩の名前を知ることができた」
「女子の体操着はブルマだったので、身体のラインがわかりやすく太ももが太かった自分は非常に恥ずかしかった」
「恥ずかしい年ごろなのにブルマをはかされて、男子と一緒の体育の授業があったりした。本当に最悪。ジャージの色も男子は青、女子はエンジ色と性別で分かれていて、色がダサかった」
やはり「とにかくブルマがイヤだった」という思い出が多くありました。
「卒業してから、自分の体操服を親が着ていたことに度肝を抜かれた。今は自分も人の親になり、同じことをしているのに笑ってしまう」
大人になってもまた、体操着を着られる日が戻ってくるのかもしれません……。
評判があまり良くなかったブルマから、ハーフパンツへ。体操着の変遷は?
ママ世代から現在まで、飛躍的にイメージをアップさせた体操着の移り変わりを見てみると、デザイン性や機能性がどんどん進化していることがわかります。
ママ世代はブルマを筆頭に、色やデザインなどに男女差がありましたよね。しかし教育現場での男女差をなくそうという社会的な意識変化があり、1992年ごろにブルマからハーフパンツ(クォーターパンツ)へと移行。ブルマを着用する機会のなかった今の子どもたちは、その存在さえ知らないかもしれません。
機能面でいえば「厚手」「重い」綿100%素材から、時代とともにポリエステルの混紡割合が増加。最近ではポリエステル100%でストレッチ性が高く、「軽量」「吸汗」「速乾」にすぐれた体操着が増えているそうです。イマドキの子どもたちの体操着に対する満足度の高さ、着用シーンの多さは体操着の機能性の高さや着心地の良さにも理由がありそうです。
調査方法:インターネット
調査時期:2020年1月13日(月)~17日(金)
調査対象者:現役中高生の子どもとその母親各1,000名(合計2,000名)
文・鈴木麻子 編集・しのむ