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【繁田和貴さん第4回】「開成番長」中学受験、開成、東大を経て知った子どもの教育の大切さ

塾シル4
「子どもの頃から成績優秀だったけど、目標だった東大に合格してから勉強する意味を見失ってしまった」と話すのは、個別指導塾「TESTEA」塾長の繁田和貴さん。子どもにとって本当に必要な学習とはなにかということについて、子どもの塾選びをサポートする「塾シル」代表の古岡秀士さんとの対談を通して考えます。
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ブロックと国旗遊びに夢中だった幼少期

古岡秀士さん(以下、古岡):繁田さんは、子どもの頃から勉強は好きだったんですか?

繁田和貴さん(以下、繁田):勉強は好きでも嫌いでもなかったんですが、得意ではありました。テストの成績がいいとみんなに注目してもらえるし、すごいと褒められるんですよね。目立つのが快感で、それで頑張ったという感じです。友達と遊ぶのを我慢して勉強したときもあるし、ファミコンに夢中になって遊ぶときもあった。そんな子ども時代でした。

もっと幼い頃は、ブロック遊びや国旗あてクイズなどをしていましたね。今思えば、ブロックで遊んだことで空間認識力が高まり、国旗遊びは色や形に対する感覚を育ててくれたと思います。

古岡:お母さんはどんな方でしたか?

繁田:母親は専業主婦でした。教育ママというタイプではあまりないけど、心配性でしたね。いつも僕のことを見守ってくれていたという印象です。僕と一緒に勉強もしてくれていましたね。たとえば「キャベツの生産高1位の県はどこ?」というようなクイズ形式で母が問題を出し、僕がそれに答えるという感じです。母との勉強はとても楽しかったですね。今思うと母が伴走してくれていると感じられてやる気が出たんだと思います。

中学受験のために通う塾、我が子にあった選び方は?

古岡:塾の勉強は大変でしたか?

最初はTAP(タップ)という学習塾に通っていたのですが、SAPIX(サピックス)が開校したのをきっかけに移籍しました。TAPでは上から2番目のクラスにいたんですが、SAPIXに移籍するときのテストでたまたま1位になれて、そこから先生に目をかけてもらえるようになったのはラッキーでした。最終的には開成・筑駒・慶應中等部・灘、すべてに合格することができました。

古岡:中学受験で塾に入る場合は、何年生から入るのがいいと思いますか?

繁田:よく聞かれる質問です。ベストは3年生と答えています。中学受験をする場合、一般的に4年生から本格的な受験に向けたカリキュラムが始まりますが、3年生から塾に入ることで、塾に慣れたり弱点を補ったりするための1年間の準備期間を設けることができ、安心して通いやすくなるからです。

個別指導と集団指導、どっちがいいか迷ったら?

古岡:子どもを塾に入れるとき、個別指導と集団指導、どっちがいいか迷う親御さんもいると思います。

繁田:もし子どもが集団塾の中でうまくやっていけるのなら集団塾をおすすめします。受験までのカリキュラムがしっかりしていますし、周りの友達と競い合ってワーワー言いながら学ぶのは多くの小学生にとって非常に楽しく、刺激的な体験だからです。

一方で集団塾の雰囲気が合わない、または授業に遅れてしまった場合は、個別指導がおすすめです。きちんとした受験指導ができる個別指導塾なら、そのタイプの子は集団塾よりはるかに効率的に成績を伸ばせるはずです。

たまに親御さんで、コロコロと塾を変えたり、たくさん家庭教師をつけたり、成績が伸びないとすぐに先生を変えたがる人がいますが、これはおすすめできません。自分自身を反省するのではなく、環境のせい、他者のせいにばかりする他責思考が子どもに植え付けられてしまうことになります。
子どもにとって先生はメンターでもあります。中長期的なかかわりの中で信頼関係を育む経験をすることも、子どもの教育にとってまた大切なことだと思います。

校内賭博で退学の危機!?開成、東大と進みながらも紆余曲折した学生時代

古岡:今では教育者として活躍されている繁田さんも、昔はヤンチャな時代があったとか。

繁田:僕は、開成中学、高校、東大と行きましたが、実は道のりはスムーズとは言いがたいです。こんなことを言ったらお母さんたちに引かれるかもしれませんが、実は僕は開成中学時代に同級生との賭け事が学校にバレて退学寸前までいったことがあります。それに懲りずに高校時代は麻雀にハマり、大学に入る前に1年浪人して、東大に入ってからは今度はスロットにハマり、スロットではかなりの金額を稼ぎました(笑)。ギャンブルでプロになろうかと本気で悩んだほどです。そんな生活だったので、まともに大学には通わず、卒業するまでに7年もかかってしまいました。

古岡:繁田さんは、中学受験を成功に導く熱き番長「開成番長」の異名を持っていますよね。

繁田:実は開成時代には「開成番長」と言われていたわけじゃないんです。あれは1冊目の本を出すときに編集者がつけたキャッチコピーみたいなもので。ただ、先ほどもお話ししたように番長のような振る舞いはしてました(笑)。遊んでばかりだったので、テストはいつも一夜漬け。それでも成績は学年トップだったこともあるんですよ(笑)。

「テストで一夜漬け」で開成トップになれたのは、授業をきちんときいていたから

古岡:テスト前に一夜漬けして覚えようとする子もたくさんいますが、それで開成トップになることは難しいですよね。なぜ繁田さんはできたんですか?

繁田:一番のカギだったと思うのは、授業で習ったことをその場できちんと理解するのを習慣にしたことです。自分の中で納得がいかなければその場で質問をして解決していました。それさえクリアできたら、あとは試験1週間前までやらない。とはいえ1週間前からはがむしゃらにやりましたけどね。一度きちんと理解しているおかげで、試験勉強の効率はよかったです。チェックペン(下敷きで消えるペン)を活用し、大事な用語は全部言えるようになるまで繰り返しました。
このときの勉強法が、TESTEAで生徒を指導する際にも活かされています。

古岡:大学卒業後は、なぜ塾の道を選ばれたのでしょうか?

繁田:実は僕が大学に入って初めてやったアルバイトは、古巣SAPIXでの塾講師だったんです。4年間お世話になり、教育の楽しさを味わわせていただきました。ただ、それを辞め、スロットにどっぷりハマり、気づいたら大学に7年間いました。かろうじて卒業できそうだとなったとき、ふと冷静になり、このままこの生活を続けていたらさすがに親が泣くなと思ったんです。母親は子どもの頃から僕にすごく手をかけてくれていたのに、なんだこのザマは、これじゃとんでもない親不孝だろ、と。そのとき「自分の反省を活かしてできることは何だろう」と考えたら、自分で塾をやることだと思ったんですよね。僕は順調に好成績をとった経験も、落ちこぼれた経験も、そこから這い上がった経験もある。SAPIXでの塾講師で、勉強が苦手な子の気持ちもわかるようになった。そして大学に入って目標を見失った自分を大いに反省している。そんな自分の反省を生かして、「受験勉強で終わらない、一生モノの人間力」を持つ子どもを育てる塾をやりたいと思ったんです。やり方さえ間違えなければ勉強ができるようになるのは当たり前、でも一般的な塾とは違い、僕らはさらにその先を目指そうと決意しました。

古岡:塾という仕事を選んだ繁田さんが、勉強に大切だと感じることはなんでしょうか?

繁田:勉強のやり方はもちろん大切ですが、こと小学生について言えば、それ以上にママとの親子関係が大切です。先ほどもお話ししたように、母は僕に寄り添って一緒に勉強をしてくれていました。母は僕にとってメンターのような存在だったのです。

もし塾に通っていてもなかなか伸びないと思ったら、まずは親子の関係を見直してみてください。子どもへの期待と愛情の裏返しでついつい色々言ってしまいがちですが、子どもは少しずつでも着実に伸びていくものです。小さなことでも子どもの成長を見つけて、ひとつずつ褒めてあげる。これがすごく大事です。子どもにとっての一番のメンターは母親です。それをしっかりと認識したうえで子どもにかかわってあげれば、子どもは本来持っている力を発揮して必ず伸びるのです。

取材、文・間野由利子 編集・北川麻耶

参考サイト:失敗しない塾選び「塾シル」

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