【後編】実母の保険金で明かされた”夫の本性”。私の出した答えは……?
のん気な夫と病弱な子どもを抱えながら奔走する日々。それでも私はくじけることなく我慢して昼も夜も働き続けました。いつか時が良い方向へ解決をしてくれることを信じて。
しかし私のそんな思いは報われず……
母は女手ひとつで私を育て、最後まで働きづめで苦労をした人でした。そんな母だったからこそ、私はいつか自分がマイホームを持てたら迎え入れて一緒に暮したいと思っていたのに……。その願いを叶えられないうちに母が帰らぬ人となりとてもショックでした。
私は行き場を失ったお金を前に呆然としていました。
けれど夫は違ったのです……。
母が遺してくれたお金は子どもたちの将来のために貯金しておくことを選びました。そしてこの一件で私はひとつの決意を固めました。
病弱だった子どもたちも大きくなり体も丈夫になってきて、以前ほど手がかからなくなったので、かけもちの仕事ではなく資格を活かして働ける仕事に就きました。収入が安定しやっと生活が落ち着いたと感じるようになっていました。貯金ができて近場だけれど家族で旅行にも行けるようになって子どもたちと楽しい思い出を作る余裕もできました。
元夫からすれば、収入を上げてもらいいつかはマイホームも……というのは、きっと私のひとりよがりだったのでしょう。夢や価値観が違ったとしても、家族のために向上心が見えていたならばもう少し頑張れていたのかもしれませんが……私が就職してからも元夫は何も変わることはありませんでした。かえって、私との収入差に卑屈になって酒量が増えてしまう始末……。
離婚を選んで子どもたちには申し訳ないし、ひとり親で苦労することはあります。けれどつい期待してしまい結局裏切られる相手がいなくなって、自分の力で子どもたちと幸せに向かって進んでいける今をとても清々しく感じています。子どものためにも胸を張って前を向いて生きていきたいです。天国から見守ってくれているはずの母のためにも……。
脚本・たかおぎ なる 作画・Ponko