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「母親の分際で仕事があるだけありがたく思えよ」上司のパワハラを契機に考えた、ママと育児とキャリアアップと


「母親の分際で、仕事があるだけありがたく思えよ!」

これはかつて、私が勤めていた職場で上司が私に直接放ったセリフです。世の中ではママである女性の働き方に光があたり始め、企業によってはさまざまな制度改革が行われ始めていたころの話です。

私が勤めていたこの会社もかなりの規模でしたが、残念ながら制度改革はほとんど進んでいませんでした。そのときの上司との会話のテーマは「もう少し残業できないだろうか」。なんと時短制度もありませんでしたので、時差出勤をして定時より早く帰宅するというワークスタイルを許可してもらっていて、つまりはフルタイム勤務をしていました。くわえて繁忙期には終電近くまで残業することもありました。

「子どもが何年生になったら深夜まで残業できるようになる?」時代に逆行する働き方改革?

当時、私が所属していた部署には、ママがいなかったのです。

働き方改革と叫ばれる時代にもかかわらず、皆、深夜まで残業が当たり前という、びっくりするような環境でした。そんななかで、働き方が周囲と違う私は目立ったようです。しかし同僚たちが私の働き方に対して何か不平を言っていたわけではありませんでした。単にその上司が、「なんか君だけを特別扱いしているみたいに見られる気がして、皆の怒りを買いそうで不安」というのが理由でした。「だから母親でも仕事がもらえることに感謝してさ、もっと働いてくれないか、周りに合わせてくれよ」と言われました。部署を率いるお立場でそんな発言をしてしまうような上司でしたから、「母親の分際で、仕事があるだけありがたく思えよ!」を口にしたというのが真実であると信じていただけるのではないでしょうか。たしか、私が以前ママとしての働き方について相談した際には、「率先して定時にきちんと帰ることで社内の手本となってくれ。残業を減らしたいんだ」と役員の方々にまでお願いされたはずなのですが。あれはいったいなんだったのか……。

夕方に外回りに出れば「今どこにいるんだ? まさか帰っていないよな?」、残業のある日に途中、忙しくて食べられずにいた昼食を夜に食べようとすれば、「皆より先に帰るなら言っていけよ(いや、会議室でお弁当中ですよ)」、休日には「子どもが小学校何年生になったら深夜まで残業できるようになる?」などなどLINEで監視され、追いかけられ、ずいぶんとしんどい目に合いました。

今はもう私の中では笑い話にしています、と書いておくしかありません。

結局、働きやすい制度を使えるかどうかは会社、人、現場の問題

しかしながら問題は、政治家がどれだけ叫ぼうが、会社が制度を整えようが、やっぱり「事件は現場で起きているんだ!」ということなんです。業務ごと、部署ごと、フロアごと、会社ごと、そしてそれぞれのデスクに着いている社員ごと感じ方も考え方も異なって当然なので、誰もが快く、「働くママ、ウエルカム!」とはなりづらいですよね。大ごとにならない範囲内で、拒否反応を示す方もいらっしゃるかもしれません。

しかしそれは仕方がないことだなぁとも思うのです。ママじゃない人にだってその人なりの事情があってしかるべきで、互いに100%理解し合い、支え合うというのはそう簡単ではないことでしょう。

私が、仕方ないことだよなぁと諦めの境地に至るのには、もうひとつ理由があります。それは現場=何より私(ママ)自身の問題です。

ママ本人にもキャリアアップと育児を両立できる自信がない

別の会社に勤めていた時に、昇進の内示をお断りしたことがあります。そのポジションとプロジェクトを担当することを受け入れてしまったら、間違いなく家事と育児を諦めなくてはならないような大きな役目でした。子どもがいなければむろん仕事にまい進したでしょう。でもできなかった。少なからず社運もかかったプロジェクトでした。魅力的でした。でも、私にはキャパシティがない、気力も体力も追いつかないだろうとすぐに悟りました。

つまり、自信がなかったんです。何よりも、家事と育児をほかの誰かの力を借りてこなす、長男(当時幼稚園生)がほぼママと顔を合わせられない日々を過ごすという道を選ぶ勇気がどうしても持てなかったんです。

今、後悔の念はありませんが、仕事と育児を両立して活躍している女性を見ると、時折「あの頃の私は弱く、職業人として能力がなかったんじゃないか」と頭をよぎるのです。
仕事と育児というより、「キャリアアップと育児の両立」の問題というほうが正しいかもしれません。ママたち自身につきつけられ、自分でしか答えを出せない要素が絡む場合があるからです。ママ本人の性格や体調、家庭環境、サポートの有無、そして子どもの性格や学年、取り巻く環境……、それらによっては残念ながら諦めざるを得ないこともあるのではないでしょうか。

私自身の自信のなさから、「母親の分際で……」と言いたくなる上司の気持ちも理解するべきなのかもしれないなぁという思いが横切ってしまうのです。

親が子どもと並走できるのはごく限られた貴重な時間

キャリアアップを断念したことに後悔はないけれども、「はぁ……」とため息をつきたくなる瞬間は時折やってきます。そんな時にいつも思い出しては私の背中を押してくれる先輩ママ友、パパ友、ふたりの言葉を紹介します。
「子どもと一緒に走れるときは、そうないから。うちは、もう子どもが中学生、高校生になって親の出番は終わっちゃったよ」
「たとえば子どもがスポーツをやっていると親は大変だよね。うちもスポーツ一家だったからよくわかるよ。でもそれ以上の宝物をたくさんたくさん貰えるよね。遠征でいろんなところにも連れて行ってもらったし。子どものスポーツを共に応援し合った親同士、共有できた時間も一生の宝物だよ。暑い日、寒い日、勝った、負けた、怪我をした……。そして大量の洗濯物! でも子どもを応援する親の思いは皆、一緒だよ!」

分かれ道を前に仕事か育児かどちらか一方の道を選択することを迫られた経験のあるママはきっと少なくないことでしょう。でももしかしたら歩むことすらなかったかもしれない今、目の前にあるこの道を進むことができているのは、我が子のおかげではないでしょうか。また別の人生を生かしてもらえているということ。それって幸せなことですよね!

多様な人材が集まる社会や企業で、それぞれがそれぞれに合う働き方を同時に実現させ、それでいて利益を生むというスタイルが完全に確立するまでには、まだ時間がかかることでしょう。だから今はママ自身が自らその都度、最良と思われる道を選択するしかありません。でも選んだ道の先には見たことのない景色が広がっていると信じて、世のママ、皆で共に歩んでいきましょう!

文・blackcat 編集・しらたまよ イラスト・nakamon

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