いつでも、どこでも、ママに寄り添う情報を

ママもパパも子育てよりもスマホに夢中!?将来の親子関係に与える影響は?【衆議院議員・下村博文】

スマホに夢中
「奥さんが一生懸命話しかけているのに、旦那さんはスマホやテレビを見て生返事。そんな状態だったら嫌だと思いませんか? もしかするとママ自身もスマホ片手に育児をしているかもしれません。「スマホ育児の弊害で、親子の愛着不足が起きているのではないかと心配しています」と話すのは、元文部科学大臣と、教育再生担当大臣を兼任した下村博文先生。特別養護施設や少年院の視察を通して感じたことや、幼い頃の親子関係の希薄さが子どもたちの心に与える影響について伺いました。

prf_shimomura

親の育児放棄やDVで児童養護施設に預けられる子どもたち

現在、特別養護施設に全国12万人をこえる子どもがあずけられています。以前は親がいない子どもがあずけられていたけど、今は親の育児放棄と親からのDVで預けられる子がたくさんいます。親子の愛着がなくなったら、情愛関係が生まれない。

以前、少年院に視察にいき、担当者や入所している子どもたちと話したことがあります。そこに入所している子どもたちの多くが、家庭が崩壊していました。子どもたちが話していたことは、「もし、自分が問題行動をしたとき、親が注意をしてくれたら、非行に走らなかった」ということです。さらに彼らは「今、自分には帰る家がない。親は自分のことを犯罪者として避けている」ということも、話してくれました。

「両親は自分よりもスマホが大切」。子どもが感じる親の関心の薄さ

私が懸念しているのは、スマホ育児の弊害で愛着不足が起きているのではないかということです。世の中は便利になったけど、親がスマホに関心を取られる時間が多くなってしまっているのではないかと思うのです。
子どもを育てている親からしたら「ちゃんと愛情をもって接しています」と思うかもしれませんが、子どもから見たら「いつもママやパパはスマホばかり見ていて、全然話を聞いてくれない」と思っているかもしれません。

いくらお父さんやお母さんが高学歴で、子どもにいい教育環境を与えたとしても、幼児期の人間関係が希薄だと、その後の人格形成に影響を及ぼすことがあります。幼いうちから習い事などをさせることも大切かもしれませんが、一番大切にしたいところは、親子の会話、コミュニケーションじゃないでしょうか。

スマホばかり見ているパパに伝えたいママの気持ち

ある働く女性が、スマホを見ながら育児をする旦那さんについて、こんなことを言っていました。
「うちは夫婦共働きだから、夫にもできるだけ子育てを積極的にやってほしいって伝えているんですよ。でも、夫は子育てに対して知識が乏しいからか、子どもと一緒にいてもすぐにスマホばかりみているんですよね」と。

母親であるその女性がいうには、「それは子育てとは言わない」というんですよ。彼女からすると「子どもといることが子育てじゃない。夫の関心はスマホでしょ? ただ一緒にいるだけでは愛情は育まれないと思うんです」と話していましたが、まさにその通りだと思います。

授乳中のスマホいじり、赤ちゃんはどう感じているの?

なぜ彼女がそう感じたのかといえば、彼女も助産師さんからそう言われたからです。たとえば、お母さんが授乳中にスマホをみているとき、赤ちゃんであっても母親が自分に興味を持っていないことがわかるのです。赤ちゃんからすると「あ、お母さんは今自分のことに意識を向けていないな」ということがわかるんですよ。
夫婦の会話でもそういうことはあるでしょう。たとえば妻が話しかけているのに、夫はスマホやテレビを見て生返事。そんな態度を取られたら妻としては愛情が減っていくこともありますよね(笑)。子どもからしたら、それと同じです。

親子関係の希薄が人間関係の希薄さにつながる

両親は「子どものことを大切にしたい」と思うのであれば、目の前のスマホに夢中になって、子どもとの絆を弱める前に、このことに早く気づき改善することが必要です。お父さんもお母さんも、ちょっとスマホは脇に置いて、子どもの目を見て話を聞いてあげてください。今よりもずっと家族間の会話が増えるはずです。それによってより良い親子関係、夫婦関係が築けるようになるのです。

取材、文・間野由利子 編集・山内ウェンディ

関連記事

「すごく寂しかった……」。懸命に働く「母のうしろ姿」を見て感じたことは 【衆議院議員・下村博文】
「9歳の時に父親を事故で亡くし、母子家庭で育ちました。母は朝、畑と田んぼの仕事をして、昼間パートに行き、帰ってきたら、また畑と田んぼの仕事をするという毎日。私はいつも母の働く姿しか見たことがなかっ...
74%の高校生が「自分はダメな人間」と思っている!母親の「満点主義」が子どもの自己肯定感を下げる理由【衆議院議員・下村博文】
「国語の成績はよかったけど、英語と算数のテストの成績がいまいちね。次は、英語と算数をもっとがんばりなさい」。ついつい子どもにいってしまいがちなこの言葉。実は子どもの自己肯定感を下げることにつながる...
現在の教育制度は明治時代から変わっていない!?2020年「新学習指導要領」の真実とは【衆議院議員・下村博文】
2020年の教育改革で、小学校に外国語活動として英語教育が本格導入されたり、道徳が教科になったりと、これまでの教育と大きく変わります。ところで、なぜ教育改革を実施する必要があるのでしょうか? 長年...