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ベビースイミングは喘息に良いって本当?10万人の親子を追跡調査したエコチル調査でわかったこと

pixta_46358924_M (1)「スイミングは喘息にいい」「3歳まではママが育てた方が子どもの成長にいい」。ママたちの間で「○○は子どもにいいらしいよ」といわれている情報は、どこまで正しいのでしょうか。2019年1月19日(土)、日本科学未来館にて開催された「第8回エコチル調査シンポジウム」にて、小児科医で、NHK「すくすく子育て」のコメンテーターとしておなじみの榊原洋一(さかきはらよういち)さん、エコチル調査メディカルサポートセンター長の大矢幸弘(おおやゆきひろ)さんが登壇し、科学的なデータをもとに解説してくれました。イベント後半では、お笑いタレントのくわばたりえさんなども登壇し、パネルディスカッションを行いました。当日の様子をレポートします。

10万人の親子を13年間追跡調査。環境省主導の「エコチル調査」

エコチル調査って知っていますか? エコチル調査とは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときから13歳になるまで健康状態を定期的に調べて、食べ物や生活習慣、環境などが子どもたちの成長や発展にどのような影響を与えるかを明らかにする調査です。全国15地域、10万組の親子を対象に調査を行い、そのうち5000人を家庭訪問し、血液検査などでより詳しい検査を実施しています。
環境省主導で「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を2010年度より実施していて、今年で9年目。調査に参加した子どもたちもこの春小学校2年生になり、より多くのデータが集まっています。これまでの調査でわかったこととは?

妊娠期の喫煙習慣、アトピーやアレルギー体質は胎児にどれくらい関係ある?

まず初めに登壇したのは、エコチル調査メディカルサポートセンター長の大矢幸弘さん。妊娠期についてお話しされました。
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「妊娠中にたばこを吸うと出生体重が約100gほど少なくなる傾向があるものの、妊娠初期に禁煙すれば胎児への影響はかなり回避できます。また、従来の報告と同様に、高齢出産や肥満の場合は、妊娠糖尿病にかかる傾向にあります。
母親がアトピーだった場合、SGA(赤ちゃんが妊娠期間の割に小さく生まれること)は11%増加します。アトピー同様に心配になるのがアレルギー遺伝について。こちらは重度の場合などは調査してないため、母親のアレルギーが子どもに影響を与える可能性はあるという程度のことがわかっているものの、どれくらいの影響があるかということについてはこれからの調査に期待したいです」(大矢幸弘さん)

アトピーやアレルギーなど、体質遺伝について気になるママも多いと思いますが、まだわからないこともいっぱい。これからの調査で詳しくわかることが増えてきそうです。

欧米では「ベビースイミングは喘息のリスクになる」の報告も

ママたちの間でよく言われるのが「子どもが喘息だった場合、ベビースイミングを習わせるといい」という話。これについて大矢さんは「欧米では逆に、喘息の子にとってベビースイミングはリスクになる」と語りました。

「実は、日本ではスイミングは喘息にいいといわれているものの、欧米の研究では逆に喘息のリスクになるという論文が多く発表されています。日本では、スイミングに行き始める時期と、体が成長し気道が広がったことで喘息が治る時期が同じということもあります。そのため必ずしもスイミングをしたから喘息が治ったとは言い切れません。
欧米の研究では、スイミングは喘息のリスクとなるとする論文が多いものの、そもそもの調査人数が100人程度と数が非常に少ないのが現状です。エコチル調査では10万人を対象とするため、信ぴょう性が高い結果が出るのではないかと期待しています」(大矢さん)

よく「うちの子は喘息があったけど、水泳を始めたら治った」という話もよく聞くので、びっくりしたママも多いのでは?

子どもの発達に大切なことは誰が面倒をみるかよりも……

「子どもは3歳になるまで保育園などに預けず、母親が面倒みたほうがいい」という三歳児神話。これについて耳にしたママも多いでしょうが、これって本当?小児科医の榊原洋一先生は「母親が面倒をみるか保育士が面倒をみるかということにおいては、それほど大きな差はありません。大切なことは、子どもが出しているサインに対する親や保育士さんの感受性、子どもに対して気づけるかということ。保育者の気づきが豊かだと、子どもはよく育つということがわかってきました」とお話ししました。

「○○は育児にいいらしい」は、今後のエコチル調査で明らかになるかも

イベント後半では、パネルディスカッションとして、小児科医の榊原洋一さん、お笑いタレントで3児のママでもあるくわばたりえさん、エコチル調査メディカルサポートセンター長の大矢幸弘さん、エコチル調査甲信ユニットセンター長である山縣然太朗さんが参加。「母乳とミルクの栄養に差はあるか」「妊娠期の魚の摂取量は胎児に影響を与えるか」などについて、それぞれの立場から意見交換を行いました。
まだまだママたちの間でまことしやかにささやかれている「○○は子どもににいいらしい」という育児ノウハウ。エコチル調査を通して、これから科学的に解明できる部分も増えてきそうです。

取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ

詳しい調査結果を知りたい場合は、環境省エコチル調査のホームページで紹介されているので、覗いてみてください。

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