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「妊娠に気づかず薬を飲んじゃった!」「花粉症がひどいけど我慢するべき?」産婦人科医に聞く、妊娠中の薬の影響とは


妊娠中は薬を飲むことに慎重になりますが、そうは言っても風邪を引いたりアレルギー症状がひどくなったりすることもありますよね。ただでさえさまざまなトラブルに悩まされるマタニティー期間はなるべく快適に過ごしたいもの。薬と上手に付き合う方法をしっかりと把握しておきたいですね。
そこで産婦人科医の重見大介先生に、妊娠期間中のさまざまな薬の飲み方について詳しく伺いました。
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薬の影響が最も出やすいのは妊娠初期の器官形成期

――妊娠に気がつかず風邪薬などの薬を飲んでしまった場合、赤ちゃんに影響はありますか?

妊娠したかなと思うのは妊娠4、5週が多いですよね。その前は妊娠に気がつかないことも多く、普段通り市販薬などを飲んでしまったということもあるかもしれません。その場合は、何かあるとしたらダメージが起きて流産につながるか、問題がなく大きくなるかのどちらかと言われています。すぐに薬の影響は出るので、妊娠が継続しているのなら赤ちゃんへの影響はないと考えられます。

その後妊娠4〜15週ぐらいまでの、赤ちゃんの器官形成期と言われる時期は、薬の影響が最も出やすいと言われています。特に妊娠4〜7週が最も過敏だとされていますので、その時期はどんな薬でも気をつけてください。本当にその薬を今飲まなくてはいけないのか、慎重に考えた方がいいと思います。

――安定期に入れば薬の影響は減るということでしょうか?

14、15週からは安定期と言われ、それ以降は薬の影響は妊娠初期よりは問題ありませんが、妊娠後期に影響のある薬もあるため注意が必要です。例えば解熱鎮痛薬がそれにあたります。妊娠後期になるほど薬の影響が減るわけではないのです。

花粉症や偏頭痛などの症状が辛い……妊娠中に飲んでもいい成分とは

――妊娠中に花粉症がひどい場合は薬を飲み続けていいのでしょうか?

花粉症の症状を抑えるものは抗ヒスタミン薬かステロイドなどが多いですが、これらは妊娠中に絶対やめた方がいいという薬ではなく、使っても問題ないという薬です。ただ、花粉症は目や鼻の症状が多いので、妊娠中は目薬か点鼻薬にした方が薬の成分が血液中に入りにくく赤ちゃんへの影響は少ないと言えます。一旦飲み薬をやめて過ごせるかを試してみましょう。

妊娠初期なら飲み薬はやめて点鼻薬や点眼で様子を見て、どうしても辛い場合は安定期に入ったら飲み薬に頼るなど、妊娠週数によって対応も異なります。花粉症の場合は薬以外の対応もできるので、それを最大限行った上で薬を飲むことを考えていただきたいと思います。

――偏頭痛がある場合は痛み止めを飲んでもいいのでしょうか?

痛み止めは薬の中では注意が必要です。短期間の使用なら使っていいのですが、その場合は「アセトアミノフェン」という成分のものが最も安全性が高いでしょう。「カロナール」などに含まれているものです。

薬局で買うことができる「ロキソニン」や「ボルタレン」、「イブプロフェン」などの非ステロイド性抗炎症薬は効果が高いのですが、妊娠中はリスクがあると言われています。妊娠後期に大量に使うと羊水が減ることや、動脈管という赤ちゃんにとって大切な血管が収縮して、心不全やお腹の中で赤ちゃんの体がむくむおそれがあるのです。薬局で売られている薬をご自身の判断で飲むのは避けた方がいいでしょう。持病などがある場合、妊娠に伴って薬を変更する場合も医師に相談してください。

妊婦中の風邪やインフルエンザ。薬に頼らず治すべき?

――妊娠中に風邪を引いたらどうしたらいいのでしょうか?

風邪は実は自然と治っていくものなので、薬を使うのかはよく考えて欲しいと思います。もし薬を飲む場合は、赤ちゃんへの影響がまったくないわけではありません。妊娠初期で症状もそこまでひどくないなら薬は飲まずにまずは過ごしてみてください。

ただ鼻づまりがひどすぎて眠れない、発熱して脱水になる恐れがあるなど日常生活に支障がある場合は、熱冷ましや鼻の通りをよくする風邪薬などを使って症状を和らげつつ、風邪が治るのを待つのが基本的な方法です。風邪薬の中で絶対やめた方がいいものはあまりないのですが、市販薬の中にはカフェインが入っている薬があります。市販薬をご自身の判断で飲むのではなく、まずは医師や薬剤師に相談してください。

――妊娠中にインフルエンザになったらどうすればいいですか?

妊娠中にインフルエンザになったら、「タミフル」 、「リレンザ」といった薬が処方されると思います。内服薬の「タミフル」や吸入薬「リレンザ」などは妊娠中も使ってもいいと言われています。また、妊娠時期によって飲んではいけない時期もありません。新薬の「ゾフルーザ」もありますが、新薬は妊婦さんに使ったデータが少ないため、あえて新薬を妊婦さんに出すことはしないというのが多くの医者の考え方だと思います。妊婦さんへの安全性がわかっている薬をオススメします。
また、不活化ワクチンであるインフルエンザワクチンは妊娠時期に関係なく打てるので、妊婦さんも打って予防することも大切です。

――高熱が出ている場合、薬を飲まずに我慢する方がいいのでしょうか?

発熱中は脱水症状になりやすいです。妊娠中の脱水は赤ちゃんやお母さんへの影響が心配です。脱水症状になることは避けたいので、高熱は下げた方がいいでしょう。37度程度なら心配ないですが、39度を超えてくる発熱であれば薬を使って熱を下げた方がいいですね。

――漢方が入った薬は体に優しそうですが、問題ないでしょうか?

漢方と言ってもいろいろな成分があります。妊娠中でなければ問題なくても、その成分が薬の中にどれだけ入っているかわからないので、漢方薬のどれがいいかは一概に言えません。もし市販薬であれば病院に持ってきてもらって医師に相談した方がいいでしょう。

妊娠中の手強い便秘や胃酸過多は、薬に頼っても問題ない

――妊娠中は便秘になりがちですが、便秘薬を飲んでもいいでしょうか?

便秘薬は基本的に飲んではいけない成分はないです。市販薬の中でも安全性が高いと言われているのは、お通じを柔らかくするタイプの酸化マグネシウムで、安全性が高く体にも残りません。

それとは別に、「センナ」という成分が入った、腸を動かす薬もあります。この薬はお腹が張ることがあります。だからと言って流産につながることはありませんが、妊娠中ずっと飲み続けるのは避けましょう。食事や適度な運動、排便習慣などにも気を使ってみてくださいね。

――胃薬などは飲んでもいいですか?

粘膜を保護するような胃薬は妊娠中でも影響はありません。「ガスター」に入っている「ファモチジン」という成分や、H2ブロッカー薬の「ニザチジン」などの胃酸を抑えるものは妊娠中も飲んでも大丈夫です。ただ長期間飲み続けるのはやめた方がいいでしょう。辛いときだけ薬を使うようにしてください。

体に良さそうなサプリ。妊娠中の正しい飲み方は?

――妊娠中の葉酸サプリはいつからいつまで飲んだらいいのでしょうか?

葉酸サプリは、特に赤ちゃんの脳や背骨などの神経系の発達に影響すると言われています。将来の頭がいいか悪いかということではなく、正常に作られるかというものです。

理想は妊活中に飲むのがいいでしょう。妊娠する前の1カ月前から妊娠12週ぐらいまで飲むのが一番効果的です。神経系の先天異常を防ぐ目的で必要な栄養素なので、それ以降飲むことは必要ないと考えられています。

――ビタミン剤などは赤ちゃんの発育に良さそうですが、飲んでも問題ないですか?

基本的に悪いことはないんですが、複合ビタミン剤でビタミン以外の成分が入っている場合があるのですべて大丈夫とは言い切れないのです。市販のものはよくわからない成分が入っていることがあります。それを飲み続けていいかは心配なので、例えば葉酸と鉄など成分がわかりやすく表示されていて、それだけならOKです。薬局には薬剤師さんもいますので、ビタミン以外に何か入っていませんかと確認することもできますよ。

また、体に残るビタミンAは脂溶性ビタミンと言われ、摂りすぎると体内に溜まってしまいます。普通は食事から摂れるのでわざわざサプリで摂らなくてもいいでしょう。ビタミンAを摂りすぎると赤ちゃんに異常が出るかはわかっていないのですが、たくさん摂っていた場合に、結果的に流産率が高くなったという研究報告もあります。

湿布や塗り薬は、飲み薬ほど影響はない

――湿布薬・塗り薬は使って問題ないですか?

湿布薬や塗り薬でいうと、成分自体は「ロキソニン」や「ボルタレン」などの飲み薬と同じ成分が含まれますが、赤ちゃんへの影響を考えれば飲み薬よりは、患部だけに効果を与える方が安心です。市販の湿布や塗り薬なども特に問題ありません。

もしも赤ちゃんに異常があったとしても多くの場合はその原因が不明で,たとえ薬剤を使っていたとしてもすぐにその薬剤のせいであるとは言い切れません。しかし、なるべくそのリスクを下げるという意味では、薬の飲み方はその都度医師に相談して慎重に考えた方がいいでしょう。

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取材、文・山内ウェンディ イラスト・時岡みのり

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