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出過ぎたおっぱい、乳腺炎に悩む日々……助産師さんから学んだ「情報過多の時代に身につけたい力」

ママになる前は、自分と赤ちゃんとの平和な授乳シーンを想像していませんでしたか? 私もその一人だったのですが、そうもいかず授乳には苦労しました。

産院から退院してすぐのこと。胸が岩のように硬くなり痛くて動くことさえままならない状況になってしまいます。

「授乳ができない!赤ちゃんに飲ませられない!」と助産師さんに来てもらうと、乳腺が詰まっていることがわかりました。なかなか開通しない。暫くすると「ポンッ!」と音がして、詰まっていたものが取れたかと思うと、母乳が噴水のように止まらなくなり壁や助産師さんの顔に飛び散り続けました。

ここから1年、断乳まで私の授乳格闘記が始まります。

助産師さんによると、「母乳量が多め(母乳分泌過多)なのに、乳腺が細く、捻れている部分があるかもしれない。できるだけ赤ちゃんに飲んで詰まらないようにしましょう」とのこと。

次の授乳時間まで待てないほど張ってくる胸、タイマー片手に次の授乳を指折り数えて待つ。娘がスヤスヤ寝ていても起こして飲んでもらうこともしばしばです。

でも産まれたての赤ちゃんが飲んでくれる量はわずか。

夜中は胸の張りで我が子の泣き声より早く起きてしまい、疲れ切って寝てしまうと、母乳が授乳パッドを通り越してパジャマが濡れてしまうので、バスタオルで上半身をぐるぐる巻きにして眠ることも。

母乳が沢山出るのはありがたいことです。でも胸の痛みでどうにもならず、お風呂で絞って流す度に罪悪感を感じる毎日でした。

硬くなったボールのようになってしまったおっぱい。自家製のミルク風呂が誕生したり、助産師さんに「時代が違えば乳母だね」と言われたり……。今思えば笑える話も当時の私は必死で笑い飛ばせずにいました。

母乳の詰まりに良いと言われている、紅茶や漢方を飲んでみたり、アドバイスされたタイミングで冷やしてみたり、寝ても覚めても私の頭の中はおっぱいのことばっかり。

おっぱい中心の生活にくたびれ、初めての育児も楽しめずにいました。

そんな母乳生活に疲れきったある日、朝起きたらまたしても胸が岩のように硬くなっており、熱も上がってきました。

動けない……また乳腺炎なの……。

いつもの助産師さんに来てもらい、処置をお願いすることに。処置を受けながら、私の気持ちがプツンと切れました。

私にはなかったその視点に目から鱗が落ちました。

おっぱいだけに関わらず、これからはじまる長い育児生活では不測の事態なんていくらでも起こることでしょう。子どもが大きくなればなるほど、「思い通り」にはいかなくなってきます。「〇〇しないために」と一生懸命に取り組むことも大切です。しかし、なってしまったときの開き直りや、いつまでもクヨクヨぜずに次に進んでいく逞しさを、母親として身に付けることが大切なんだな……と、助産師さんに教えてもらいました。

結局、断乳するまで諸々トラブルはありましたが、大事には至らず。私の場合は、疲れを溜めると詰まりが酷くなりやすかったので、合間を見つけては横になって休むようにしました。

今も迷いながらの子育てです。

「困難が起きてから対処できる母としての強さがあれば、何が起きても大丈夫」

悩みや不安に押しつぶされそうになったときはいつも、助産師さんの言葉が、私の心の中で響いています。

 

脚本・rollingdell イラスト・きたがわなつみ

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