妊娠中の方・妊娠を望む方には知っておいてほしい!感染症「トキソプラズマ」について
『トキソプラズマこわくないですか?』
ママスタコミュニティに寄せられた妊娠初期のママからのお悩みは、このような一言から始まりました。投稿者さんは妊娠初期の検査で「トキソプラズマ」が陰性でしたが、知識がなかったために妊娠中に飼い猫の糞を処理したりローストビーフを食べたことに不安を感じています。「トキソプラズマ」とは一体どのような感染症なのか、感染原因や胎児への影響、予防・対策などについてお話しいたします。
「トキソプラズマ」とは
妊娠中に感染するとお腹の赤ちゃんに影響を及ぼす可能性がある感染症といえば「風しん」と考える方もいると思います。しかし他にも赤ちゃんに大きな影響を与えてしまう感染症があるのです。それが「トキソプラズマ」です。トキソプラズマとは、人の細胞に寄生する「原虫(寄生虫)」で、哺乳類と鳥類に感染します。基本的にはトキソプラズマの寄生虫が体内に入り込み寄生することで「トキソプラズマ症」に感染すると言われています。まれに人から人へと感染することもあるそうです。
トキソプラズマに感染する原因
トキソプラズマ症に感染する原因は、トキソプラズマに汚染された「豚肉」を生のまま、もしくは加熱調理が不十分なまま食べてしまうことで感染します。またトキソプラズマの卵が付いている猫の糞そのものや、糞で汚染されてしまった食品などを口に入れてしまうことでも感染すると言われています。土の中にもトキソプラズマがいる可能性があるので、土いじりなどにも注意が必要です。他にも輸血や臓器移植から感染することもあります。
トキソプラズマに感染したらどうなるの?
トキソプラズマは健常者が感染した場合は、免疫が働くため症状が現れることは少ないようです。症状が現れた場合でも軽度の感染症状を発症するだけで、そのまま生涯にわたり体内に虫体が残ります。発症すると、体のあちこちの痛みや発熱などの軽い風邪のような症状が現れます。重症になってしまうと感染が脳へと広がり、目が見えなくなるなどの症状を引き起こす場合があります。
お腹の赤ちゃんへの影響
妊娠してから初めて感染してしまう「先天性トキソプラズマ症」の場合、お腹の赤ちゃんがトキソプラズマ症に感染している可能性が出てきます。その場合、死産や自然流産が起こるだけでなく、精神遅滞や視力障害、脳性まひなどの重い症状をもたらすこともあります。内閣府食品安全委員会によると日本での妊婦さんのトキソプラズマ抗体保有率は地域差もありますが約2~10%で、妊娠中の感染率は0.13~0.25%と報告されています。そのうち生まれてきた赤ちゃんが感染しているケースは10,000分娩あたり1.26人と推計が報告されいています。
ママたちの不安の声
『私も一人目のとき「陰性」だったから生野菜や生肉に気をつけてた。猫は飼ってなかったから気にしてなかったけど、義実家が放し飼いで猫飼ってるから不安』
『ローストビーフがダメなの知らず、親が作ってくれたローストビーフをたくさん食べてしまい、後にダメだと知って今後悔しています』
『私は免疫なかったみたいですごく慎重に過ごしてた』
猫を飼っている、生肉を食べてしまったなど、トキソプラズマに関するママたちの不安の声が集まりました。トキソプラズマの感染原因になる状況にあったとしても、必ずトキソプラズマ症が発症するわけではありません。当然お腹の赤ちゃんにも必ず影響があるとも限らないので、神経質になりすぎる必要はありません。どうしても気になるようであれば、主治医の先生に相談するか、抗体検査を受けて免疫の有無を確認してみるのもいいでしょう。
トキソプラズマの予防と対策
トキソプラズマ症に対するワクチンは存在しませんので、発症した場合は「駆虫薬」を服用することとなります。しかし、「駆虫薬」は妊婦への使用の安全性が確保できていないため積極的な使用はお薦めできません。そこでトキソプラズマ症を発症させないための「予防」と「対策」が重要なカギとなります。
・肉類は十分に熱をとおしてから食べる(少なくとも71℃以上が推奨)。
・生肉に触れた調理器具や食器、まな板などは熱い石鹸水で洗う。
・生水を避けて、煮沸してから飲むこと。
・野菜や果物を生で食べる場合も徹底的に洗うようにする。
・ガーデニングなどで土を触った後はよく手を洗うこと。
・ペットの猫の糞の始末は毎日(24時間以内に)行い、できるだけ妊婦以外が処理すること。
・ペットの猫を家の外に出して飼ったり、野良猫などへの接触はできるだけ避ける。
ペットの猫が屋外飼育の場合は、トキソプラズマに感染したネズミや鳥などを捕食している可能性があります。室内飼育でキャットフードを与えている場合は、飼い猫に対し過度に神経質になる必要はないでしょう。
不安に感じたらまずはお医者さんに相談しよう
『不安なら心配が晴れるように先生に聞いて検査するしかないと思う』
妊婦さんのトキソプラズマの抗体検査は任意となりますので、トキソプラズマに対する不安があるようであれば、まずはかかりつけ医で相談してみましょう。自費での抗体検査の場合、約1,000~5,000円程度でトキソプラズマに対する免疫の有無を確認することができます。感染の時期やお腹の赤ちゃんへの感染の有無については、更に詳しい検査が必要となりますが、抗体があるかないかを確認するだけでも日々の意識を変えることができます。安心して赤ちゃんを迎えるためにも、気になる方は検査してみるのもおすすめです。
文・櫻宮ヨウ 編集・山内ウェンディ
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