保育園に落ちるために申し込む!?育児休業延長と保育園落選通知との深い関係とは
お仕事を持つママにとって、保育園に入ることができるかどうかは死活問題と言ってもいいでしょう。もし、保育園に子どもを預けることができなければ仕事を続けられないかもしれないからです。しかし今、保育園の落選通知を欲しいがために保育園への入園を申し込む人がいるそうなのです。2018年10月、ついに厚生労働省が”落選狙いの保育園申し込み”について、本腰を入れて対策に乗り出しました。
俗に落選通知とは”保育園に入ることができませんでした”と示す書類のことです(※不承諾通知、保留通知など自治体により呼び名は異なります)。なぜ、この落選通知を欲しい人がいるのでしょうか?
国が定める育児休業制度について知っておこう
育児休業の定義と期間
国が定める育児休業の定義には、
『労働者が原則として1歳に満たない子を養育するためにする休業』
と明記されています。育児休業の期間は、
『原則として子が1歳に達する日※までの連続した期間。(※1歳に達する日とは、1歳の誕生日の前日をいう)』
と定められています。ただし、育児休業を延長できるケースもあるのです。
育児休業を延長する条件と延長できる期間
育児休業を延長するには、次の条件に該当しなければなりません。
・保育所の利用を希望しているが入所できない場合
・子どもの養育をする配偶者が死亡、あるいは病気や怪我などによって養育が困難になった場合
上記の条件に該当する場合のみ、育児休業を延長することができます。延長することができる育児休業の期間は子どもが1歳6ヶ月に達する日まで、2017年10月からは子どもが2歳に達する日まで育児休業を延長できるようになりました。2歳まで育児休業を延長する際の条件は1歳6ヶ月まで育児休業を延長する場合とほぼ同じです。また育児休業給付金もともに2歳まで延長されます。
つまり配偶者が養育可能である状況で育児休業を延長するためには「保育園に申し込んだけど入ることができませんでした」という結果を証明する必要があります。落選通知を狙っている人は「保育園に入れないから育児休業を延長する」のではなく、希望の園に入れない、もう少し今の育児を続けたいなどさまざまな理由で「”育児休業を延長したいから”保育園に入れない証明である落選通知が欲しい」のです。
落選狙いで保育園の入園を申し込む行為に対するママたちの声はいかに?
『そもそも入りたい時に保育園に入れないからこういう事する人がいるんだよね』
『わざと落ちる人が増えて困るなら、保育園をもっと増やせば?』
いつでも保育園に子どもを預けることができるなら、そもそも”落選通知”などは無いわけです。保育園が不足していることが問題なのでは? とコメントしたママがいました。
『もし育休が3歳まで取れて3歳からは待機もなく保育園にスムーズに入れたらわざと落ちるなんて人かなり減ると思うけどね』
子どもが1歳というと歩き出すかどうか、という年齢です。まだ自分がお世話をしたい、と考えるママもいるかもしれません。育児休業の期間が短い、という指摘がありました。
『そんなことするくらいなら仕事辞めればいいのに。やり方が汚い』
育児休業を延長した間も育児休業給付金は支払われます。給付金をもらえる期間を正当ではない方法で延長する行為について、非難する声もありました。
”落選通知狙い”の保育園の入園申し込みに対する厚生労働省の対策とは
”落選通知”をもらうための入園申し込みが増えている事態を受けて、厚生労働省は2018年10月下旬、内閣府の有識者会議において、育児休業を延長できる人とすぐにでも仕事に復帰したい人を見極めるためのチェックを導入する方針を示しました。
具体的には、以下のように対策が講じられるようです。
上図右の「保育を希望するが、申し込んだ園に落選した場合は育休延長等も可」にチェックをすると入園の優先順位が下げられ、”落選通知”が届く可能性が高くなる、というわけです。制度上、”落選通知”をなくすことは難しいことから、運用でカバーするというわけですね。この運用により、すぐにでも仕事に復帰したい、と願う人を妨げることなく、欲しい人の手元には”落選通知”が届くことになっていくのかもしれません。
厚生労働省提案の新しい運用方法は奏功するか
厚生労働省が提案した”落選通知狙い”の人を事前に仕分けする運用が導入されれば、本当に保育園を利用したい人が入ることができなかった、という不公平感が減っていくかもしれません。育児休業を延長することそのものは法律で認められていますので、正式な手続きを踏めば何ら非難されるようなことではないはずです。ただ、育児休業を延長したい、と考える人の数が増えているのなら、法律で定められた育児休業の期間そのものを見直す時期に入っているのでは、と筆者個人的には考えます。今後、育児休業を延長する方法とともに、育児休業の期間そのものも検討されていくのかもしれません。
文・しのむ 編集・しらたまよ
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