子育て家族が都会から地方への移住。実感したメリットとデメリットとは
子育て世代が地方へ「移住」するという生活スタイルがテレビや雑誌に取り上げられているのを見かけこともあるのでは? 筆者は関西の大都市で生まれ育ちましたが、結婚により10~20万人の地方都市へ移住しました。筆者が感じた都会と地方で住むことの違い、都会で子育てをする友人達の状況と自分が置かれた状況を比べたときに、メリットとデメリットが浮かび上がってきましたのでご紹介します。
都会を離れて地方で子育てをするメリット
住民同士で協力し合う行事で、お互い顔を覚えやすい
都会では隣人がどのような人なのかわからない、という経験があるかもしれません。 筆者の住んでいる地域では、地域住民が協力して何かをする、という機会が多々あります。例えば、地域のお祭りでは、1か月前から毎晩子ども達が集まって、祭りで披露する踊りを練習します。終わったらおやつが貰える、という理由で筆者の子ども達は喜んで参加しています。今自分たちが住んでいる地域にどんな人がいるのかを見る機会にもなり、逆に、小さな子どものいる家庭であることを地域の方に印象づけることもできます。災害など何かあったときに、地域にどのような人が住んでいるのかを知っておくことは良いことだと思っています。
地方では待機児童が少なく、預け先に困らない
全国的に共働きの割合は、東京より地方が高いようです。東京や大阪、名古屋のような大都市と比較すると、地方の方が待機児童が少ない傾向で、子どもの預け先が見つからずに働くことができない、という事態は起こりにくいと考えられます。
高齢化が進む地方で子育てするデメリット
共働き家庭の多い地方、祖父母の協力がない場合は苦労する
平均年収は群を抜いて東京が1位、続いて神奈川、大阪で、地方は一人あたりの給与が少ないため、共働き家庭が多い現実があります。さらに、筆者の周りの子育て世帯を見回すと、自分や配偶者の両親が近くにいて子育ての協力ありきの人が目立ちます。筆者は夫婦共に近くに身寄りがいないため、苦労する場面もありました。特に、2人目妊娠中に切迫早産で自宅安静になったとき、まだ1歳の子どものお世話や、下の子が入院して親が一人付き添わねばならなかったときが大変でした。都会は地方よりも無認可の一時保育や、ベビーシッターを派遣してくれる会社が充実している印象です。
古い考えが根強く残るので、合理的な考えだけでは難しい
地方は高齢者の割合が都会より高いため、暗黙の了解のようなルールや慣例行事、古い考えが根強く残っているかもしれません。ママスタコミュニティにも、地域の行事などへの参加を負担に思っている声が寄せられました。
『任意と言いつつ、祭り参加必須、消防団入団必須とか、近所との冠婚葬祭の付き合いとか暗黙のルールが多かったよ』
『田舎程度によるけど、地域のお祭りとか、スポーツ大会とかあるところもあるよ。今は若い人が減っているから、若い人に話しが回ってくる。そのための委員(準備係ね)も年単位で回るし。お祭りは、神事と繋がっているから、寄付も住んでいる人がしなくてはいけない』
『近所付き合いも昔よりは緩くなったけど、じじばばは近所の事情筒抜けだよ。何かあると東京もんだからやっぱり違うとかすぐ言うし…田舎者の方が優しくて温かいけど、人と違うことするとすぐ空気が固まる。良くも悪くも、「古き良き」を大切にしている感じ』
筆者も住んでいる地域の風習や雰囲気が合わないと思う場面もあります。しかし、環境の変化を受け入れる気持ちがあれば慣れるという意見もありました。
『性格によるよ。私も東京から出たことない人生だったけど、子ども産んでから田舎に引っ越した。同じ日本とは思えないくらいの文化の違いや環境の変化が平気なタイプなら数年で慣れると思う。当たり前だったことはほとんどひっくり返るし、真面目とかマナーとかルールとか気にしない性格じゃないと馴染めないよ』
教育において選択肢が少ない
地方では幼稚園、学校の選択肢が少ない、習い事をさせたくても、近くにないことがあります。ママスタコミュニティにも、教育に関して不満を持つ声がありました。
『子どもの習い事がこだわれないし、東京ほど選べない。車で遠くまで行かないと習えないこともある』
『子どもは小学生ですが、今の学校は学力のレベルも良くありません。近くに良い私立もなければ、習い事も選択肢が非常に少ないです。子どもの教育、進学に限っては都会が良いのは間違いありません』
文部科学省の資料によると、大学進学率は東京周辺と関西圏ではいづれも50%を超えています。一方、地方のほとんどは30%後半という結果で、東京と最も進学率が低い地域との差は36%もの開きがあります。
山奥や孤立した集落と地方の市街地の暮らしは全く異なる
筆者は車を運転できませんが、市街地に住んでいるため、循環バスと自転車で生活できています。しかし、一言で「地方」と言っても人里離れた土地や、孤立した集落の場合は、車がないと生活が成り立たないでしょう。また、そのような地区の場合、近くに学校や大きな病院がないことも想定すると、小さな子ども連れで住む場合は不便でしょう。ママスタコミュニティにも、「田舎の度合いによる」という意見がありました。
『幼稚園は選ぶとかなく実質1つ。園児は10人とか。小学校は徒歩50分くらい。中学になると送迎のバス利用。高校生になると、片道車で1時間以上かけて親が送迎してあげられないなら、一人暮しをするか、町に近いとこに住んでいる親戚のお宅に下宿』
『病院は村に小さい診療所はあるけど、とりあえず車の運転は嫌いじゃないけど、徒歩か自転車で行ける場所もなく、車出さないと生活成り立たない場所は不便過ぎる』
筆者も地方に移り住んだとはいえ、市街地ですので不便さをさほど感じませんが、あまりにも人里離れると難しいかもしれません。また、田舎度合いよりも、転勤族が多いなど、他地域からの移住者を受け入れてもらいやすい環境かどうかを重要視している声もありました。
『世田谷生まれ世田谷育ち。結婚してから地方都市に引っ越した。ほどよい田舎だから、かなり住みやすい。地元の人も多いけど他からの人も多いから、受け入れてもらえるよ。田舎かどうかというか、移住先の環境しだいかな』
メリットとデメリット両方を認識し、ライフスタイルをよく考えてみる
地方は人口が少ないためにおきる弊害もあるでしょう。それを良いと感じるのか、不便で面倒だと感じるのかは人それぞれです。また、地方でもその土地それぞれ環境が異なれば住み心地も異なります。ママスタコミュニティにもまずは近場の別荘地や、都心部に交通の便が良い地方都市で週末生活してみてはどうかとの意見もありました。
『田舎に住んでいます。歩いて海まで8分、山まで5分、川まで1分。最近、他の県から引っ越ししてきた人も多い。土日や長期休暇だけ田舎に住んでいる人もいる。500万くらいで家買ってリフォームして楽しんでいるなって思う。都会の人は住むよりこっちの方がいいのではないか、と思う』
もし、転勤でやむをえず都会から地方へ移住するというわけではなく、「田舎暮らし」に魅力を感じて移住を検討しているのであれば、「田舎暮らし」のメリットとデメリット両方あることを認識しましょう。どのような住宅環境でどのような子育てをしていきたいのかを考えて、移住先の環境と合うのかをしっかりと調べて、後悔のない充実した生活を手に入れてくださいね。
文・ゆかりんご 編集・横内みか
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